【書籍化作品】無名の最強魔法師
森の迷宮エルフガーデン攻略(1)
俺は片手を上げて軽く挨拶をするが……。
「――」
エルフ達からの反応がない……。
良くみると、どの女エルフも口元から涎を零している。
若干、その様子に引きながらも、俺は【移動式冒険者ギルド宿屋】から、エルフ達を引き離すためにエルフガーデンの集落の方へと少しずつ移動する事にする。
もちろんエルフ達からは目を背けたりなどはしない。
時折「がるるっる」など言ってくるエルフもいる事から、どうやら野生化したエルフもいるようだ……って! 野生化したエルフってなんだよ! っと思わず自分で考えて自分で突っ込みを入れる。
「おとこおおおおおお」
俺が思考していた事に、隙を見せた事に野生の感で気が付いたのか一人の女エルフが突っ込んくる。
そのエルフは、アンネであった。
俺は突っ込んでくるアンネを横に体をズラすことで回避する。
そして、それを皮切りい次々とエルフが突っ込んでくる。
「まったく敵だったら魔法で殲滅して終わりなんだが――」
俺は一人愚痴りながら、エルフガーデンの集落へと向かう。
追ってくるエルフ達を撒かないよう速度を落とし森の中を走ると20分ほどで集落が見えてくる。
エルフガーデンの敷地内に入ると追ってきているエルフ達へと視線を向ける。
「【探索】の魔法を発動! 数は150人って……え? 増えてないか?」
当初より増えてる人数に俺は危機感を抱きつつ、地面に手をつく。
そして地面が陥没しクレーターとなるよう事象を想像し――。
「ぎゃああああああああ」
「うがあああああああ」
「ぐおおおおお」
次々と獣のような声を上げて四方に陥没させた穴の中へとエルフ達は落下していく。
もうエルフじゃなくて、ビーストエルフとでも言っておくか。
全員が落下するのを確認したあと、俺はすぐにエルフガーデンの広場の方へと向かう。
そして、エリンフィートが居る場所へ通じる地下通路へと降りて……。
「おい! エリンフィート! エルフが大変な事になっているぞ!」
俺は扉を開けると同時に、部屋の中で座っている土地神であるエリンフィートに話しかける。
すると「分かっています。私はめったなことではここからは出らません。恐らく……ユウマさんの膨大な魔力とエルフガーデン内に生えている食物が過剰反応を引き起こして今回の減少を引き起こしているのでしょう」と語ってきた。
「解決方法はないのか?」
俺の言葉にエリンフィートは、否定的な意味合いを込めて頭を振ってくる。
「申し訳ありません」
ふむ……。
土地神であるエリンフィートですら対応が出来ないとか一体、何がどうなっているのか……。
しばらく、エルフガーデンに滞在する予定だったから、エルフがエロフ化する要因はゆっくりと突き止めようと考えていたが――。
「ですが……もしかしたら解決方法があるかも知れません」
「おい……解決方法があるならさっさと言えよな」
俺の言葉にエリンフィートはニコリと微笑み「だって、そんなに簡単に謎が解けたらユウマさんのアタフタした姿が見れないですよね?」と呟いてきた。
ほんと、こいつは……。
俺の苛立ちを理解したかは知らないが。
「ユウマさん、じつは――」
「じつは?」
「ここはダンジョンの入り口なのです!」
「……なん……だと……?」
「エルフ達がおかしくなったのは、このダンジョンが出来てからなのですが……中の敵が強すぎてエルフ達では、どうにもできなかったのです。本来であれば聖人様にも無理なはずですが――」
そこで、意味ありげにエリンフィートが俺を緑色の瞳で見つめてくる。
その瞳には、さっさと行って問題を解決してこい! と言わんばかりの内容が含まれてるような気がしてならない。
「つまり、お前が俺に頼みたい依頼ってのは最初からエルフガーデン内にあるダンジョン攻略だったんだな?」
「え? 私はそんな危険な真似をユウマ様! にお願いするなんて出来ません!」
「――」
こいつ……。
どの口が言っているのか一回殴ってやりたい。
妹の件が無ければ冒険者ギルド、エルフガーデン支部にある池に重石を足に括り付けて投げ込んでいるところだ。
「それで、いつ行かれるんですか? 私としてはなるべく早めをお勧めしますけど?」
「今から行ってくる。早めに何とかしないとさすがにな……」
「そうですか。本当に残念です! それではお気をつけて!」
エリンフィートは、ニコリを微笑みながら手を振ってくる。
俺は部屋から出る前に立ち止りエリンフィートの方へ視線をむけ。
「なあ、昨日の宴――もしかしてお前が仕組んだんじゃないだろうな?」
俺の質問に、エリンフィートは一瞬、眉を動かすと「そ、そ、そんな訳ないじゃ無いですヨー」と答えてきた。
なるほどな、事件の犯人はエリンフィートだったということか。
俺に依頼をさっさと終わらせるために仕組んだと……。
この土地神、早くなんとかしないとダメだな。
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ミーウィ
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