【書籍化作品】無名の最強魔法師
怪力無双のラグルド出陣
植物プラントを討伐した俺は、フェンデイカ村に戻りそのまま『冒険者集う場所フェンデイカ支部』に足を運ぶ。
両開きの扉を開き冒険者ギルドに入ると相変わらず冒険者は誰も居らず閑古鳥が鳴いていた。
「あ、ユウマ。おかえりなさい」
とてもフレンドリーな挨拶をしてきたリネラスに対して俺は頷くだけにして近づく。
「リネラス、植物プラントの討伐が終わった」
「え?昨日、受注したばかりだよね? ランクSだけど……」
リネラスが困惑した表情を浮かべている。
「あ、あの冒険者カードを出してもらっていいですか?」
俺は冒険者カードを取り出してリネラスに渡す。
リネラスは何やらブツブツ呟いている。
「うそ!?植物プラントの討伐数8377匹?一体、どうやって?」
ふむ、ウジャウジャいると思ったがかなりいたんだな。
俺は心の中で一人突っ込んでいると。
「え、えっと……ユウマはすごいね!」
「普通だろ? そんなことはどうでもいいから依頼達成金はもらえるんだろうな? 給料もろくに貰えないのに大丈夫なのか?」
俺の言葉にリネラスが無い胸を強調するかのように胸を張り『ふふっ、問題ないのです』と語ってきた。
そして依頼書と冒険者カードを並べた後に、リネラスが懐から金色の鍵を取り出し何もない空間で鍵をまわした。
すると鍵が開く音と共に空間が割れた。
そして、割れた空間から袋が出現して受付のテーブルの上に落ちてくる。
同時に冒険者カードが光り依頼書に済みのマークが浮き上がってきた。
「すごいな……」
まるで魔法みたいだ。
「この鍵は冒険者ギルドを創設した初代ギルドマスターが作った物で空間に干渉して全世界の冒険者ギルドと金庫を共有できる優れものなんだよ!」
ほほう、初代ギルドマスターか……。
空間に干渉するアイテム作るとか俺よりチートなんじゃないか?
「だが、その鍵とか悪用されたりするんじゃないか?」
俺の言葉にリネラスが頭をふる。
「それは無理! だって冒険者カードに記録されている情報と受けた依頼書の達成の有無でしかお金は出てこないから! それ以外には使えないの!」
ん?全世界の金庫と共有ってことは……もしかして……。
「リネラス、冒険者ギルドではギルドメンバーのお金を預かったりしてくれるのか?」
「もちろん!公認の冒険者ギルドならどこでもお金の預け入れ、引き落としも自由に行えるから!」
なるほどな。中世時代の文明のわりには不自然なまでに冒険者ギルドの技術は進んでいるな。やはり初代ギルドマスターはかなりの人間だったのかも知れないな。
「わかった。リネラス、全額を貯金しておいてくれ」
「え!? 全額を貯金?」
「ああ、今のところはお金を使う予定がないからな」
俺は冒険者ギルドカードをリネラスから受け取ると冒険者ギルドの建物から出た。
そして歩くこと1分、イノンが一人で切り盛りしている宿屋に戻ってきた。
彼女は一生懸命がんばっているようだが顔を見ればわかる。
とても無理をしているようにしか見えない。
だからと言って俺がどうこうできる問題でもない。
肉親の死は自分自身で乗り越えないといけないからだ。
いまはそっとしておくのがいいかも知れないな。
先ほどから魔力が急速に減っていくのを感じるし今日はもう休むとしよう。
部屋で休んでいると部屋の扉のノック音で目が覚めた。
「誰だ?イノンか?」
【探索】の魔法を使うが色は緑だな――つまり俺の知ってる村人ということになるが誰だ?
イノンならすぐに返答してくるはずだし、ほかの客を客が宿泊している宿屋に入れるなどしないだろう。
仕方ない、面倒だが起き上がるか。
部屋の扉を開けて訪問者を確認する。
「おい、冒険者ギルドでの仕事はいいのか?」
「定時であがりました。3年間ずっと給料もらわずに仕事していましたから。いくらでも有給があるんですよね。さあ私も給料が出ましたけど、ユウマが私に食事を奢ってくれる約束は果たされていませんから今日こそは奢ってもらいますね」
俺はリネラスの言葉を聞きながら溜息をつく。
俺はウラヌス十字軍と戦っている身なのだ。
親しくされても困ってしまう。
「リネラス、お前の仕事については、俺は何も言わんが、あまり俺に親しくするな。はっきり言って迷惑だ」
「ユウマは約束を破るんですか?」
俺の事を上目遣いに見ながらリネラスは語りかけてくる。
「わかった……約束は約束だからな……着替えるから少し待っていてくれ」
まぁ約束したのだから守らないと駄目だよな……。
とりあえずは着替えるか。
俺は、下着姿で寝ていたこともありすぐに洋服を着て部屋の扉を開ける。
「待たせたな、それじゃ好きな所へ連れていけ」
リネラスは俺の言葉に頷くと手を取り歩きだした。
俺は、リネラスに引っ張られたまま【金獅子の森】と言う食堂に連れて行かれた。
料理の値段が一人金貨5枚であった。
つまり2人で10万円分の金貨を消費してしまった計算になる。
こんな村の食堂で10万円分……味は美味かったが財布の中身が残り金貨10枚になってしまった。
「リネラス、冒険者とギルドの受付嬢がこういう所を見られたら変な勘ぐりをされるんじゃないか?」
「良いことを教えてあげるね。ユウマは気がついてないと思うけど、お金をきちんと稼げる男性は結婚相手としては優良物件なんですよ? 私も、そろそろ年齢的にやばいですしユウマがもらってくれるなら良いんですよ?」
「いや、よくないから……」
俺は即答で突っ込みを入れた。
こいつは早く何とかしないと駄目だな。
さっきから俺の事を獲物として認識にしてきてるのが伝わってくる。
「おい、そろそろ組んでいる腕を放すのはどうだろうか?」
「いやです!」
俺はいくら好意を抱かれていようとお金を稼ぐ人がいいです!と面と向かって言ってくる女性は御免こうむる。
「リネラス、俺はお前に興味はないし、それに20歳を超えているんだろう? 年齢的に差がありすぎだ」
「え?私はまだ19歳ですけど?」
なん…だ……と!?どう見ても20歳前半から中盤にしか見えないんだが。
ああ、そうか西洋人はたしか老けて見えると聞いた事がある。
見間違えても仕方ないだろう。
「そうですか。ユウマは私の年齢を高く見ていたんですね。なら私の年齢はユウマと4歳しか変わりません!さあ、愛の告白をしてください!」
「それは無理だ! お前の性格は生理的に無理だからな!」
リネラスは俺の生理的という言葉にショックを受けたのか、その場で立ちつくしてしまった。
俺はチャンスと思い、そのままリネラスを置いて宿屋に戻った。
――その頃、ネイルド公爵家の地下室では2人の男が話し合いをしていた。
「ヴァルドがやられたようだな?」
「所詮、やつは我らが四魔将の中では最弱、正面から相手と戦えぬ臆病者よ」
男たちは自分たちが指に嵌めていた誓いの指輪の灰の粉を見て語る。
【誓いの指輪】それは、盟約を交わした相手が生きてるかどうかを伝える魔道具であり4魔将は全員が盟約を交わし指に嵌めている。
「俺がヴァルドを倒したという奴を探し出して殺してきてやる。魔法師殺しのヴァルドが殺せなかったってことは俺やお前みたいな戦士タイプなのだろう。なら俺に勝てる奴がいるとは思えない。この怪力無双のラグルドが引導を渡してきてやろう」
ラグルドが席から立ち上がる。
「ラグルド、失敗は許されないぞ?私たちはネイルド公爵家の直属の精鋭部隊を束ねる者だ。貴様が敗れればネイルド公爵家の支配力の低下が起きると言う事を忘れるなよ?」
「いつになく饒舌だな?瞬殺の殺し屋ガムルとは思えないほどだ。安心しろ! 俺にはこの鍛え抜かれた肉体がある。この肉体は全てが最高レベルまで鍛え上げられている! 任せておけ!」
部屋から出ていくラグルドを見ながらガルムは思考する。
たしかに如何なる魔法をも弾きあらゆる特技や武具すら貫通しない肉体を持つラグルドは誰にも倒せないだろう。
倒すなら水の底に沈めて窒息死させるくらいしかないが、日照り続きなのにそれだけの水を確保できる人間がいるとは思えない。
「またラグルドの怪力無双の二つ名が鳴り響いてしまうか」
ガルムの一人呟いた声は部屋の中に反響し消えていった。
両開きの扉を開き冒険者ギルドに入ると相変わらず冒険者は誰も居らず閑古鳥が鳴いていた。
「あ、ユウマ。おかえりなさい」
とてもフレンドリーな挨拶をしてきたリネラスに対して俺は頷くだけにして近づく。
「リネラス、植物プラントの討伐が終わった」
「え?昨日、受注したばかりだよね? ランクSだけど……」
リネラスが困惑した表情を浮かべている。
「あ、あの冒険者カードを出してもらっていいですか?」
俺は冒険者カードを取り出してリネラスに渡す。
リネラスは何やらブツブツ呟いている。
「うそ!?植物プラントの討伐数8377匹?一体、どうやって?」
ふむ、ウジャウジャいると思ったがかなりいたんだな。
俺は心の中で一人突っ込んでいると。
「え、えっと……ユウマはすごいね!」
「普通だろ? そんなことはどうでもいいから依頼達成金はもらえるんだろうな? 給料もろくに貰えないのに大丈夫なのか?」
俺の言葉にリネラスが無い胸を強調するかのように胸を張り『ふふっ、問題ないのです』と語ってきた。
そして依頼書と冒険者カードを並べた後に、リネラスが懐から金色の鍵を取り出し何もない空間で鍵をまわした。
すると鍵が開く音と共に空間が割れた。
そして、割れた空間から袋が出現して受付のテーブルの上に落ちてくる。
同時に冒険者カードが光り依頼書に済みのマークが浮き上がってきた。
「すごいな……」
まるで魔法みたいだ。
「この鍵は冒険者ギルドを創設した初代ギルドマスターが作った物で空間に干渉して全世界の冒険者ギルドと金庫を共有できる優れものなんだよ!」
ほほう、初代ギルドマスターか……。
空間に干渉するアイテム作るとか俺よりチートなんじゃないか?
「だが、その鍵とか悪用されたりするんじゃないか?」
俺の言葉にリネラスが頭をふる。
「それは無理! だって冒険者カードに記録されている情報と受けた依頼書の達成の有無でしかお金は出てこないから! それ以外には使えないの!」
ん?全世界の金庫と共有ってことは……もしかして……。
「リネラス、冒険者ギルドではギルドメンバーのお金を預かったりしてくれるのか?」
「もちろん!公認の冒険者ギルドならどこでもお金の預け入れ、引き落としも自由に行えるから!」
なるほどな。中世時代の文明のわりには不自然なまでに冒険者ギルドの技術は進んでいるな。やはり初代ギルドマスターはかなりの人間だったのかも知れないな。
「わかった。リネラス、全額を貯金しておいてくれ」
「え!? 全額を貯金?」
「ああ、今のところはお金を使う予定がないからな」
俺は冒険者ギルドカードをリネラスから受け取ると冒険者ギルドの建物から出た。
そして歩くこと1分、イノンが一人で切り盛りしている宿屋に戻ってきた。
彼女は一生懸命がんばっているようだが顔を見ればわかる。
とても無理をしているようにしか見えない。
だからと言って俺がどうこうできる問題でもない。
肉親の死は自分自身で乗り越えないといけないからだ。
いまはそっとしておくのがいいかも知れないな。
先ほどから魔力が急速に減っていくのを感じるし今日はもう休むとしよう。
部屋で休んでいると部屋の扉のノック音で目が覚めた。
「誰だ?イノンか?」
【探索】の魔法を使うが色は緑だな――つまり俺の知ってる村人ということになるが誰だ?
イノンならすぐに返答してくるはずだし、ほかの客を客が宿泊している宿屋に入れるなどしないだろう。
仕方ない、面倒だが起き上がるか。
部屋の扉を開けて訪問者を確認する。
「おい、冒険者ギルドでの仕事はいいのか?」
「定時であがりました。3年間ずっと給料もらわずに仕事していましたから。いくらでも有給があるんですよね。さあ私も給料が出ましたけど、ユウマが私に食事を奢ってくれる約束は果たされていませんから今日こそは奢ってもらいますね」
俺はリネラスの言葉を聞きながら溜息をつく。
俺はウラヌス十字軍と戦っている身なのだ。
親しくされても困ってしまう。
「リネラス、お前の仕事については、俺は何も言わんが、あまり俺に親しくするな。はっきり言って迷惑だ」
「ユウマは約束を破るんですか?」
俺の事を上目遣いに見ながらリネラスは語りかけてくる。
「わかった……約束は約束だからな……着替えるから少し待っていてくれ」
まぁ約束したのだから守らないと駄目だよな……。
とりあえずは着替えるか。
俺は、下着姿で寝ていたこともありすぐに洋服を着て部屋の扉を開ける。
「待たせたな、それじゃ好きな所へ連れていけ」
リネラスは俺の言葉に頷くと手を取り歩きだした。
俺は、リネラスに引っ張られたまま【金獅子の森】と言う食堂に連れて行かれた。
料理の値段が一人金貨5枚であった。
つまり2人で10万円分の金貨を消費してしまった計算になる。
こんな村の食堂で10万円分……味は美味かったが財布の中身が残り金貨10枚になってしまった。
「リネラス、冒険者とギルドの受付嬢がこういう所を見られたら変な勘ぐりをされるんじゃないか?」
「良いことを教えてあげるね。ユウマは気がついてないと思うけど、お金をきちんと稼げる男性は結婚相手としては優良物件なんですよ? 私も、そろそろ年齢的にやばいですしユウマがもらってくれるなら良いんですよ?」
「いや、よくないから……」
俺は即答で突っ込みを入れた。
こいつは早く何とかしないと駄目だな。
さっきから俺の事を獲物として認識にしてきてるのが伝わってくる。
「おい、そろそろ組んでいる腕を放すのはどうだろうか?」
「いやです!」
俺はいくら好意を抱かれていようとお金を稼ぐ人がいいです!と面と向かって言ってくる女性は御免こうむる。
「リネラス、俺はお前に興味はないし、それに20歳を超えているんだろう? 年齢的に差がありすぎだ」
「え?私はまだ19歳ですけど?」
なん…だ……と!?どう見ても20歳前半から中盤にしか見えないんだが。
ああ、そうか西洋人はたしか老けて見えると聞いた事がある。
見間違えても仕方ないだろう。
「そうですか。ユウマは私の年齢を高く見ていたんですね。なら私の年齢はユウマと4歳しか変わりません!さあ、愛の告白をしてください!」
「それは無理だ! お前の性格は生理的に無理だからな!」
リネラスは俺の生理的という言葉にショックを受けたのか、その場で立ちつくしてしまった。
俺はチャンスと思い、そのままリネラスを置いて宿屋に戻った。
――その頃、ネイルド公爵家の地下室では2人の男が話し合いをしていた。
「ヴァルドがやられたようだな?」
「所詮、やつは我らが四魔将の中では最弱、正面から相手と戦えぬ臆病者よ」
男たちは自分たちが指に嵌めていた誓いの指輪の灰の粉を見て語る。
【誓いの指輪】それは、盟約を交わした相手が生きてるかどうかを伝える魔道具であり4魔将は全員が盟約を交わし指に嵌めている。
「俺がヴァルドを倒したという奴を探し出して殺してきてやる。魔法師殺しのヴァルドが殺せなかったってことは俺やお前みたいな戦士タイプなのだろう。なら俺に勝てる奴がいるとは思えない。この怪力無双のラグルドが引導を渡してきてやろう」
ラグルドが席から立ち上がる。
「ラグルド、失敗は許されないぞ?私たちはネイルド公爵家の直属の精鋭部隊を束ねる者だ。貴様が敗れればネイルド公爵家の支配力の低下が起きると言う事を忘れるなよ?」
「いつになく饒舌だな?瞬殺の殺し屋ガムルとは思えないほどだ。安心しろ! 俺にはこの鍛え抜かれた肉体がある。この肉体は全てが最高レベルまで鍛え上げられている! 任せておけ!」
部屋から出ていくラグルドを見ながらガルムは思考する。
たしかに如何なる魔法をも弾きあらゆる特技や武具すら貫通しない肉体を持つラグルドは誰にも倒せないだろう。
倒すなら水の底に沈めて窒息死させるくらいしかないが、日照り続きなのにそれだけの水を確保できる人間がいるとは思えない。
「またラグルドの怪力無双の二つ名が鳴り響いてしまうか」
ガルムの一人呟いた声は部屋の中に反響し消えていった。
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コメント
ノベルバユーザー322977
筋肉はどーしたら最強になるんだw
ウォン
最弱何人いるんだよ