【書籍化作品】無名の最強魔法師
親類の絆(18)
どんなに目を凝らしてもエルフ達の表情を伺い知ることが出来ない。
というか……。
「これは、一体……どういうことだ?」
大樹に身を隠したままエルフを観察しながら一人呟く。
誰にも聞かれるとは思っていなかったが、明らかに異常な事態に、俺は驚きを隠せない。
そんな、俺の言葉に「そういうことですよ」と、背後から女性の声が聞こえてきた。
「エリンフィートか? 一体、いつから……」
振り返りながら姿を確認しつつ彼女を見る。
彼女の服装は、リネラスが持ってきたワンピースのままで変わりない。
ただ、少しばかり沈んだ雰囲気を醸し出しているような感じを受けるのだが……。
「ユウマさん、ここの世界は深層心理世界ということは事前に説明しましたよね?」
「ああ、聞いていたが?」
「つまりですね。エルフの上位に当たる私が願えば、この世界ではある程度は空間を飛び越えて移動することが可能なんです」
「おいおい、それが出来るなら、どうして最初からそうしなかった? いや、出来ない理由があった?」
「はい、この世界の理を理解しないうちにそれをしてしまえば、どうなるか分かりませんから……それに……」
エリンフィートは、俺をジッと見てくる。
そして小さく溜息をつくと。
「ユウマさんが、どう彼女を思っているのかを私はある程度は察していましたが、それが、どの程度のモノなのかが分かりませんでしたから……」
「俺が、どう思っているのか?」
「はい。ユウマさんは、リネラスさんの事をどう思っているのですか?」
「どう思ってるって言われても……」
リネラスは、フィンデイカの村で俺が冒険者ギルドに入った時に受付をした人物で……。
そして、俺と共に旅をしてきた仲間で――。
いつも冒険者ギルドマスターだ! と威張るくせに、何かあったら泣きついてきて。
何か問題が起きたら誰かのせいにしたりして……。
責任感がまったく無いと思ったら、急に責任感があるような行動をする一貫性の無さもあるが……笑うと、とっても魅力的な……。
そこまで考えたところで俺は頭を振るう。
何故か知らないが、これ以上は考えたらいけない気がする。
「そうだな……。一緒に旅をしてきた仲間ってところか?」
俺の言葉にエリンフィートは、肩を落としながら「お子様ですか? お子様で感情が止まっているんですか?」と、話しかけてくる。
彼女が、何を指して俺をお子様扱いにしているかは分からないが、しばらく黙っていると「はぁー……。これは、思ったよりも深層心理世界の攻略には時間がかかりそうですね」と呟いてきたが、もっと具体的にどうしたらいいのか言ってくれないと分からないんだが……。
まぁ、今はそれよりも……。
「エリンフィート、エルフ達の顔が無いというか見えない原因は分かっているのか?」
「――その理由は、大まかに察していますが……それよりもユウマさんのほうに問題があるかと……」
「俺は関係ないだろ? それよりもエルフの顔が見えない理由はリネラスが俺たちに見せたくないと思っているからなのか?」
「いえ、おそらくリネラスさんは、エルフ達を憎んでいるのでしょう。大人になって、それは表面上には出てこない――もしくは見せないだけで心の奥底――つまり深層心理では憎んでいるのかも知れません。ですから、彼女はエルフ達の顔を私達に見せないのではなく、見せるための情報を渡していないだけだと思います」
「情報を渡していない? どういうことだ?」
エリンフィートの言葉の意味が今一、理解できない。
ただ、彼女は地面に座りこむと近くに転がっていた細い枯れ枝を手に取り地面に図を描いていく。
その図を見て俺は思わず息を呑む。
「簡単に言いますと、この世界はユウマさん! 貴方がリネラスさんから得た情報を元に作り出した世界に過ぎません」
エリンフィートは、断定するかのように語りかけてきた。
というか……。
「これは、一体……どういうことだ?」
大樹に身を隠したままエルフを観察しながら一人呟く。
誰にも聞かれるとは思っていなかったが、明らかに異常な事態に、俺は驚きを隠せない。
そんな、俺の言葉に「そういうことですよ」と、背後から女性の声が聞こえてきた。
「エリンフィートか? 一体、いつから……」
振り返りながら姿を確認しつつ彼女を見る。
彼女の服装は、リネラスが持ってきたワンピースのままで変わりない。
ただ、少しばかり沈んだ雰囲気を醸し出しているような感じを受けるのだが……。
「ユウマさん、ここの世界は深層心理世界ということは事前に説明しましたよね?」
「ああ、聞いていたが?」
「つまりですね。エルフの上位に当たる私が願えば、この世界ではある程度は空間を飛び越えて移動することが可能なんです」
「おいおい、それが出来るなら、どうして最初からそうしなかった? いや、出来ない理由があった?」
「はい、この世界の理を理解しないうちにそれをしてしまえば、どうなるか分かりませんから……それに……」
エリンフィートは、俺をジッと見てくる。
そして小さく溜息をつくと。
「ユウマさんが、どう彼女を思っているのかを私はある程度は察していましたが、それが、どの程度のモノなのかが分かりませんでしたから……」
「俺が、どう思っているのか?」
「はい。ユウマさんは、リネラスさんの事をどう思っているのですか?」
「どう思ってるって言われても……」
リネラスは、フィンデイカの村で俺が冒険者ギルドに入った時に受付をした人物で……。
そして、俺と共に旅をしてきた仲間で――。
いつも冒険者ギルドマスターだ! と威張るくせに、何かあったら泣きついてきて。
何か問題が起きたら誰かのせいにしたりして……。
責任感がまったく無いと思ったら、急に責任感があるような行動をする一貫性の無さもあるが……笑うと、とっても魅力的な……。
そこまで考えたところで俺は頭を振るう。
何故か知らないが、これ以上は考えたらいけない気がする。
「そうだな……。一緒に旅をしてきた仲間ってところか?」
俺の言葉にエリンフィートは、肩を落としながら「お子様ですか? お子様で感情が止まっているんですか?」と、話しかけてくる。
彼女が、何を指して俺をお子様扱いにしているかは分からないが、しばらく黙っていると「はぁー……。これは、思ったよりも深層心理世界の攻略には時間がかかりそうですね」と呟いてきたが、もっと具体的にどうしたらいいのか言ってくれないと分からないんだが……。
まぁ、今はそれよりも……。
「エリンフィート、エルフ達の顔が無いというか見えない原因は分かっているのか?」
「――その理由は、大まかに察していますが……それよりもユウマさんのほうに問題があるかと……」
「俺は関係ないだろ? それよりもエルフの顔が見えない理由はリネラスが俺たちに見せたくないと思っているからなのか?」
「いえ、おそらくリネラスさんは、エルフ達を憎んでいるのでしょう。大人になって、それは表面上には出てこない――もしくは見せないだけで心の奥底――つまり深層心理では憎んでいるのかも知れません。ですから、彼女はエルフ達の顔を私達に見せないのではなく、見せるための情報を渡していないだけだと思います」
「情報を渡していない? どういうことだ?」
エリンフィートの言葉の意味が今一、理解できない。
ただ、彼女は地面に座りこむと近くに転がっていた細い枯れ枝を手に取り地面に図を描いていく。
その図を見て俺は思わず息を呑む。
「簡単に言いますと、この世界はユウマさん! 貴方がリネラスさんから得た情報を元に作り出した世界に過ぎません」
エリンフィートは、断定するかのように語りかけてきた。
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