引きこもりLv.999の国づくり! ―最強ステータスで世界統一します―
シュンの部 【最高位の天使】
「なんだ……いまのは……!」
アグネ湿地帯。
シュンは呆気に取られながら天使のテレパシーを聞いていた。ロニンも、そしてアリアンヌでさえも、一様に惚けた顔をしている。
「熾天使ミュウって言ってたよね。ミュウちゃんって……」
かすれるようなロニンの声に、シュンは難しい顔で唸るしかなかった。
ミュウ。孤児院にいた児童のうちのひとり。
まさかとは思う。だが、いま脳内に直接聞こえてきた声は、まさに記憶にある彼女そのものだった。
いったいなにがどうなっているのか。
それを問いかけるべく、シュンはアリアンヌに目線を向けた。
魔神と呼ばれた女は、かつて見たことないほど表情を歪ませ、小さい声量で呟いた。
「おかしい……なぜ天使たちのテレパシーがこっちまで聞こえた……まさか私たちですら創造神にとって玩具……」
「ん? おいおい、どうしたよ――」
瞬間、アリアンヌははっと目を見開き、上空を仰いだ。
「ッ! 下がっててください!」
「…………!」
いわく言い難い霊圧を感じ、シュンとロニンは後方に飛び退いた。
コンマ数秒遅れて、二人のいた位置に漆黒の衝撃波とでも言うべき物体が襲ってきた。アグネ湿地帯で長年生きながらえてきた大樹が、いとも容易く切り刻まれ、微塵となって消える。
――なんだ、なにが起きた――
シュンはさっと顔を上げ、そしてそこに信じ難いものを目撃した。
神々しき天使――
三対六の翼を仰々しく広げ、ゆっくりと地面に降りてくるさまは、まさに神のごとき風格。気のせいか、奴の周囲だけ薄い光の柱が降りているように見える。
そして奴の正体もまた、明らかすぎるほどに明らかだった。
「なるほどな。てめぇもそっち側だったわけか。――ミュウ」
ロニンを後ろ手に守りながら、シュンは相手を睨みつけた。
熾天使ミュウは完全に着地してから、
「あれー?」
と素っ頓狂な声を発した。
「おっかしいな。いまので殺したはずなんだけどな」
そこで初めてシュンとロニンに目を向ける。
「……あんたたち、思ったよりも強くなってるみたいだね。正直、いまの衝撃波を避けられるとは思わなかったよ」
「はん。ずいぶん偉そうな口を聞くようになったもんだな」
言いながら、シュンは戦闘の構えを取った。数秒遅れて、魔王ロニンも剣を握り、ミュウの攻撃に備える。
「……やめておきなさい」
そんな二人を制止する者がいた。魔神アリアンヌである。
彼女はシュンとロニンの手前に移動し、ミュウとの前に立ちふさがった。
「奴は熾天使。《天使》のなかでも最高位の存在です。残念ですが、あなたたちではまだ勝てません」
「……それなら、あんたなら勝てるってのか?」
「…………」
アリアンヌはそれには答えなかった。
「私は愚かでした。創造神とは世界を創りし存在。私の張った結界など破れて当たり前。なのに私も……《見せかけの鳥籠》でディストに娯楽を提供していたのですね」
「ま、そゆことね」
ミュウはあくまで軽いノリでアリアンヌの発言を肯定した。
「あんたの張った結界なんて破るのは簡単。それでもあんたの策にハマまったフリをしてたってわけね。……ほら、あいつ性格悪いじゃん?」
アグネ湿地帯。
シュンは呆気に取られながら天使のテレパシーを聞いていた。ロニンも、そしてアリアンヌでさえも、一様に惚けた顔をしている。
「熾天使ミュウって言ってたよね。ミュウちゃんって……」
かすれるようなロニンの声に、シュンは難しい顔で唸るしかなかった。
ミュウ。孤児院にいた児童のうちのひとり。
まさかとは思う。だが、いま脳内に直接聞こえてきた声は、まさに記憶にある彼女そのものだった。
いったいなにがどうなっているのか。
それを問いかけるべく、シュンはアリアンヌに目線を向けた。
魔神と呼ばれた女は、かつて見たことないほど表情を歪ませ、小さい声量で呟いた。
「おかしい……なぜ天使たちのテレパシーがこっちまで聞こえた……まさか私たちですら創造神にとって玩具……」
「ん? おいおい、どうしたよ――」
瞬間、アリアンヌははっと目を見開き、上空を仰いだ。
「ッ! 下がっててください!」
「…………!」
いわく言い難い霊圧を感じ、シュンとロニンは後方に飛び退いた。
コンマ数秒遅れて、二人のいた位置に漆黒の衝撃波とでも言うべき物体が襲ってきた。アグネ湿地帯で長年生きながらえてきた大樹が、いとも容易く切り刻まれ、微塵となって消える。
――なんだ、なにが起きた――
シュンはさっと顔を上げ、そしてそこに信じ難いものを目撃した。
神々しき天使――
三対六の翼を仰々しく広げ、ゆっくりと地面に降りてくるさまは、まさに神のごとき風格。気のせいか、奴の周囲だけ薄い光の柱が降りているように見える。
そして奴の正体もまた、明らかすぎるほどに明らかだった。
「なるほどな。てめぇもそっち側だったわけか。――ミュウ」
ロニンを後ろ手に守りながら、シュンは相手を睨みつけた。
熾天使ミュウは完全に着地してから、
「あれー?」
と素っ頓狂な声を発した。
「おっかしいな。いまので殺したはずなんだけどな」
そこで初めてシュンとロニンに目を向ける。
「……あんたたち、思ったよりも強くなってるみたいだね。正直、いまの衝撃波を避けられるとは思わなかったよ」
「はん。ずいぶん偉そうな口を聞くようになったもんだな」
言いながら、シュンは戦闘の構えを取った。数秒遅れて、魔王ロニンも剣を握り、ミュウの攻撃に備える。
「……やめておきなさい」
そんな二人を制止する者がいた。魔神アリアンヌである。
彼女はシュンとロニンの手前に移動し、ミュウとの前に立ちふさがった。
「奴は熾天使。《天使》のなかでも最高位の存在です。残念ですが、あなたたちではまだ勝てません」
「……それなら、あんたなら勝てるってのか?」
「…………」
アリアンヌはそれには答えなかった。
「私は愚かでした。創造神とは世界を創りし存在。私の張った結界など破れて当たり前。なのに私も……《見せかけの鳥籠》でディストに娯楽を提供していたのですね」
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ミュウはあくまで軽いノリでアリアンヌの発言を肯定した。
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