【書籍化作品】無名の最強魔法師
幼馴染の女子が、こんなにかわいいなんてあるわけがない
ヤンクルさんは、俺と交代した後にしばらくしたら戻ると言って自宅へ戻っていった。 
見張りを交代した俺は塀の上で横になったまま前方のウラヌス騎士団へ視線を向けている。
すでに日が落ちているという事もあり俺は現在、《暗視》の魔法を発動させている。
見ている限りでは、特に彼らは特別な動きは見せていない。
「体から力が抜けたままだな、魔力的な何かが回復してないのか?」
俺は一人呟きながら、堀の中を時速40kmほどで流れる水を眺めながら原因を考える。
このまま持久戦に持ち込まれたら魔力っぽいものが回復しないままだと、いつか俺は魔法が使えなくなる。
今までは、こんなことが無かったから解決策が思い浮かばない。
これは大変、由々しき事態だ。
そんな事を考えていると……。
「―――ユ、ユウマ君!」
村の方から俺の名前を呼ぶ声が聞こえてきた。
そちらへ視線を向けると幼馴染のリリナが両手を後ろに隠して立っていた。
とても挙動不審に周囲を見渡している。
リリナも何かあったのだろうか?
つい俺は身構えてしまう。
こいつは、このパターンになると顔を真っ赤にして殴ってくるのだ。
それに、俺はこいつのお兄ちゃんでもない。
只の幼馴染に過ぎないし、話の最後には、支離滅裂な事を言って怒ったまま、走り去ってしまう。
「リリナ、どうした?何か村で問題でも起きたのか?」
今は、一応は俺が村長代理という事になっているから言い辛い事や困った事も相談に乗る必要があるだろう。俺の言葉にリリナがソワソワし出す。
やはり何かあったようだ。
俺がハンターとしてヤンクルさんの所に弟子入りしてから、事情は改善したと思っていたがまだまだのようだ。
俺もまだまだ青いってことだ。
つくづく反省させられる。
もっと村人同士仲良くできたらいいのになと思う。
「―――えっとね!」
リリナが意を決した顔をして背中から包丁を取り出す。
「―――リリナ、それは!?」
そうか、俺はそこまでリリナに恨まれていたのか。
たしかに毎回、顔を真っ赤にして逃げていくからな、それが蓄積してとうとう爆発したのか。
あれだな、人がいない時間帯を狙っての夜半の犯行。
くそ!まさか内部にこんな爆弾があるとは予想できなかった!
だが、俺はまだヤラれる訳にはいかない。
身構えた俺を見て、リリナが微笑んでくる。
リリナの勝利を確信した笑み、それは俺に勝てると確信したものなのか?それともまた別の何かなのか?予想がつかない。
まさかこんなどんでん返しが待ってるとは予想外だ!
「えっとね……ユウマ君が寝ないで見張りをするって聞いたからね。お昼のイノシシの肉を煮込んだの」
リリナがもう片方の手から木綿製の布袋を取り出す。
木綿製の布袋から肉の固まりと麦飯を握った物を取り出し、肉の塊を包丁で切っていく。
そして木のお皿の上に盛り付けた後、俺に差し出してきた。
「い、一生懸命作ったけど……おいしくなかったらごめんね……」
顔を真っ赤にして潤んだ瞳で俺を見上げてくるリリナを見ながら俺は、木製の小皿を受け取った。
包丁で切られたイノシシの肉は塩などで味付けされており素材の味が引き出されていておいしい。
そして麦のお握りを食べていると、この近辺の森の一部に生えている竹で作られた水筒を差し出された。
水筒を受け取り飲むと少しだけ砂糖の味が舌の上に広がる。
「リリナ!これ、すごくおいしい!」
俺は思った事を素直に言葉に出した。
自分自身が作る料理なんてヤンクルさんに狩りの仕方や冒険者としての立ち回りを教えてもらっていた時でも焼くくらいしかした事がない。
そんな俺からしたら、リリナの料理はとてもおいしい。
さりげなく働く人への気配りとして稀少な砂糖まで水に溶かしている。
「―――本当?本当においしい?」
リリナが疑って聞いてくる。
味見をしていないのだろうか?
数日後に16歳の成人を控えているリリナは、出るところが出て引っ込んでいるところは引っ込んでいるという大人の女性の体をしていて顔も綺麗だし性格だって俺以外にはやさしく品行方正だ。
アライ村の男性たちに人気がある。
「ああ!おいしいよ、俺が太鼓判を押してやる!間違いなくリリナはいい奥さんになれるよ!」
すぐにネガティブに考えてしまうリリナを励まそうと少し大げさに褒める。
「本当?本当にいい奥さんになれる?すぐに結婚できる?」
そうか、どうやらリリナは好きな男性がいるようだ。
たしかに年頃だからな……そう考えると少しだけ寂しさを感じてしまう。
これじゃいけないな……。
俺は内心、呟く。
俺の言葉にリリナは首を傾げるが、リリナにはリリナの幸せがあるんだと俺は自分を叱咤する。
「ああ、リリナならすぐに結婚できる。俺が責任を持つよ!」
俺の言葉にリリナが顔を真っ赤に染め上げる。
そんなに俺の言葉が、リリナの心に響いたのだろうか?
「……う、うん。えっとね…ユウマ君……わたしね、ずっと前から……「おーい、ユウマ君。そろそろ交代の時間だぞー」……」
リリナの話の途中でヤンクルさんの声が聞こえてくる。
話をしている途中で、ヤンクルさんに邪魔されたのがアレだったのかリリナは荷物を纏めると自分の父親であるヤンクルさんの元へ行きボディを殴って走り去っていった。
ヤンクルさんはヨロヨロを俺の元まで歩いてくる。
「……ユウマ君、わ、私は何か娘を怒らせるような事をしたのだろうか?」
生まれたての小鹿のように足を震わせて立っているヤンクルさんが理由を聞いてくるが、俺に聞かれても分からない。
「どうなんでしょうか?結婚できるかどうかの話をしてた気がしますが……」
「な、なるほど大体は理解し…た……よ………」
そのまま膝から崩れ落ちて倒れたヤンクルさんは意識を失った。
それを見て、あんな暴力ばかり振るうリリナが好きな男性はどんな人なのか?と少しだけ俺は興味を抱いた。
見張りを交代した俺は塀の上で横になったまま前方のウラヌス騎士団へ視線を向けている。
すでに日が落ちているという事もあり俺は現在、《暗視》の魔法を発動させている。
見ている限りでは、特に彼らは特別な動きは見せていない。
「体から力が抜けたままだな、魔力的な何かが回復してないのか?」
俺は一人呟きながら、堀の中を時速40kmほどで流れる水を眺めながら原因を考える。
このまま持久戦に持ち込まれたら魔力っぽいものが回復しないままだと、いつか俺は魔法が使えなくなる。
今までは、こんなことが無かったから解決策が思い浮かばない。
これは大変、由々しき事態だ。
そんな事を考えていると……。
「―――ユ、ユウマ君!」
村の方から俺の名前を呼ぶ声が聞こえてきた。
そちらへ視線を向けると幼馴染のリリナが両手を後ろに隠して立っていた。
とても挙動不審に周囲を見渡している。
リリナも何かあったのだろうか?
つい俺は身構えてしまう。
こいつは、このパターンになると顔を真っ赤にして殴ってくるのだ。
それに、俺はこいつのお兄ちゃんでもない。
只の幼馴染に過ぎないし、話の最後には、支離滅裂な事を言って怒ったまま、走り去ってしまう。
「リリナ、どうした?何か村で問題でも起きたのか?」
今は、一応は俺が村長代理という事になっているから言い辛い事や困った事も相談に乗る必要があるだろう。俺の言葉にリリナがソワソワし出す。
やはり何かあったようだ。
俺がハンターとしてヤンクルさんの所に弟子入りしてから、事情は改善したと思っていたがまだまだのようだ。
俺もまだまだ青いってことだ。
つくづく反省させられる。
もっと村人同士仲良くできたらいいのになと思う。
「―――えっとね!」
リリナが意を決した顔をして背中から包丁を取り出す。
「―――リリナ、それは!?」
そうか、俺はそこまでリリナに恨まれていたのか。
たしかに毎回、顔を真っ赤にして逃げていくからな、それが蓄積してとうとう爆発したのか。
あれだな、人がいない時間帯を狙っての夜半の犯行。
くそ!まさか内部にこんな爆弾があるとは予想できなかった!
だが、俺はまだヤラれる訳にはいかない。
身構えた俺を見て、リリナが微笑んでくる。
リリナの勝利を確信した笑み、それは俺に勝てると確信したものなのか?それともまた別の何かなのか?予想がつかない。
まさかこんなどんでん返しが待ってるとは予想外だ!
「えっとね……ユウマ君が寝ないで見張りをするって聞いたからね。お昼のイノシシの肉を煮込んだの」
リリナがもう片方の手から木綿製の布袋を取り出す。
木綿製の布袋から肉の固まりと麦飯を握った物を取り出し、肉の塊を包丁で切っていく。
そして木のお皿の上に盛り付けた後、俺に差し出してきた。
「い、一生懸命作ったけど……おいしくなかったらごめんね……」
顔を真っ赤にして潤んだ瞳で俺を見上げてくるリリナを見ながら俺は、木製の小皿を受け取った。
包丁で切られたイノシシの肉は塩などで味付けされており素材の味が引き出されていておいしい。
そして麦のお握りを食べていると、この近辺の森の一部に生えている竹で作られた水筒を差し出された。
水筒を受け取り飲むと少しだけ砂糖の味が舌の上に広がる。
「リリナ!これ、すごくおいしい!」
俺は思った事を素直に言葉に出した。
自分自身が作る料理なんてヤンクルさんに狩りの仕方や冒険者としての立ち回りを教えてもらっていた時でも焼くくらいしかした事がない。
そんな俺からしたら、リリナの料理はとてもおいしい。
さりげなく働く人への気配りとして稀少な砂糖まで水に溶かしている。
「―――本当?本当においしい?」
リリナが疑って聞いてくる。
味見をしていないのだろうか?
数日後に16歳の成人を控えているリリナは、出るところが出て引っ込んでいるところは引っ込んでいるという大人の女性の体をしていて顔も綺麗だし性格だって俺以外にはやさしく品行方正だ。
アライ村の男性たちに人気がある。
「ああ!おいしいよ、俺が太鼓判を押してやる!間違いなくリリナはいい奥さんになれるよ!」
すぐにネガティブに考えてしまうリリナを励まそうと少し大げさに褒める。
「本当?本当にいい奥さんになれる?すぐに結婚できる?」
そうか、どうやらリリナは好きな男性がいるようだ。
たしかに年頃だからな……そう考えると少しだけ寂しさを感じてしまう。
これじゃいけないな……。
俺は内心、呟く。
俺の言葉にリリナは首を傾げるが、リリナにはリリナの幸せがあるんだと俺は自分を叱咤する。
「ああ、リリナならすぐに結婚できる。俺が責任を持つよ!」
俺の言葉にリリナが顔を真っ赤に染め上げる。
そんなに俺の言葉が、リリナの心に響いたのだろうか?
「……う、うん。えっとね…ユウマ君……わたしね、ずっと前から……「おーい、ユウマ君。そろそろ交代の時間だぞー」……」
リリナの話の途中でヤンクルさんの声が聞こえてくる。
話をしている途中で、ヤンクルさんに邪魔されたのがアレだったのかリリナは荷物を纏めると自分の父親であるヤンクルさんの元へ行きボディを殴って走り去っていった。
ヤンクルさんはヨロヨロを俺の元まで歩いてくる。
「……ユウマ君、わ、私は何か娘を怒らせるような事をしたのだろうか?」
生まれたての小鹿のように足を震わせて立っているヤンクルさんが理由を聞いてくるが、俺に聞かれても分からない。
「どうなんでしょうか?結婚できるかどうかの話をしてた気がしますが……」
「な、なるほど大体は理解し…た……よ………」
そのまま膝から崩れ落ちて倒れたヤンクルさんは意識を失った。
それを見て、あんな暴力ばかり振るうリリナが好きな男性はどんな人なのか?と少しだけ俺は興味を抱いた。
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コメント
音街 麟
ああ!タイトルに激しく同意させてもらう!しかーし!ユーマよ、いい加減気づけや‼︎
ノベルバユーザー322977
タイトルに同意する!!