引きこもりLv.999の国づくり! ―最強ステータスで世界統一します―
武術大会へ
シュンは大きなため息をついた。
今回の敵は厄介である。魔王やエルノスのように、明確な《敵》がいるわけではない。悪魔という、掴みどころのない種族が相手なのだ。しかもたぶん、村を襲撃したのはその悪魔ではないだろう。
――なにがどうなってやがる……
「セレスティア。ひとつ聞きたい」
「ん? どうしたの?」
「もし、仮にだが……王都が悪魔に襲われたとき、おまえたちは対処できるか?」
王女はしばらく眉根を寄せ、考える素振りをしていたが、数秒後、首を横に振った。
「……厳しい、と言わざるをえないわね。騎士たちはかなり疲弊してるし、一般の国民は戦い慣れてない。そこを付け込まれたら……」
「そうか。そうだよな……」
シュロン国でも同じことが言える。
シュンやロニン、ディスト、それからゴルムは飛び抜けて強い。しかしながら、その四人がいなくなってしまえば防御力は著しく落ちてしまう。
今回のように、シュンの目の届かないところで、無惨な大虐殺が繰り広げられてしまう可能性も否定できない。
「……念のため、剣と魔術の教師を雇っておいて正解だったぜ……」
ぽつりと呟くシュン。
五年前、シュロン国に攻め込もうとする勢力は潰えたはずだった。
しかも、長らく人類と争っていたモンスターとは和解の道を辿っている。
だから剣や魔法の教育はもう必要ないとは思っていたが、シュンは念のため、それらを教育カリキュラムに練り込んだ。なにかが起きてからでは遅いからだ。
そう遠くない将来、間違いなくなにかが起こる。一国の王として、それに備えるのは義務であろう。
「……セレスティア、武術大会を開かないか?」
「えっ?」
「有事に備えて、だ。人界とシュロン国で大会開こうぜ。参加者はなにがなんでも鍛えようとするだろ」
引きこもりの《職業》を暴露するのも良いが、その場合、ジョブチェンジに最短でも一ヶ月を要する。さらにそこから膨大な期間を引きこもらなければならない。そんな悠長なことをしている時間はない。
「……わかったわ。明日には国民たちに発信する。詳しい日程とかは後日でいいかしら?」
「ああ。頼む。悪魔とかワケわかんねー奴らに、これ以上好き勝手させるわけにはいかねえ」
今回の敵は厄介である。魔王やエルノスのように、明確な《敵》がいるわけではない。悪魔という、掴みどころのない種族が相手なのだ。しかもたぶん、村を襲撃したのはその悪魔ではないだろう。
――なにがどうなってやがる……
「セレスティア。ひとつ聞きたい」
「ん? どうしたの?」
「もし、仮にだが……王都が悪魔に襲われたとき、おまえたちは対処できるか?」
王女はしばらく眉根を寄せ、考える素振りをしていたが、数秒後、首を横に振った。
「……厳しい、と言わざるをえないわね。騎士たちはかなり疲弊してるし、一般の国民は戦い慣れてない。そこを付け込まれたら……」
「そうか。そうだよな……」
シュロン国でも同じことが言える。
シュンやロニン、ディスト、それからゴルムは飛び抜けて強い。しかしながら、その四人がいなくなってしまえば防御力は著しく落ちてしまう。
今回のように、シュンの目の届かないところで、無惨な大虐殺が繰り広げられてしまう可能性も否定できない。
「……念のため、剣と魔術の教師を雇っておいて正解だったぜ……」
ぽつりと呟くシュン。
五年前、シュロン国に攻め込もうとする勢力は潰えたはずだった。
しかも、長らく人類と争っていたモンスターとは和解の道を辿っている。
だから剣や魔法の教育はもう必要ないとは思っていたが、シュンは念のため、それらを教育カリキュラムに練り込んだ。なにかが起きてからでは遅いからだ。
そう遠くない将来、間違いなくなにかが起こる。一国の王として、それに備えるのは義務であろう。
「……セレスティア、武術大会を開かないか?」
「えっ?」
「有事に備えて、だ。人界とシュロン国で大会開こうぜ。参加者はなにがなんでも鍛えようとするだろ」
引きこもりの《職業》を暴露するのも良いが、その場合、ジョブチェンジに最短でも一ヶ月を要する。さらにそこから膨大な期間を引きこもらなければならない。そんな悠長なことをしている時間はない。
「……わかったわ。明日には国民たちに発信する。詳しい日程とかは後日でいいかしら?」
「ああ。頼む。悪魔とかワケわかんねー奴らに、これ以上好き勝手させるわけにはいかねえ」
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