【書籍化作品】無名の最強魔法師
従属神襲撃(5)
「くっ――!?」
身体を魔法で強化したまま、地面を蹴りつけドラゴンの口元から落下するリネラスに向けて跳躍する。
ドラゴンの全長は30メートル。
リネラスが吐き出されたドラゴンの口元からダンジョン内の地面までの距離は、10メートル以上ある。
そんな高さから地面に叩きつけられたら、さすがに怪我では済まない。
空中でリネラスを抱きしめたあと、地面に降り立つ。
「リネラス、大丈夫か?」
「――んっ……」
少しだけリネラスが身じろぎしたと思ったところで、壁に貼りつけにしておいたレッドドラゴンが、俺の方へ顔を向けると大きく息を吸い込み――5メートルほどの巨大な炎の塊を吐き出してきた。
さすがに、リネラスを抱きかかえてる状態で炎の塊を受けるわけにいはいかない。
俺だと、肉体修復の魔法で体の修復をする事ができるが、他人の体の回復なんてものはヤンクルさんのような外傷しか直した事がない。
「もうお前は言い――黙っていろ! トカゲが!」
頭の中で、真空状態からの気圧の差により物体を切り裂くイメージを思い浮かべる。
そして――漢字である魔法の発動媒体【キーワード】を選択し右手を向かいくる巨大な炎の塊に向け――。
「【風刃】」
俺が発した言葉は、迷宮内を支配下に置いていた力ある存在――魔力に直接干渉し命令を下す。
周囲の大気は、俺の思考、思念を忠実に理解し魔法を発動させる。
右手の前に展開、発動された魔法――真空の刃は、突風と化し眼前に迫りくる5メートルを超える炎の塊を切り裂き消滅させた。
「少し黙っていろ!」
まったく……。
しかし……さっきは身じろぎをした気がしたが、目を覚ます感じがない。
「リネラス?」
語りかけながら、なんどか身体を揺するが目を覚ます気配がない。
見た限り、服は着ておらず真っ裸だが外傷はないようだが――。
「どうする?」
今の状況だと、判断がつかない。
やはり一度、地上に戻って誰かに見てもらった方がいいだろう。
問題は誰に見てもらうかだが――。
医者など冒険者ギルドに居なかった気が……。
ここはエルフガーデンに住んでいるエルフか、それとも――。
そこまで思案した時点で俺はゆっくりと後ろを振り返る。
ダンジョン内の壁に貼り付けになっていたレッドドラゴンは、残った巨大な左手を上げ振り下ろそうとしていた。
俺は、そのレッドドラゴンを、まっすぐに見上げながら殺気を乗せて静かに「黙ってろと言ったはずだが?」と、殺気を乗せて語りかける。
俺の言葉が理解できたかどうかは知らないが、一瞬だけ体を震わせたあと左手を振り下ろしてくる。
「【風爆】」
瞬時に頭の中で大気を圧縮させ弾けさせるイメージを作り上げ、漢字をキーワードとして魔法を発動させる。
レッドドラゴンの眼前で、圧縮した大気が弾けその巨体を後方へと吹き飛ばす。
すると2枚の巨大な翼を巧みに羽ばたかせると迷宮内とは思えないほど、高い天井――部屋内を飛び回り、俺を中心とした上空を旋回し始めた。
「ガアアアア」
レッドドラゴンは、何度目か旋回したかと思うと直径1メートルはあろうかという炎の弾を吐き出してきた。
その数は、一つではなく20近くあり――。
それらすべてを【風刃】の魔法で斬り裂く。
「時間が惜しい。お前に構ってる余裕はないんだよ! 【風刃】!」
無数の千の真空の刃を作り出し四方八方からドラゴンの体を斬りつける。
2枚の翼は一瞬で斬り刻まれていくが、次から次に飛来してくる【風刃】の刃により落下する事も許されず空中に固定されたまま、30メートルはあろうかという巨大な体躯を血塗れにしてダンジョンの地面へと、地響きを起こして落下した。
「ガルルルル……ル……ゥ……」
レッドドラゴンは、落下してすぐに息絶えて亡骸を残すことなく光の粒子となって消滅していく。
「――ユウマ……」
気が付けばリネラスが、薄っすらと瞼を開けて俺を見て名前を呼んできたが、何故か嫌な予感が――。
「大丈夫か?」
「う……うん……ユウマ、わ、わたし……」
力弱く語りかけてくるリネラスに向かって俺は首を横にふる。
「大丈夫だ。とりあえず一度、ダンジョンから出よう」
俺の言葉にリネラスは。
「私ね……ユウマに嘘をついていたの――」
身体を魔法で強化したまま、地面を蹴りつけドラゴンの口元から落下するリネラスに向けて跳躍する。
ドラゴンの全長は30メートル。
リネラスが吐き出されたドラゴンの口元からダンジョン内の地面までの距離は、10メートル以上ある。
そんな高さから地面に叩きつけられたら、さすがに怪我では済まない。
空中でリネラスを抱きしめたあと、地面に降り立つ。
「リネラス、大丈夫か?」
「――んっ……」
少しだけリネラスが身じろぎしたと思ったところで、壁に貼りつけにしておいたレッドドラゴンが、俺の方へ顔を向けると大きく息を吸い込み――5メートルほどの巨大な炎の塊を吐き出してきた。
さすがに、リネラスを抱きかかえてる状態で炎の塊を受けるわけにいはいかない。
俺だと、肉体修復の魔法で体の修復をする事ができるが、他人の体の回復なんてものはヤンクルさんのような外傷しか直した事がない。
「もうお前は言い――黙っていろ! トカゲが!」
頭の中で、真空状態からの気圧の差により物体を切り裂くイメージを思い浮かべる。
そして――漢字である魔法の発動媒体【キーワード】を選択し右手を向かいくる巨大な炎の塊に向け――。
「【風刃】」
俺が発した言葉は、迷宮内を支配下に置いていた力ある存在――魔力に直接干渉し命令を下す。
周囲の大気は、俺の思考、思念を忠実に理解し魔法を発動させる。
右手の前に展開、発動された魔法――真空の刃は、突風と化し眼前に迫りくる5メートルを超える炎の塊を切り裂き消滅させた。
「少し黙っていろ!」
まったく……。
しかし……さっきは身じろぎをした気がしたが、目を覚ます感じがない。
「リネラス?」
語りかけながら、なんどか身体を揺するが目を覚ます気配がない。
見た限り、服は着ておらず真っ裸だが外傷はないようだが――。
「どうする?」
今の状況だと、判断がつかない。
やはり一度、地上に戻って誰かに見てもらった方がいいだろう。
問題は誰に見てもらうかだが――。
医者など冒険者ギルドに居なかった気が……。
ここはエルフガーデンに住んでいるエルフか、それとも――。
そこまで思案した時点で俺はゆっくりと後ろを振り返る。
ダンジョン内の壁に貼り付けになっていたレッドドラゴンは、残った巨大な左手を上げ振り下ろそうとしていた。
俺は、そのレッドドラゴンを、まっすぐに見上げながら殺気を乗せて静かに「黙ってろと言ったはずだが?」と、殺気を乗せて語りかける。
俺の言葉が理解できたかどうかは知らないが、一瞬だけ体を震わせたあと左手を振り下ろしてくる。
「【風爆】」
瞬時に頭の中で大気を圧縮させ弾けさせるイメージを作り上げ、漢字をキーワードとして魔法を発動させる。
レッドドラゴンの眼前で、圧縮した大気が弾けその巨体を後方へと吹き飛ばす。
すると2枚の巨大な翼を巧みに羽ばたかせると迷宮内とは思えないほど、高い天井――部屋内を飛び回り、俺を中心とした上空を旋回し始めた。
「ガアアアア」
レッドドラゴンは、何度目か旋回したかと思うと直径1メートルはあろうかという炎の弾を吐き出してきた。
その数は、一つではなく20近くあり――。
それらすべてを【風刃】の魔法で斬り裂く。
「時間が惜しい。お前に構ってる余裕はないんだよ! 【風刃】!」
無数の千の真空の刃を作り出し四方八方からドラゴンの体を斬りつける。
2枚の翼は一瞬で斬り刻まれていくが、次から次に飛来してくる【風刃】の刃により落下する事も許されず空中に固定されたまま、30メートルはあろうかという巨大な体躯を血塗れにしてダンジョンの地面へと、地響きを起こして落下した。
「ガルルルル……ル……ゥ……」
レッドドラゴンは、落下してすぐに息絶えて亡骸を残すことなく光の粒子となって消滅していく。
「――ユウマ……」
気が付けばリネラスが、薄っすらと瞼を開けて俺を見て名前を呼んできたが、何故か嫌な予感が――。
「大丈夫か?」
「う……うん……ユウマ、わ、わたし……」
力弱く語りかけてくるリネラスに向かって俺は首を横にふる。
「大丈夫だ。とりあえず一度、ダンジョンから出よう」
俺の言葉にリネラスは。
「私ね……ユウマに嘘をついていたの――」
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