【書籍化作品】無名の最強魔法師
親類の絆(5)
妹の頭を撫でながら、どこまで話したか? と考えながら言葉を紡ごうとしたところでユリカが「ユウマさん、イノンさんのことは?」と尋ねてきた。
「イノンの事は、今はそれよりもリネラスの事を話し合うことが先決だろう?」
「お兄ちゃん、隠し事はよくないの」
「アリア……?」
「だって、お兄ちゃんが何かを隠しているって事をみんな知ってるの」
「――隠しているように見えるのか?」
「うん。だから、みんな……」
妹の問いかけの意味は分かる。
ただ、起きた事を、そのまま話していいのか分からない。
だって、それは人を傷つけることになるから。
それでも話してほしいものなのだろうか?
知らなければ、それでいいのではないだろうか?
「ユウマさん、今起きている問題は、自分の中で抱えていた出来事が問題になっているです。ユウマさんも、そんなことをするんですか?」
「ユリカ……」
「私は、花屋をしていましたし鑑定も得意ですけど、それは表面だけを見て鑑定するわけではありません。その内面を含めて鑑定しています。ユウマさんは、さっき言いましたよね? 私達の力を借りたいと……。それなのに、隠し事をしているのはフェアではないです!」
「そうか……」
余計な心配をしてほしくないと思っただけだったんだが……。
仲間に裏切られていたなんて聞いたら、悲しむと思って言わなかっただけなんだが。
それでも聞きたい。
それでも知りたいというなら――。
「みんな、良く聞いてくれ」
俺は集まっている妹やセレン、ユリカにセイレスにリンスタットを見て小さく溜息をついてから。
「イノンは、ユリーシャの妹だそうだ。そして俺たちの情報をユリーシャに報告していたそうだ」
「それは!?」
「イノンお姉ちゃんが?」
ユリカとセレンが驚いた表情で反応してきたが、セイレスに至っては何もリアクションを寄越してこない。
「お兄ちゃん、どうしてイノンって人がそういうことをしたのかって聞いたの?」
「命令だと言っていたが……」
「そうなの?」
「ああ、そう言っていたからな。だから、皆には知らせたくなかったんだ」
「ユウマさん、他には何か言っていませんでしたか?」
そこでリンスタットが、俺たちの会話に入ってきた。
「分からない。何か言いたそうな顔をしているのは分かったが、問い詰めても「ごめんなさい」しか言わなかった。何度、尋ねても謝罪の言葉しか――」
「それは……何か言えない事情があったのではないですか?」
「事情? 仲間を裏切るのに何の事情があるって言うんだ?」
「それは、わかりませんが……」
「分からないなら、もういいだろう。この話は終わりだ」
俺の言葉にリンスタットだけじゃなくて、誰もが悲しそうな目を俺に向けてきていた。
どうして……俺をそんな目で見てくるのか。
わけが分からない。
もう、俺はイノンに、これからは敵とハッキリと告知したのだから。
すると考えこんでいた俺に妹が話しかけてきた。
「お兄ちゃん。お兄ちゃんが居ない間にね、私達、リネラスって人の事を話しあっただけどね。その人の深層心理世界に入る時に、エリンフィートって人とリンスタットさんを一緒に連れていくのがいいって結論になったの」
「リンスタットだけじゃなくて、エリンフィートも? 二人ともリネラスを傷つけた元凶なんだぞ? そんな二人を連れていくなんて俺にはとても……」
「違うの! 元凶とかそうじゃなくて。リネラスさんが傷ついた根幹が二人にあるなら、その二人と向き合わないと駄目だと思うの」
「そうか……アリアはずいぶんと大人びた話し方が出来るようになったんだな」
俺は妹の頭を撫でながら呟く。
「私だけじゃなくて、ここにいる人のみんなの意見だから!」
「イノンの事は、今はそれよりもリネラスの事を話し合うことが先決だろう?」
「お兄ちゃん、隠し事はよくないの」
「アリア……?」
「だって、お兄ちゃんが何かを隠しているって事をみんな知ってるの」
「――隠しているように見えるのか?」
「うん。だから、みんな……」
妹の問いかけの意味は分かる。
ただ、起きた事を、そのまま話していいのか分からない。
だって、それは人を傷つけることになるから。
それでも話してほしいものなのだろうか?
知らなければ、それでいいのではないだろうか?
「ユウマさん、今起きている問題は、自分の中で抱えていた出来事が問題になっているです。ユウマさんも、そんなことをするんですか?」
「ユリカ……」
「私は、花屋をしていましたし鑑定も得意ですけど、それは表面だけを見て鑑定するわけではありません。その内面を含めて鑑定しています。ユウマさんは、さっき言いましたよね? 私達の力を借りたいと……。それなのに、隠し事をしているのはフェアではないです!」
「そうか……」
余計な心配をしてほしくないと思っただけだったんだが……。
仲間に裏切られていたなんて聞いたら、悲しむと思って言わなかっただけなんだが。
それでも聞きたい。
それでも知りたいというなら――。
「みんな、良く聞いてくれ」
俺は集まっている妹やセレン、ユリカにセイレスにリンスタットを見て小さく溜息をついてから。
「イノンは、ユリーシャの妹だそうだ。そして俺たちの情報をユリーシャに報告していたそうだ」
「それは!?」
「イノンお姉ちゃんが?」
ユリカとセレンが驚いた表情で反応してきたが、セイレスに至っては何もリアクションを寄越してこない。
「お兄ちゃん、どうしてイノンって人がそういうことをしたのかって聞いたの?」
「命令だと言っていたが……」
「そうなの?」
「ああ、そう言っていたからな。だから、皆には知らせたくなかったんだ」
「ユウマさん、他には何か言っていませんでしたか?」
そこでリンスタットが、俺たちの会話に入ってきた。
「分からない。何か言いたそうな顔をしているのは分かったが、問い詰めても「ごめんなさい」しか言わなかった。何度、尋ねても謝罪の言葉しか――」
「それは……何か言えない事情があったのではないですか?」
「事情? 仲間を裏切るのに何の事情があるって言うんだ?」
「それは、わかりませんが……」
「分からないなら、もういいだろう。この話は終わりだ」
俺の言葉にリンスタットだけじゃなくて、誰もが悲しそうな目を俺に向けてきていた。
どうして……俺をそんな目で見てくるのか。
わけが分からない。
もう、俺はイノンに、これからは敵とハッキリと告知したのだから。
すると考えこんでいた俺に妹が話しかけてきた。
「お兄ちゃん。お兄ちゃんが居ない間にね、私達、リネラスって人の事を話しあっただけどね。その人の深層心理世界に入る時に、エリンフィートって人とリンスタットさんを一緒に連れていくのがいいって結論になったの」
「リンスタットだけじゃなくて、エリンフィートも? 二人ともリネラスを傷つけた元凶なんだぞ? そんな二人を連れていくなんて俺にはとても……」
「違うの! 元凶とかそうじゃなくて。リネラスさんが傷ついた根幹が二人にあるなら、その二人と向き合わないと駄目だと思うの」
「そうか……アリアはずいぶんと大人びた話し方が出来るようになったんだな」
俺は妹の頭を撫でながら呟く。
「私だけじゃなくて、ここにいる人のみんなの意見だから!」
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