【書籍化作品】無名の最強魔法師
荒地のエルブンガスト
「それにしても、すごいですよね」
「う、うん……」
イノンが感心半分、呆れ半分と言った感じで周囲を見ながら呟くと、ユリカが頷き答えている。
まぁ、やってしまったことは仕方ない。
山と山の間の深い渓谷には先ほどまでは澄んだ小川がいくつも流れ豊かに多くの木々が生い茂っていたと言うのに、今では見渡す限り荒野と化している。
「イノン、とりあえず……帆馬車を出して進まないか?」
「え? あ……はい、そうですよね」
イノンは、【移動式冒険者ギルド宿屋】を荒野と化したエルフガーデンへと続く渓谷のエルブンガストで出現させると、馬が繋がれた帆馬車を引いてきた後に、【移動式冒険者ギルド宿屋】を異空間に収納していく。
「お待たせしました」
イノンが申し訳なさそうに言ってきたこともあり、「いや、別に問題ない。そんなに急ぐ旅でもないからな。とりあえず、帆馬車で移動できるところまで移動するとしよう」と、全員を見ながら伝える。
「そうね……とりあえず移動しよ」
リネラスが疲れ切った顔でうわ言のように呟きながら帆馬車に乗りこんでいく。
その後をイノンや他のメンバーも追従する。
俺が最後に帆馬車の従者席に座り、馬の手綱を手にとり走らせる為に手綱を操った。
――10分後。
荒地となったエルフガーデンに続く渓谷であるエルブンガストを、進んでいると「ユウマさん、リネラスさんがすごい落ち込んでいるみたいですけど?」と、ユリカが後ろから語りかけてきた。
俺は溜息をつきながら、帆馬車の中を見ると体育座りしたリネラスが一人ぶつぶつ呟いているのが見えた。
「ふむ……まあ、大丈夫だろ。リネラスだしな」
そのうち、いつも通り元気になるはずだろうし、きちんと森の特性を言わなかったリネラスも悪いのだ。
それに、先に攻撃を仕掛けてきたエルブンガストの樹木の魔物が悪いのだから俺は悪くない。
「……はあ、ユウマさんって時々、リネラスさんに対して辛辣な態度をとりますよね?」
「そうか? 俺としては至って普通の対応なんだが?」
ユリカはどうやら不満があるようだが、俺とリネラスはユゼウ王国に入ってからの仲だ。
いまさら遠慮する間柄でもないしな。
それに、セレンとイノンとセイレスとか見てほしい。
まるで、俺達の会話など聞こえてないとばかりにコミュニケーションを取っているではないか。
その会話の中にはリネラスを労わると言った言葉がまったく含まれていない。
さすが、皆も慣れたものだ。
「そうなんですか……」
ユリカが呆れた顔で俺を見てくる。
そんなユリカの顔を見たときに俺がエルフガーデンに入ってから常時発動している【探索】の魔法範囲内にいくつもの赤とグレーの光点が表示された。
数分後に俺が操る帆馬車と遭遇する可能性が非常に高い。
「どうやら、お客さんのようだな」
「え? お客さんですか?」
ユリカが不思議そうな顔で俺を見てくるが、すぐに魔物の襲撃と結びつけない事から、町にずっと暮らしてきた弊害と言えよう。
ユリカが疑問を呈してきて、俺が答える前に予想よりも早く赤い光点が接近してきて姿を現した。
それは、アライ村の山で時折見かけた狼。
そんな狼を見たユリカは驚いた声で「ユウマさん! あれはフェンリルの亜種であるハウリングドックですよ!」と、叫んできた。
ユリカの声に、帆馬車の中にいたメンバーも何事かと顔を出してくる。
そして、「ああ、なるほど!」と、言う表情を見せたあとにすぐに帆馬車の中に戻っていってしまう。
そんななか、ユリカだけは「ええ? みんな反応が淡泊すぎじゃないですか?」と呟いているが10匹近い2メートルを超す狼を【風刃】の魔法を発動し狼たちを斬り捨てると納得した顔を見せてきた。
すべての狼を魔法で葬ると、その後方から3メートルを超す巨体を持つオーク一団が姿を現した。
その数は20匹近いが攻撃を仕掛けてきようとしたので【風刃】の魔法で斬り捨てる。
「しかし魔物の大群が押し寄せてくるな……一体どうなってるんだ?」
俺はさらに近づいてくる1メートル近い蜂の大軍を魔法で殲滅したところで後ろから軽く、肩を叩かれた。
振り返ると、そこにはセイレスがいてセイレスはほんのりと頬を赤く染めていた。
「――ん? セイレス、どうかしたのか?」
セイレスは俺の問いかけに反応せずに、そして俺の体の匂いを嗅いでくると俺の首を舐めてきた。
俺はすぐに、帆馬車に乗っているほかのメンバーに向けて「お! おい! セイレスが変だぞ!」と告げるといち早く反応したのがイノンとユリカでセイレスを二人で帆馬車の中に連れていく。
セイレスは四肢をバタつかせていたが、最後にはセレンも手伝い両手両足を縄で縛り付けていた。
「一体、どうなっているんだ?」
俺は帆馬車を動かしながらも疑問を呈するとユリカが「これは……もしかして……」と呟いたあとに、「ユウマさん、これは危険かも知れません!」と、ユリカが叫んできたが「何が危険なのかきちんと教えてくれないと判断に困る」と言うとすぐに「これは噂に聞くエルフ特有の病かもしれません!」と、答えがかえってきたが――意味が分からん。
わかりやすく説明してくれと返そうとしたところで、渓谷を抜けた。
そして、荒地の先にはエルブンガストとは比べ物にならないほど大きな木々が生えている森が広がっていた。
「う、うん……」
イノンが感心半分、呆れ半分と言った感じで周囲を見ながら呟くと、ユリカが頷き答えている。
まぁ、やってしまったことは仕方ない。
山と山の間の深い渓谷には先ほどまでは澄んだ小川がいくつも流れ豊かに多くの木々が生い茂っていたと言うのに、今では見渡す限り荒野と化している。
「イノン、とりあえず……帆馬車を出して進まないか?」
「え? あ……はい、そうですよね」
イノンは、【移動式冒険者ギルド宿屋】を荒野と化したエルフガーデンへと続く渓谷のエルブンガストで出現させると、馬が繋がれた帆馬車を引いてきた後に、【移動式冒険者ギルド宿屋】を異空間に収納していく。
「お待たせしました」
イノンが申し訳なさそうに言ってきたこともあり、「いや、別に問題ない。そんなに急ぐ旅でもないからな。とりあえず、帆馬車で移動できるところまで移動するとしよう」と、全員を見ながら伝える。
「そうね……とりあえず移動しよ」
リネラスが疲れ切った顔でうわ言のように呟きながら帆馬車に乗りこんでいく。
その後をイノンや他のメンバーも追従する。
俺が最後に帆馬車の従者席に座り、馬の手綱を手にとり走らせる為に手綱を操った。
――10分後。
荒地となったエルフガーデンに続く渓谷であるエルブンガストを、進んでいると「ユウマさん、リネラスさんがすごい落ち込んでいるみたいですけど?」と、ユリカが後ろから語りかけてきた。
俺は溜息をつきながら、帆馬車の中を見ると体育座りしたリネラスが一人ぶつぶつ呟いているのが見えた。
「ふむ……まあ、大丈夫だろ。リネラスだしな」
そのうち、いつも通り元気になるはずだろうし、きちんと森の特性を言わなかったリネラスも悪いのだ。
それに、先に攻撃を仕掛けてきたエルブンガストの樹木の魔物が悪いのだから俺は悪くない。
「……はあ、ユウマさんって時々、リネラスさんに対して辛辣な態度をとりますよね?」
「そうか? 俺としては至って普通の対応なんだが?」
ユリカはどうやら不満があるようだが、俺とリネラスはユゼウ王国に入ってからの仲だ。
いまさら遠慮する間柄でもないしな。
それに、セレンとイノンとセイレスとか見てほしい。
まるで、俺達の会話など聞こえてないとばかりにコミュニケーションを取っているではないか。
その会話の中にはリネラスを労わると言った言葉がまったく含まれていない。
さすが、皆も慣れたものだ。
「そうなんですか……」
ユリカが呆れた顔で俺を見てくる。
そんなユリカの顔を見たときに俺がエルフガーデンに入ってから常時発動している【探索】の魔法範囲内にいくつもの赤とグレーの光点が表示された。
数分後に俺が操る帆馬車と遭遇する可能性が非常に高い。
「どうやら、お客さんのようだな」
「え? お客さんですか?」
ユリカが不思議そうな顔で俺を見てくるが、すぐに魔物の襲撃と結びつけない事から、町にずっと暮らしてきた弊害と言えよう。
ユリカが疑問を呈してきて、俺が答える前に予想よりも早く赤い光点が接近してきて姿を現した。
それは、アライ村の山で時折見かけた狼。
そんな狼を見たユリカは驚いた声で「ユウマさん! あれはフェンリルの亜種であるハウリングドックですよ!」と、叫んできた。
ユリカの声に、帆馬車の中にいたメンバーも何事かと顔を出してくる。
そして、「ああ、なるほど!」と、言う表情を見せたあとにすぐに帆馬車の中に戻っていってしまう。
そんななか、ユリカだけは「ええ? みんな反応が淡泊すぎじゃないですか?」と呟いているが10匹近い2メートルを超す狼を【風刃】の魔法を発動し狼たちを斬り捨てると納得した顔を見せてきた。
すべての狼を魔法で葬ると、その後方から3メートルを超す巨体を持つオーク一団が姿を現した。
その数は20匹近いが攻撃を仕掛けてきようとしたので【風刃】の魔法で斬り捨てる。
「しかし魔物の大群が押し寄せてくるな……一体どうなってるんだ?」
俺はさらに近づいてくる1メートル近い蜂の大軍を魔法で殲滅したところで後ろから軽く、肩を叩かれた。
振り返ると、そこにはセイレスがいてセイレスはほんのりと頬を赤く染めていた。
「――ん? セイレス、どうかしたのか?」
セイレスは俺の問いかけに反応せずに、そして俺の体の匂いを嗅いでくると俺の首を舐めてきた。
俺はすぐに、帆馬車に乗っているほかのメンバーに向けて「お! おい! セイレスが変だぞ!」と告げるといち早く反応したのがイノンとユリカでセイレスを二人で帆馬車の中に連れていく。
セイレスは四肢をバタつかせていたが、最後にはセレンも手伝い両手両足を縄で縛り付けていた。
「一体、どうなっているんだ?」
俺は帆馬車を動かしながらも疑問を呈するとユリカが「これは……もしかして……」と呟いたあとに、「ユウマさん、これは危険かも知れません!」と、ユリカが叫んできたが「何が危険なのかきちんと教えてくれないと判断に困る」と言うとすぐに「これは噂に聞くエルフ特有の病かもしれません!」と、答えがかえってきたが――意味が分からん。
わかりやすく説明してくれと返そうとしたところで、渓谷を抜けた。
そして、荒地の先にはエルブンガストとは比べ物にならないほど大きな木々が生えている森が広がっていた。
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コメント
ノベルバユーザー322977
「見てほしい」って「見習って欲しい」って事ですか?