【書籍化作品】無名の最強魔法師
親類の絆(14)
「ううっ……服がきつい……」
「胸がスカスカです……」
リネラスが持ってきた服を着たリンスタットとエリンフィートは、それぞれ文句を言っている。
まぁ、俺から見てエリンフィートの体型は、リネラスと同じくまな板だから、かなり胸が大きいリンスタットの服は、ある部分で合わないのだろう。
「ダイエットしないと……」
リンスタットがお腹の辺りを擦りながら何かを言っている。
そしてエリンフィートと言えば、「胸なんて脂肪の塊、胸なんて脂肪の塊、胸なんて――」と魔法の詠唱のように言葉を呟いていて、正直言って話しにくい。
それでも……。
「お前らは、まだマシだぞ? どうして俺の服まで女物なんだよ!」
てっきりリネラスには父親と祖父がいるのだから、男物の服を取ってきてくれると思っていた。
それが、どこをどう間違えて持ってきたのか知らないが女物の服――緑色に染色されたワンピースを渡されたのだ。
もちろん、俺は「こんな服を着られるか! ぼけええええ」と地面に服を叩きつけようとした。
そしたら、エリンフィートに「機嫌を損ねたら不味いから着ろ!」と言われ、リンスタットからも「ユウマさん、よかったですね? 是非に着てくださいね?」と言われ泣く泣く着たのだ。
そんな俺を二人は見て――。
「「ユウマさん、良く似合ってますね?」」
――と、二人して嫌味な言葉を掛けてきた。
仕方なく俺も「やっぱり年を取ると運動しなくなるから大変だな?」とか「胸がないと運動が楽だよな?」とか華麗に言葉を返す。
一触即発状態の俺たちをジッと見ていたリネラスは首を傾げながら「お母さんと皆は仲がいいの?」と話しかけてきた。
今の俺たちの状況を見て、どこをどう見たら仲がいいのか問いかけたくなるところだが、ここで問答をしていても仕方ないな。
俺が一人で、リネラスの深層心理世界に接していた時よりも、何故かは知らないがリネラスが子どもぽい気がする。
気のせいかも知れないが……。
「――リンスタットさん、まずは、この世界がユウマさんにお聞きしたとおりの世界かを確認する必要があります。まずはご自宅へ案内していただけるように伝えていただけますか?」
「わかりました」
リンスタットはエリンフィートの言葉に頷きつつも、疑問があったのか「ですが、このあたりの道は私も存じています」とエリンフィートに問いかけていた。
「実はですね。深層心理世界において私達が見ている世界が全てとは限らないのです。そして世界を進めていくにあたり、この世界を構築している者の許可を取らないと場面を変えることが出来ないのです。ですから、入ってきた場所から私はなるべく動かなかったです」
「そうなのですか?」
「ええ――」
「俺は、てっきり裸だと動きたくないとか思っていたんだが、違っていたのか……」
俺の突っ込みにエリンフィートは青筋を立てると「黙りなさい! この変態! 女物の服まで着て愉悦に浸ってるくせに!」と言ってくる。
「お前、ひどくね? お前が着ろとか言ったくせに!」
「そんなことを言った覚えはありません! ここからどうやって帰るかの手段すら無いのに、はぁー……こんな人を聖人と勘違いするなんて……一生の不覚です」
「別に、お前に勘違いされても承認されても困るからな。だいたい、俺はエルフじゃないんだから、偉そうにしないでほしいんだが?」
「――え、えらそうって……一応、私……土地か……」
途中でエリンフィートが口を閉じる。
となりにリンスタットが居たことを思い出したのだろう。
さすがに、自分が土地神というのは告白しにくいんだろうな。
それに土地神ともなると色々と問題も起きそうだし。
「リネラス、お家に帰りましょうか?」
「はーい」
リンスタットに話しかけられたリネラスは嬉しそうな顔をすると、リンスタットの手を取ると俺たちの前を歩き始めた。
「胸がスカスカです……」
リネラスが持ってきた服を着たリンスタットとエリンフィートは、それぞれ文句を言っている。
まぁ、俺から見てエリンフィートの体型は、リネラスと同じくまな板だから、かなり胸が大きいリンスタットの服は、ある部分で合わないのだろう。
「ダイエットしないと……」
リンスタットがお腹の辺りを擦りながら何かを言っている。
そしてエリンフィートと言えば、「胸なんて脂肪の塊、胸なんて脂肪の塊、胸なんて――」と魔法の詠唱のように言葉を呟いていて、正直言って話しにくい。
それでも……。
「お前らは、まだマシだぞ? どうして俺の服まで女物なんだよ!」
てっきりリネラスには父親と祖父がいるのだから、男物の服を取ってきてくれると思っていた。
それが、どこをどう間違えて持ってきたのか知らないが女物の服――緑色に染色されたワンピースを渡されたのだ。
もちろん、俺は「こんな服を着られるか! ぼけええええ」と地面に服を叩きつけようとした。
そしたら、エリンフィートに「機嫌を損ねたら不味いから着ろ!」と言われ、リンスタットからも「ユウマさん、よかったですね? 是非に着てくださいね?」と言われ泣く泣く着たのだ。
そんな俺を二人は見て――。
「「ユウマさん、良く似合ってますね?」」
――と、二人して嫌味な言葉を掛けてきた。
仕方なく俺も「やっぱり年を取ると運動しなくなるから大変だな?」とか「胸がないと運動が楽だよな?」とか華麗に言葉を返す。
一触即発状態の俺たちをジッと見ていたリネラスは首を傾げながら「お母さんと皆は仲がいいの?」と話しかけてきた。
今の俺たちの状況を見て、どこをどう見たら仲がいいのか問いかけたくなるところだが、ここで問答をしていても仕方ないな。
俺が一人で、リネラスの深層心理世界に接していた時よりも、何故かは知らないがリネラスが子どもぽい気がする。
気のせいかも知れないが……。
「――リンスタットさん、まずは、この世界がユウマさんにお聞きしたとおりの世界かを確認する必要があります。まずはご自宅へ案内していただけるように伝えていただけますか?」
「わかりました」
リンスタットはエリンフィートの言葉に頷きつつも、疑問があったのか「ですが、このあたりの道は私も存じています」とエリンフィートに問いかけていた。
「実はですね。深層心理世界において私達が見ている世界が全てとは限らないのです。そして世界を進めていくにあたり、この世界を構築している者の許可を取らないと場面を変えることが出来ないのです。ですから、入ってきた場所から私はなるべく動かなかったです」
「そうなのですか?」
「ええ――」
「俺は、てっきり裸だと動きたくないとか思っていたんだが、違っていたのか……」
俺の突っ込みにエリンフィートは青筋を立てると「黙りなさい! この変態! 女物の服まで着て愉悦に浸ってるくせに!」と言ってくる。
「お前、ひどくね? お前が着ろとか言ったくせに!」
「そんなことを言った覚えはありません! ここからどうやって帰るかの手段すら無いのに、はぁー……こんな人を聖人と勘違いするなんて……一生の不覚です」
「別に、お前に勘違いされても承認されても困るからな。だいたい、俺はエルフじゃないんだから、偉そうにしないでほしいんだが?」
「――え、えらそうって……一応、私……土地か……」
途中でエリンフィートが口を閉じる。
となりにリンスタットが居たことを思い出したのだろう。
さすがに、自分が土地神というのは告白しにくいんだろうな。
それに土地神ともなると色々と問題も起きそうだし。
「リネラス、お家に帰りましょうか?」
「はーい」
リンスタットに話しかけられたリネラスは嬉しそうな顔をすると、リンスタットの手を取ると俺たちの前を歩き始めた。
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