引きこもりLv.999の国づくり! ―最強ステータスで世界統一します―
シュンの部 【引きこもりの決意】
その後もアリアンヌは大昔の話を滔滔と語り続けた。
まず、紫の瘴気について。
これは魔法が使えなくなる反面、《神族除け》の効果を果たしているという。つまりアグネ湿地帯にいる限り、ディストらはシュンたちを追ってくることはできない。さきほど、アリアンヌを見たディストが苦々しい表情をしたのはそのためだ。
また、数年前――魔術師によって強制送還された際、巨大蜘蛛が襲ってきたのは、シュンの実力を見るためであったらしい。実際にも、その蜘蛛を撃退したのち、彼らは嘘のように襲ってこなくなった。
アリアンヌはなおも表情を崩さぬまま、しかし力強くシュンを見据えた。
「シュンよ。私たちは、神族による独裁をいい加減に止めねばなりません」
「独裁……?」
と言われても、二十年かそこらしか生きていないシュンにはあまりピンと来ない話である。
「ディストは悪質な独裁者です。《箱》のなかに長いこと人間たちを生きさせ……飽きたら今回のように殺す。強大な力を持つがゆえに、もはやそれでしか楽しみを見出せなくなったのでしょう」
そこでアリアンヌはほんの少しだけ、切なげに眉の端を下げた。
「……私たちは、なにもできなかった。同じ神族でありながら、多くの歴史が消されていくのを見ているしかなかった。ですが、いまの歴史には、シュンよ。あなたがいます」
「ん? 俺?」
「そう。純粋なステータスで見れば、あなたは創造神にも引けを取りません。《神の霊気》さえ身にまとえば、きっと神族にも太刀打ちできましょう」
――おいおい。
シュンは心中でつっこみをいれた。
話が壮大になってきたぞ。俺に神にでもなれってのか。
そんなシュンの心境を見越したかのように、アリアンヌは続けて言葉を発した。
「わかっています。こんなことあなたの性分ではないでしょう。でも……あなたにはもうわかっているでしょう。国王シュンよ」
そう。
前代の魔王も。
そして国王エルノスも。
その圧倒的なステータス及び権力で、民を統治してきた。
でも。
魔王城が危機に陥っているとき、前代魔王は若い娘と情事にふけこんでいた。
エルノスに至っては、表では良い顔をしながらも、裏では冷酷な独裁者として無慈悲に民を使い倒した。
そんなことで平和な国はつくれない。
シュンは知っている。
父親の《裏切り》を見ないようにして、必死にシュンに教えを乞うてきた魔王の娘を。
エルノスの悪政に惑わされ、長く悩んできたセレスティアを。
このままでは同じことが繰り返される。今回に至っては相手は神だ。ここでディストをしとめなければ、今後、何百年、何千年にも渡って、苦しむ人々が続出することになる。
「お願いします」
とアリアンヌはもう一度言った。
「あなたしかいないのです。高いステータスを持ち、そして王としての才気もある。情けないことに……私ではディストに適いません」
続けて元神族はロニンに目を向けた。
「魔王ロニンよ。あなたもシュンに次いで高いステータスを持っています。《神の霊気》を身につけ、ぜひシュンをサポートしてほしい」
「わわ、私も神様に……?」
慌てふためくロニンの頭にぽんと手を置き、シュンは真っ直ぐにアリアンヌを見据えた。
「よくわからないが……その《神の霊気》ってのはなんだ?」
「一言で言うならば、ステータスを操作する力です。これを身につければ、相手にステータスを下げられることはなくなります。他にも色々ありますが……それは追々(おいおい)話していきます」
相手にステータスを下げられなくなる。
なるほど、それならあのディストにも対抗できるようになるだろう。
シュンは両の拳を打ち付け、決然と言い放った。
「いいだろう。神にでもなんでもなってやるよ」
まず、紫の瘴気について。
これは魔法が使えなくなる反面、《神族除け》の効果を果たしているという。つまりアグネ湿地帯にいる限り、ディストらはシュンたちを追ってくることはできない。さきほど、アリアンヌを見たディストが苦々しい表情をしたのはそのためだ。
また、数年前――魔術師によって強制送還された際、巨大蜘蛛が襲ってきたのは、シュンの実力を見るためであったらしい。実際にも、その蜘蛛を撃退したのち、彼らは嘘のように襲ってこなくなった。
アリアンヌはなおも表情を崩さぬまま、しかし力強くシュンを見据えた。
「シュンよ。私たちは、神族による独裁をいい加減に止めねばなりません」
「独裁……?」
と言われても、二十年かそこらしか生きていないシュンにはあまりピンと来ない話である。
「ディストは悪質な独裁者です。《箱》のなかに長いこと人間たちを生きさせ……飽きたら今回のように殺す。強大な力を持つがゆえに、もはやそれでしか楽しみを見出せなくなったのでしょう」
そこでアリアンヌはほんの少しだけ、切なげに眉の端を下げた。
「……私たちは、なにもできなかった。同じ神族でありながら、多くの歴史が消されていくのを見ているしかなかった。ですが、いまの歴史には、シュンよ。あなたがいます」
「ん? 俺?」
「そう。純粋なステータスで見れば、あなたは創造神にも引けを取りません。《神の霊気》さえ身にまとえば、きっと神族にも太刀打ちできましょう」
――おいおい。
シュンは心中でつっこみをいれた。
話が壮大になってきたぞ。俺に神にでもなれってのか。
そんなシュンの心境を見越したかのように、アリアンヌは続けて言葉を発した。
「わかっています。こんなことあなたの性分ではないでしょう。でも……あなたにはもうわかっているでしょう。国王シュンよ」
そう。
前代の魔王も。
そして国王エルノスも。
その圧倒的なステータス及び権力で、民を統治してきた。
でも。
魔王城が危機に陥っているとき、前代魔王は若い娘と情事にふけこんでいた。
エルノスに至っては、表では良い顔をしながらも、裏では冷酷な独裁者として無慈悲に民を使い倒した。
そんなことで平和な国はつくれない。
シュンは知っている。
父親の《裏切り》を見ないようにして、必死にシュンに教えを乞うてきた魔王の娘を。
エルノスの悪政に惑わされ、長く悩んできたセレスティアを。
このままでは同じことが繰り返される。今回に至っては相手は神だ。ここでディストをしとめなければ、今後、何百年、何千年にも渡って、苦しむ人々が続出することになる。
「お願いします」
とアリアンヌはもう一度言った。
「あなたしかいないのです。高いステータスを持ち、そして王としての才気もある。情けないことに……私ではディストに適いません」
続けて元神族はロニンに目を向けた。
「魔王ロニンよ。あなたもシュンに次いで高いステータスを持っています。《神の霊気》を身につけ、ぜひシュンをサポートしてほしい」
「わわ、私も神様に……?」
慌てふためくロニンの頭にぽんと手を置き、シュンは真っ直ぐにアリアンヌを見据えた。
「よくわからないが……その《神の霊気》ってのはなんだ?」
「一言で言うならば、ステータスを操作する力です。これを身につければ、相手にステータスを下げられることはなくなります。他にも色々ありますが……それは追々(おいおい)話していきます」
相手にステータスを下げられなくなる。
なるほど、それならあのディストにも対抗できるようになるだろう。
シュンは両の拳を打ち付け、決然と言い放った。
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