【書籍化作品】無名の最強魔法師
町がピンチ!? 海神ウミゾーの襲撃!(前編)
知りあいになった兵士達から情報を仕入れた俺は、リネラスを連れて海の港町カレイドスコープを出た後に、町から離れた場所に設置した【移動式冒険者ギルド宿屋】の中で一息ついていた。
俺は、カウンターに座りながらイノンが入れてくれたお茶を飲む。
そして兵士から聞いた話をすると、イノンがリネラスを気の毒な視線でみている。
「リネラス……兵士から聞いた話によると冒険者ギルドの受付が一人捕まっているらしいから助けにいくか?」
「……うん」
リネラスが神妙な表情をして頷いてくる。
しかし以外と言えば以外だな。
リネラスがここまで繊細だとは思わなかった。
「それで、ユウマさん。捕まっている方はどなたなんですか?」
「たしか……セイレスって名前だったな」
イノンの問いかけに俺は答える。
「それでは、そのセイレスさんを早く助け出した方がいいかもしれませんね。この国の王族と貴族は、冒険者ギルドを恨んでいるみたいですから」
俺は確かにとイノンの言葉に頷く。
冒険者ギルドは、商業都市エメラスに本部を置く巨大組織だ。
その組織と敵対するより味方として利用しておいた方が遥かに楽なはずなのに、ユゼウ王国では、排除の方向へ舵をとっている。
普通は考えられない!
俺は、そこでリネラスをチラッと見て思いだす。
そういえば、コーデル商会のハインツと取引していた時に、リネラスは色々と奪いとっていたなと。
あれが冒険者ギルドのデフォルトの姿なら恨みを買って粛清される可能性もありそうだと一瞬思ってしまう。
まぁ思っただけで確定ではないが。
「そうだな、早めの内に助け出した方がいいだろう。セイレスが生きている可能性もあるからな」
俺とイノンはお互いにセイレスの話をしていると、リネラスがゆっくりと俺の目を見てきた。
「セイレス? ユウマ……いま、セイレスって言ったの?」
リネラスの言葉に俺は頷く。
「リネラス、もう大丈夫なのか?」
「……分かんない。でも……セイレスは私の友達なの。それに遠距離通信の魔法師資格を持っているから、助けられれば商業都市エメラスの冒険者ギルド本部に助けを呼べるかも知れないの」
「なるほど……」
冒険者ギルド本部から戦力を派遣してもらえれば国の治安回復は可能かもしれないな。
まぁ俺が手を貸す事は無いと思うが。
問題は……。
「少し気になったんだが、どうしてセイレスとかの遠距離通信の魔法師は冒険者ギルド本部に通信を送らなかったんだ?」
ユゼウ王国側が動いた時点で助けを呼んでいれば、ここまで酷い事態にならなかったのでは?と思ってしまう。
「ギルドマスターが全員、最初の襲撃で殺されてしまったの。遠距離通信魔法はギルドマスターの権限が必要だから、ギルドマスターが殺されたら遠距離通信魔法がつかえないの」
リネラスが悲痛な顔をして俺に語ってくる。
ただ、俺は気になっていたことがあった。
「それなら誰かをギルドマスターにすれば良かったんじゃないのか?」
「それは無理。だってFランクからSランクまで駆け上がれる冒険者なんていると思う?いたとしても一人のギルド職員がずっと見ておくなんて無理。だから、ここまで好き勝手にやられてしまったの」
つまり相手は初動でギルドマスターという基地を破壊し、通信設備である遠距離通信が使える魔法師を無力化して制圧してきたと。
「リネラス、ギルドマスターの権限というのは誰でも知っている物なのか?」
「ううん。一応、幹部候補の人にしか知らせたらいけないことになっているけど……」
なるほど、つまりリネラスみたいな問題児でも幹部候補になれるというのは置いておいて、これは冒険者ギルド内部に協力者がいる可能性があるな。
明らかに初動の手際が良すぎる。
「リネラス、冒険者ギルドは国の治安を守るという話だったが具体的にはどう言った内容なんだ?」
「うん……冒険者ギルドはローレンス大陸の流れを組む組織なんだけどね。主な仕事は魔物と戦って治安維持をする事。そして、必ず対価を請求することになっているの」
「対価というのは討伐した際の報酬か?」
俺の言葉にリネラスは頷いてきた。
「つまり国が何をしようと非干渉なのか?」
「うん。だって、それはその国の問題だから冒険者ギルドは他国の政治に介入しない代わりに他国の支配者からの支配も受けないって取り決めになっているから」
「だが、今回はそれが破られたと?」
俺の言葉にリネラスが頷く。
ふむ。そうなると、冒険者ギルドを狙い撃ちにしてきている理由が分からないな。
だが偶然にしてはと片付けるには、不可解な点が多すぎる。
「判断材料が少なすぎて、どうにもならないな」
さてと、どうしたものかな。
俺は、カウンターに座りながらイノンが入れてくれたお茶を飲む。
そして兵士から聞いた話をすると、イノンがリネラスを気の毒な視線でみている。
「リネラス……兵士から聞いた話によると冒険者ギルドの受付が一人捕まっているらしいから助けにいくか?」
「……うん」
リネラスが神妙な表情をして頷いてくる。
しかし以外と言えば以外だな。
リネラスがここまで繊細だとは思わなかった。
「それで、ユウマさん。捕まっている方はどなたなんですか?」
「たしか……セイレスって名前だったな」
イノンの問いかけに俺は答える。
「それでは、そのセイレスさんを早く助け出した方がいいかもしれませんね。この国の王族と貴族は、冒険者ギルドを恨んでいるみたいですから」
俺は確かにとイノンの言葉に頷く。
冒険者ギルドは、商業都市エメラスに本部を置く巨大組織だ。
その組織と敵対するより味方として利用しておいた方が遥かに楽なはずなのに、ユゼウ王国では、排除の方向へ舵をとっている。
普通は考えられない!
俺は、そこでリネラスをチラッと見て思いだす。
そういえば、コーデル商会のハインツと取引していた時に、リネラスは色々と奪いとっていたなと。
あれが冒険者ギルドのデフォルトの姿なら恨みを買って粛清される可能性もありそうだと一瞬思ってしまう。
まぁ思っただけで確定ではないが。
「そうだな、早めの内に助け出した方がいいだろう。セイレスが生きている可能性もあるからな」
俺とイノンはお互いにセイレスの話をしていると、リネラスがゆっくりと俺の目を見てきた。
「セイレス? ユウマ……いま、セイレスって言ったの?」
リネラスの言葉に俺は頷く。
「リネラス、もう大丈夫なのか?」
「……分かんない。でも……セイレスは私の友達なの。それに遠距離通信の魔法師資格を持っているから、助けられれば商業都市エメラスの冒険者ギルド本部に助けを呼べるかも知れないの」
「なるほど……」
冒険者ギルド本部から戦力を派遣してもらえれば国の治安回復は可能かもしれないな。
まぁ俺が手を貸す事は無いと思うが。
問題は……。
「少し気になったんだが、どうしてセイレスとかの遠距離通信の魔法師は冒険者ギルド本部に通信を送らなかったんだ?」
ユゼウ王国側が動いた時点で助けを呼んでいれば、ここまで酷い事態にならなかったのでは?と思ってしまう。
「ギルドマスターが全員、最初の襲撃で殺されてしまったの。遠距離通信魔法はギルドマスターの権限が必要だから、ギルドマスターが殺されたら遠距離通信魔法がつかえないの」
リネラスが悲痛な顔をして俺に語ってくる。
ただ、俺は気になっていたことがあった。
「それなら誰かをギルドマスターにすれば良かったんじゃないのか?」
「それは無理。だってFランクからSランクまで駆け上がれる冒険者なんていると思う?いたとしても一人のギルド職員がずっと見ておくなんて無理。だから、ここまで好き勝手にやられてしまったの」
つまり相手は初動でギルドマスターという基地を破壊し、通信設備である遠距離通信が使える魔法師を無力化して制圧してきたと。
「リネラス、ギルドマスターの権限というのは誰でも知っている物なのか?」
「ううん。一応、幹部候補の人にしか知らせたらいけないことになっているけど……」
なるほど、つまりリネラスみたいな問題児でも幹部候補になれるというのは置いておいて、これは冒険者ギルド内部に協力者がいる可能性があるな。
明らかに初動の手際が良すぎる。
「リネラス、冒険者ギルドは国の治安を守るという話だったが具体的にはどう言った内容なんだ?」
「うん……冒険者ギルドはローレンス大陸の流れを組む組織なんだけどね。主な仕事は魔物と戦って治安維持をする事。そして、必ず対価を請求することになっているの」
「対価というのは討伐した際の報酬か?」
俺の言葉にリネラスは頷いてきた。
「つまり国が何をしようと非干渉なのか?」
「うん。だって、それはその国の問題だから冒険者ギルドは他国の政治に介入しない代わりに他国の支配者からの支配も受けないって取り決めになっているから」
「だが、今回はそれが破られたと?」
俺の言葉にリネラスが頷く。
ふむ。そうなると、冒険者ギルドを狙い撃ちにしてきている理由が分からないな。
だが偶然にしてはと片付けるには、不可解な点が多すぎる。
「判断材料が少なすぎて、どうにもならないな」
さてと、どうしたものかな。
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コメント
ノベルバユーザー322977
許可って言うか使えないんじゃね
ノベルバユーザー69968
命がかかってる時に許可が、とか言ってられないと思うんですが。あと、情報を渡さなかったことでどうなるか分からないのかね