引きこもりLv.999の国づくり! ―最強ステータスで世界統一します―
人界の王セレスティア
シュンたちは分担して村の《清掃》に取りかかった。
トルフィンは墓の作成を。
ロニンは火消しを。
シュンは遺体の運搬を。
一家にとって、今日は濃密な一日となった。
午前中はシュロン学園の入学式。そして夜にはこの騒ぎだ。
――いや、それだけじゃない――
シュンは額を拭いながら、せっせと墓づくりに勤しむ息子に声をかけた。
「……なあ、トルフィン」
「んお?」
「いつもこの時間にゃ寝てたろ? 眠くねえのか?」
「父上よ。そりゃ寝るフリだ。生活リズムがトチ狂った元引きこもりを舐めんなよ」
「……はっ、言ってくれるぜ」
薄い笑みを浮かべ、シュンも自分の作業に戻った。
今日トルフィンの素性が判明したことは、何物にも代えがたい功績だと思う。
彼は将来有望な息子だ。引きこもりのレベルをもっと上げていけば、年齢というアドバンテージがある分、いつかはシュンより強くなるだろう。
現時点においても、一般的な騎士よりはトルフィンのほうが強い。しかも精神的にもそれなりに熟しているようだから、かなり有望株だ。
そんなことを考えながら作業に取り組んでいると――
ふいに、近くの地面に幾何学模様が発生した。誰かがワープしてくる予兆だが、いったい誰が……
そんな疑念は、次の瞬間、驚愕とともに吹き飛んだ。
人界の王セレスティアが、数名の魔術師を従えて、その幾何学模様の上に現れたからだ。
――そういや、そっか。
エルノスの親衛隊には、転移魔法を使える魔術師がいたはずだ。彼らと一緒にワープしてきたのだろう。
「あ、シュン……」
金髪の女王は、シュンを見、そして村を見渡すと、もう一度シュンに視線を戻した。
「ど、どうしてここに……? それよりも、この状況、どういうこと……?」
当惑するセレスティアに、シュンはこれまでの経緯を軽く説明した。
ロニンが《悪魔》の気配がすると言ったこと。
慌ててワープしてみたら、村が壊滅状態になっていたこと。
遺体の状態を見るに、《悪魔》の仕業とは思えないこと。
それらの話を、セレスティアは神妙な面持ちで聞いていた。彼女も通報を受け、みずから視察しにきたらしい。
「事情はわかったわ。なにからなにまで、ありがとう」
話を聞き終えたセレスティアは、開口一番、そう言った。
「私たちも悪魔の動向には目を光らせてるんだけど……駄目ね。いつも逃げられる。シュンさん、ごめんね。その、あなたの故郷を守れなくて……」
「ん? あー、これはおまえの責任じゃねえよ。明らかになにか、不穏なことが起きてる」
「ええ……」
セレスティアは表情を引き締め、ゆっくりと頷いた。
「悪魔の動きもだいぶ活発化してる。騎士たちには苦労かけてるけど……それでも、静まる気配がないわ」
「……そうか。こりゃマジで、大きな戦争になるかもな」
「ええ……。そうならないように、ちょっとずつ敵を仕留めていきたいんだけど……悪魔にも知能があるみたい。毎回、いいところで逃げられる」
トルフィンは墓の作成を。
ロニンは火消しを。
シュンは遺体の運搬を。
一家にとって、今日は濃密な一日となった。
午前中はシュロン学園の入学式。そして夜にはこの騒ぎだ。
――いや、それだけじゃない――
シュンは額を拭いながら、せっせと墓づくりに勤しむ息子に声をかけた。
「……なあ、トルフィン」
「んお?」
「いつもこの時間にゃ寝てたろ? 眠くねえのか?」
「父上よ。そりゃ寝るフリだ。生活リズムがトチ狂った元引きこもりを舐めんなよ」
「……はっ、言ってくれるぜ」
薄い笑みを浮かべ、シュンも自分の作業に戻った。
今日トルフィンの素性が判明したことは、何物にも代えがたい功績だと思う。
彼は将来有望な息子だ。引きこもりのレベルをもっと上げていけば、年齢というアドバンテージがある分、いつかはシュンより強くなるだろう。
現時点においても、一般的な騎士よりはトルフィンのほうが強い。しかも精神的にもそれなりに熟しているようだから、かなり有望株だ。
そんなことを考えながら作業に取り組んでいると――
ふいに、近くの地面に幾何学模様が発生した。誰かがワープしてくる予兆だが、いったい誰が……
そんな疑念は、次の瞬間、驚愕とともに吹き飛んだ。
人界の王セレスティアが、数名の魔術師を従えて、その幾何学模様の上に現れたからだ。
――そういや、そっか。
エルノスの親衛隊には、転移魔法を使える魔術師がいたはずだ。彼らと一緒にワープしてきたのだろう。
「あ、シュン……」
金髪の女王は、シュンを見、そして村を見渡すと、もう一度シュンに視線を戻した。
「ど、どうしてここに……? それよりも、この状況、どういうこと……?」
当惑するセレスティアに、シュンはこれまでの経緯を軽く説明した。
ロニンが《悪魔》の気配がすると言ったこと。
慌ててワープしてみたら、村が壊滅状態になっていたこと。
遺体の状態を見るに、《悪魔》の仕業とは思えないこと。
それらの話を、セレスティアは神妙な面持ちで聞いていた。彼女も通報を受け、みずから視察しにきたらしい。
「事情はわかったわ。なにからなにまで、ありがとう」
話を聞き終えたセレスティアは、開口一番、そう言った。
「私たちも悪魔の動向には目を光らせてるんだけど……駄目ね。いつも逃げられる。シュンさん、ごめんね。その、あなたの故郷を守れなくて……」
「ん? あー、これはおまえの責任じゃねえよ。明らかになにか、不穏なことが起きてる」
「ええ……」
セレスティアは表情を引き締め、ゆっくりと頷いた。
「悪魔の動きもだいぶ活発化してる。騎士たちには苦労かけてるけど……それでも、静まる気配がないわ」
「……そうか。こりゃマジで、大きな戦争になるかもな」
「ええ……。そうならないように、ちょっとずつ敵を仕留めていきたいんだけど……悪魔にも知能があるみたい。毎回、いいところで逃げられる」
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