【書籍化作品】無名の最強魔法師
進撃の魔王アリア
スライムに乗りながら森の中を移動するユウマの妹アリア。
彼女の周囲の森の雰囲気が急速に悪化しつつあった。
「(これは……)」
「どうしたの?スラちゃん」
テイマーとしての能力も保有してるがゆえに契約獣魔であるスライムの機微を感じ取ったアリアは、スライムに話しかけた。
「(どうやら、そうとう危険な魔物がフィールドダンジョンからユウマ村に向かっているようだな。我々の方にも何千体か近づいてきている。このままでは数日持たずにユウマ村は人が誰も存在しない廃墟と化すやもしれん)」
「ふーん。とりあえず、お兄ちゃんセンサーによると匂いがアッチに続いてるから先を急ぎましょ」
アリアは、スライムから聞いた話にまったく興味が沸かなかった。
「(……よいのか?自らの親や知り合いが魔物に殺されるかも知れないのだぞ?戻らなくてよいのか?)」
スライムの話を聞きながらアリアは、座っていたスライムの上に横になる。
「スラちゃんは、分かってませんね。その時はその時ですよ。大体、自分の保身の事しか考えてない親とか都合のいい時だけ持ち上げてくる村の人間とか別に死んでも何とも思いません。だってあんなの救う価値なんてないじゃないですか?」
「(……)」
「スラちゃんは、妙な所で甘いですよね。まるで、お兄ちゃんみたいです。そんなんじゃ自分が傷つくだけなのです。それにお兄ちゃんが村から出た今が2人きりになる好機なのに……どうして他人のために自分を犠牲にするか分かりません。私は私が大事ですしお兄ちゃんには私が必要なのです。そこに他人は存在しなくてもいいのですよ」
「(……)」
「あれです。村人が全員殺されればお兄ちゃんを苛めていた連中が消えるから、私としては死んでもらった方がいいんですけど、お兄ちゃんが悲しむかも知れませんからスラちゃんの提案に許可を出したんですからね?」
「(うむー)」
アリアにとって、村人というのは兄の力を宛てにして群がってきた寄生虫でしかなかった。
都合が悪くなればすぐ、お兄ちゃんに罪を擦りつけて文句を言ってくる。
それなのに、お兄ちゃんが頑張ってもそれが当然のように考える村人にアリアは毎日殺意を覚えていた。教会で勉強を教えていた知的なお兄ちゃんを、何人もの女達が羨望の眼差しで見ていたのに気がついた時には、ハエを全員殺そうと思った。
でも、お兄ちゃんが悲しむかも知れないから我慢した。
そして、教会で教える役をリリナに任せる事にした。もちろんお兄ちゃんを説得した。
最初の数年はうまくいっていた。
ハエがお兄ちゃんに集るのを阻止できたと思ったのに……。
「(アリア!気をつけよ。魔物がくるぞ!)」
意思疎通により、アリアの眼前から骸骨に丸盾と幅広の剣を持つ魔物たちが数百体、森の中から姿を現した。
現れた方向はお兄ちゃんが向かった方向。
そんなに私の邪魔をしたいの?
「お兄ちゃんの匂いをお前たちの腐臭で消すな!!」
アリアは怒りのあまり吼えた。
こいつらは許さない。
一匹残らず駆逐してやる。
「スラちゃん、戦闘モードに移行。全ての魔物を食らって!」
「(だがそれをすれば我と魔力バイパスが繋がっているユウマにも負担がかかるやも知れぬぞ?)」
「大丈夫です。私には分かるのです。お兄ちゃんはこの程度の魔物なら問題ないのです。さあ、蹂躙するのです!分裂するのです!」
アリアの言葉に森の中を進みながら色々な物を吸収し20メートル近くまで巨大化していたスライムが弾け飛ぶ。その数は400体。
そして戦いは一瞬で終わった。
物理攻撃では効果薄いスライムに武器で挑んだ魔物は悉くスライムに吸収されてしまった。
そして、スライムの大きさはすでに40メートルを超えていた。
ズルズルと森の中を進みながら、正者の森から流れてきた魔物を食らって食らって食らって力にしていく。いつしか、青い色合いであったスライムの色は黄色く変化していた。
「……スラちゃん、色変わった?」
スライムの上で寝そべっていたアリアは、ふと疑問に思った事を口にする。
「(……かなり前に進化したと言ったろうに。聞いてなかったのか?)」
「うん、聞いてなかった。お兄ちゃんの匂いを嗅いで道を探してたからね」
「(……アリアよ、貴様は人間なんだよな?)」
「何を言ってるんですか!?私くらい人間らしい人間なんていないですよ!失礼しちゃいます。そんな悪い子にはお兄ちゃん列伝外伝999話を聞かせる必要がありますね」
「(……どうやら遊んでる暇はないようだぞ?正者の森は我々を敵として認識したようだ。分かる範囲だけで1万というところか。ドラゴンゾンビやデーモンゾンビまで混じっているな)」
「倒して……」
「(……?)」
「スラちゃん!殲滅して!お兄ちゃんの匂いが腐臭で消えてるの。許さない、こいつらは許さない!!お兄ちゃんが言ってたアレを使うよ!」
「(……だ、だが、あれはユウマの魔力を極端に削るぞ?よいのか?)」
「スラちゃん、お兄ちゃんと私の仲を裂こうとするモノは敵なのです。正者の森が私たちを敵として認識した?違います。私達が敵として認識したのです」
「(……)」
「いいから早く!時間かかるんでしょう?」
「(……分かった。それでは攻撃に移る)」
スライムが変形していき、体の中央部分が空洞になり穴が出来ていく。
その穴の中に膨大な魔力が収束されていく。
これはユウマと契約しているスライムにしか使えないトンデモ技。
ユウマがネタに話していたのをアリアとスライムが完成された必殺技。
その名も……。
「なぎ払えー。ファイナルスライーム」
巨大な魔力収束砲が森を蒸発させ進行してきていたドラゴンゾンビやデーモンゾンビなどの古の強大な魔物の防御壁ですら瞬時に消し飛ばし本体を消滅させていく。
ユゼウ王国とアルネ王国の中間で打ったその魔力収束砲は、ユウマ村を襲っていた後続である魔物を全て消し飛ばす。
「スラちゃんそのまま回転!」
アリアの支持に魔力収束砲を維持したまま、スライムが魔力収束砲を横にずらしていく。
それに伴い森が、魔物が次々と消し飛び消滅する。
そして……森の中にはアリアとスライムを中心とした数十キロに及ぶ円形の地面がむき出しの地形が出来上がった。
「(……さすがユウマの魔力と言ったところか。しかし……正者の森と死霊の森の大半が消し飛んでしまったな。これはスライム裁判になりかねんな)」
「やっぱりお兄ちゃんの力は偉大だね!さあ、なんとなく向こうな気がするから進みましょう」
アリアの言葉にスライムは移動を始める。
「(……コイツは早くなんとかしないと……ユウマよ、アリアの暴走を止められるのはお前だけだぞ。女連れで旅をする事は無いと思うが、それだけはやめてくれ。世界が滅びるやも知れん)」
二人の行き先にあるのは、ユゼウ王国のSランク冒険者10人と王に忠誠を誓った7人の騎士が守る最大最強の軍事都市であり民を圧制を敷くエルンペイア王が座する都市。
その軍事力は類を見ないほど強大であり他国もおいそれと手が出せないものであった。
彼女の周囲の森の雰囲気が急速に悪化しつつあった。
「(これは……)」
「どうしたの?スラちゃん」
テイマーとしての能力も保有してるがゆえに契約獣魔であるスライムの機微を感じ取ったアリアは、スライムに話しかけた。
「(どうやら、そうとう危険な魔物がフィールドダンジョンからユウマ村に向かっているようだな。我々の方にも何千体か近づいてきている。このままでは数日持たずにユウマ村は人が誰も存在しない廃墟と化すやもしれん)」
「ふーん。とりあえず、お兄ちゃんセンサーによると匂いがアッチに続いてるから先を急ぎましょ」
アリアは、スライムから聞いた話にまったく興味が沸かなかった。
「(……よいのか?自らの親や知り合いが魔物に殺されるかも知れないのだぞ?戻らなくてよいのか?)」
スライムの話を聞きながらアリアは、座っていたスライムの上に横になる。
「スラちゃんは、分かってませんね。その時はその時ですよ。大体、自分の保身の事しか考えてない親とか都合のいい時だけ持ち上げてくる村の人間とか別に死んでも何とも思いません。だってあんなの救う価値なんてないじゃないですか?」
「(……)」
「スラちゃんは、妙な所で甘いですよね。まるで、お兄ちゃんみたいです。そんなんじゃ自分が傷つくだけなのです。それにお兄ちゃんが村から出た今が2人きりになる好機なのに……どうして他人のために自分を犠牲にするか分かりません。私は私が大事ですしお兄ちゃんには私が必要なのです。そこに他人は存在しなくてもいいのですよ」
「(……)」
「あれです。村人が全員殺されればお兄ちゃんを苛めていた連中が消えるから、私としては死んでもらった方がいいんですけど、お兄ちゃんが悲しむかも知れませんからスラちゃんの提案に許可を出したんですからね?」
「(うむー)」
アリアにとって、村人というのは兄の力を宛てにして群がってきた寄生虫でしかなかった。
都合が悪くなればすぐ、お兄ちゃんに罪を擦りつけて文句を言ってくる。
それなのに、お兄ちゃんが頑張ってもそれが当然のように考える村人にアリアは毎日殺意を覚えていた。教会で勉強を教えていた知的なお兄ちゃんを、何人もの女達が羨望の眼差しで見ていたのに気がついた時には、ハエを全員殺そうと思った。
でも、お兄ちゃんが悲しむかも知れないから我慢した。
そして、教会で教える役をリリナに任せる事にした。もちろんお兄ちゃんを説得した。
最初の数年はうまくいっていた。
ハエがお兄ちゃんに集るのを阻止できたと思ったのに……。
「(アリア!気をつけよ。魔物がくるぞ!)」
意思疎通により、アリアの眼前から骸骨に丸盾と幅広の剣を持つ魔物たちが数百体、森の中から姿を現した。
現れた方向はお兄ちゃんが向かった方向。
そんなに私の邪魔をしたいの?
「お兄ちゃんの匂いをお前たちの腐臭で消すな!!」
アリアは怒りのあまり吼えた。
こいつらは許さない。
一匹残らず駆逐してやる。
「スラちゃん、戦闘モードに移行。全ての魔物を食らって!」
「(だがそれをすれば我と魔力バイパスが繋がっているユウマにも負担がかかるやも知れぬぞ?)」
「大丈夫です。私には分かるのです。お兄ちゃんはこの程度の魔物なら問題ないのです。さあ、蹂躙するのです!分裂するのです!」
アリアの言葉に森の中を進みながら色々な物を吸収し20メートル近くまで巨大化していたスライムが弾け飛ぶ。その数は400体。
そして戦いは一瞬で終わった。
物理攻撃では効果薄いスライムに武器で挑んだ魔物は悉くスライムに吸収されてしまった。
そして、スライムの大きさはすでに40メートルを超えていた。
ズルズルと森の中を進みながら、正者の森から流れてきた魔物を食らって食らって食らって力にしていく。いつしか、青い色合いであったスライムの色は黄色く変化していた。
「……スラちゃん、色変わった?」
スライムの上で寝そべっていたアリアは、ふと疑問に思った事を口にする。
「(……かなり前に進化したと言ったろうに。聞いてなかったのか?)」
「うん、聞いてなかった。お兄ちゃんの匂いを嗅いで道を探してたからね」
「(……アリアよ、貴様は人間なんだよな?)」
「何を言ってるんですか!?私くらい人間らしい人間なんていないですよ!失礼しちゃいます。そんな悪い子にはお兄ちゃん列伝外伝999話を聞かせる必要がありますね」
「(……どうやら遊んでる暇はないようだぞ?正者の森は我々を敵として認識したようだ。分かる範囲だけで1万というところか。ドラゴンゾンビやデーモンゾンビまで混じっているな)」
「倒して……」
「(……?)」
「スラちゃん!殲滅して!お兄ちゃんの匂いが腐臭で消えてるの。許さない、こいつらは許さない!!お兄ちゃんが言ってたアレを使うよ!」
「(……だ、だが、あれはユウマの魔力を極端に削るぞ?よいのか?)」
「スラちゃん、お兄ちゃんと私の仲を裂こうとするモノは敵なのです。正者の森が私たちを敵として認識した?違います。私達が敵として認識したのです」
「(……)」
「いいから早く!時間かかるんでしょう?」
「(……分かった。それでは攻撃に移る)」
スライムが変形していき、体の中央部分が空洞になり穴が出来ていく。
その穴の中に膨大な魔力が収束されていく。
これはユウマと契約しているスライムにしか使えないトンデモ技。
ユウマがネタに話していたのをアリアとスライムが完成された必殺技。
その名も……。
「なぎ払えー。ファイナルスライーム」
巨大な魔力収束砲が森を蒸発させ進行してきていたドラゴンゾンビやデーモンゾンビなどの古の強大な魔物の防御壁ですら瞬時に消し飛ばし本体を消滅させていく。
ユゼウ王国とアルネ王国の中間で打ったその魔力収束砲は、ユウマ村を襲っていた後続である魔物を全て消し飛ばす。
「スラちゃんそのまま回転!」
アリアの支持に魔力収束砲を維持したまま、スライムが魔力収束砲を横にずらしていく。
それに伴い森が、魔物が次々と消し飛び消滅する。
そして……森の中にはアリアとスライムを中心とした数十キロに及ぶ円形の地面がむき出しの地形が出来上がった。
「(……さすがユウマの魔力と言ったところか。しかし……正者の森と死霊の森の大半が消し飛んでしまったな。これはスライム裁判になりかねんな)」
「やっぱりお兄ちゃんの力は偉大だね!さあ、なんとなく向こうな気がするから進みましょう」
アリアの言葉にスライムは移動を始める。
「(……コイツは早くなんとかしないと……ユウマよ、アリアの暴走を止められるのはお前だけだぞ。女連れで旅をする事は無いと思うが、それだけはやめてくれ。世界が滅びるやも知れん)」
二人の行き先にあるのは、ユゼウ王国のSランク冒険者10人と王に忠誠を誓った7人の騎士が守る最大最強の軍事都市であり民を圧制を敷くエルンペイア王が座する都市。
その軍事力は類を見ないほど強大であり他国もおいそれと手が出せないものであった。
コメント
ノベルバユーザー366463
そもそもSランク冒険者になった時点で無名じゃないけどね笑笑
ノベルバユーザー333169
最強の妹無双にタイトル代わりそう
春咲友花
まさかユウマの魔力が抜けていたのって…… これが原因?
ノベルバユーザー322977
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ガクブル
ノベルバユーザー218610
自分の欲の為に兄の魔力勝手に使うとか、村人とやってる事同じで草