【書籍化作品】無名の最強魔法師
姉妹の思い出(6)
「ほら! ご主人様の紅茶がなくなってるぞ? さっさと注げ!」
「分かったわよ! 注げいいんでしょう? 注げば!」
リネラスが、ドシドシと歩いてくると、ティーポットからティーカップに紅茶を注ごうとしてくるが俺はヒョイと空のティーカップを手にとって、リネラスの手が届かない場所に置く。
「あんたね! それじゃ紅茶が注げないでしょ?」
「ふっ、お前はメイドとしては失格だな!」
「私、メイドじゃなくてギルドマスターだから!」
「やれやれ、ギルドマスターってのは人を派遣するんだろう? だったらメイドの真似事くらいは出来ないと駄目なんじゃないのか?」
「そんなことないから!」
俺の言葉にリネラスが否定的な答えをしてくる。
まったく、自分の価値観を押し付けてくる奴だな。
ここは、きちんと調教しないと駄目なようだ。
「ほら! 俺が教えてやるから!」
「何を教えるつもりなのよ?」
「紅茶の注ぎ方に決まってるだろう? 俺が言った言葉を、そのまま言ってみろ」
「……」
リネラスが素直に頷いてこない。
まったく、わがままな奴だな。
きちんと手本を見せないと駄目なようだ。
「お前は、俺を疑ったんだから、きちんと罰を受けないといけない。分かるよな?」
「だから! メイドの真似をしているんでしょう!」
「ふっ――」
俺は思わず笑ってしまう。
メイドの真似だと?
メイドの真似でメイドという本職を分かった気でいるなど愚の骨頂に過ぎない。
まったく、メイドという仕事を舐めているにも程がある。
「駄メイド! お前にはメイドの何たるかをきちんと教えてやろう!」
「お兄ちゃん、ステキ――」
俺が立ち上がって黒のビキニメイド服を着ているリネラスを指差しながら、リネラスへと言葉をかけると、妹がうっとりとした瞳をしたまま、俺のことを応援してきた。
「――え? あれがステキですか? アリアさん。大丈夫ですか?」
何やらユリカが失礼なことを言って、妹の肩に手を置きながら揺らして聞いているが、「ユリカさんには分からないんですか! お兄ちゃんの素晴らしくありがたいお言葉が! ユリカさんおかしいです!」と、少し怒った口調で言い返している。
するとユリカが「えええー……、私がおかしいの? 私がおかしいのかな?」と何やらブツブツと言っているが、もうこの際、その辺はどうでもいいだろう。
「何よ……本当のメイドって……」
「本当のメイド! それは! 奉仕の精神を持つ職業意識高い系の職人のことを指すんだ!」
「職業意識高い系?」
リネラスが呆けて立ち尽くしている。
やはり、こいつは何も理解していないようだな。
「そうだ! つまりだ! ご主人様! とか、旦那様! とか! そういうに傅いて色々と奉仕するのが本当のメイドなのだ!」
俺は、右こぶしを高く上げながら力説する。
そんな俺の様子を、セレンとセイレスの姉妹は食事する手を止めて大きく口を開いて見てきて「さすが、アリアちゃんのお兄ちゃん! 私の将来の旦那だけのことはあるの!」と何やら興奮した面持ちでセレンが言っているが、俺は幼女には興味が無いと言った言葉を覚えていないのだろうか?
まぁ、それは横に置いておくとして。
「ユウマ、アンタの中のメイド像って一体――」
「決まってるだろ? 朝起きたら、色々と――」
少しだけ想像して、それはそれはとても素晴らしいものだと思いつつ、口にしたら俺が今まで緻密に築き上げてきた信頼度というか、印象度みたいなものが崩壊しかねないと思い口を濁すことにした。
「と、とにかくだ! リネラス、お前にはメイドの極意ってものを享受してやろう!」
「まぁまぁ、娘にこんな格好をさせるなんてユウマさんは、やっぱり鬼畜ですね?」
声がしたほうへ振り向くと、建物の入り口からリンスタットが顔を出していた。
そして、建物の中へと入ってくる。
後ろには、サマラ達、エルフガーデンのエルフやエリンフィートまでもがいる。
そして、リネラスの姿を見て、その誰もが唖然とした表情をして、顔を真っ赤にしていく。
「さすがユウマさんですね? 好きな人のあられもない姿を、羞恥ぷれいとやらでするなんて、素晴らしいご趣味ですね?」
エリンフィートが、微笑みながら俺に話しかけてきた。
こいつの表情からして、俺が何を考えているのか、何を求めているのか理解しているように思えてならない。
伊達に長生きしているわけでは……。
「い、いや――。こ、これは……」
「ユ、ユウマの……ユウマのばかあああああああ」
「なっ――!?」
振り向くと、顔を真っ赤にしたリネラスが俺の顔を殴って、自分の部屋のほうへ走って去っていった。
「お前、わざとだろ、絶対わざとだろ?」
俺はエリンフィートを見ながら口にする。
「ふふふ、ユウマさんが絶対に何かするとセイレスから情報を得ていましたから――」
「くそっ……」
これだけエルフが……女エルフがいる状態では何もできないじゃないか……。
本当、エリンフィートはいい性格をしている。
「分かったわよ! 注げいいんでしょう? 注げば!」
リネラスが、ドシドシと歩いてくると、ティーポットからティーカップに紅茶を注ごうとしてくるが俺はヒョイと空のティーカップを手にとって、リネラスの手が届かない場所に置く。
「あんたね! それじゃ紅茶が注げないでしょ?」
「ふっ、お前はメイドとしては失格だな!」
「私、メイドじゃなくてギルドマスターだから!」
「やれやれ、ギルドマスターってのは人を派遣するんだろう? だったらメイドの真似事くらいは出来ないと駄目なんじゃないのか?」
「そんなことないから!」
俺の言葉にリネラスが否定的な答えをしてくる。
まったく、自分の価値観を押し付けてくる奴だな。
ここは、きちんと調教しないと駄目なようだ。
「ほら! 俺が教えてやるから!」
「何を教えるつもりなのよ?」
「紅茶の注ぎ方に決まってるだろう? 俺が言った言葉を、そのまま言ってみろ」
「……」
リネラスが素直に頷いてこない。
まったく、わがままな奴だな。
きちんと手本を見せないと駄目なようだ。
「お前は、俺を疑ったんだから、きちんと罰を受けないといけない。分かるよな?」
「だから! メイドの真似をしているんでしょう!」
「ふっ――」
俺は思わず笑ってしまう。
メイドの真似だと?
メイドの真似でメイドという本職を分かった気でいるなど愚の骨頂に過ぎない。
まったく、メイドという仕事を舐めているにも程がある。
「駄メイド! お前にはメイドの何たるかをきちんと教えてやろう!」
「お兄ちゃん、ステキ――」
俺が立ち上がって黒のビキニメイド服を着ているリネラスを指差しながら、リネラスへと言葉をかけると、妹がうっとりとした瞳をしたまま、俺のことを応援してきた。
「――え? あれがステキですか? アリアさん。大丈夫ですか?」
何やらユリカが失礼なことを言って、妹の肩に手を置きながら揺らして聞いているが、「ユリカさんには分からないんですか! お兄ちゃんの素晴らしくありがたいお言葉が! ユリカさんおかしいです!」と、少し怒った口調で言い返している。
するとユリカが「えええー……、私がおかしいの? 私がおかしいのかな?」と何やらブツブツと言っているが、もうこの際、その辺はどうでもいいだろう。
「何よ……本当のメイドって……」
「本当のメイド! それは! 奉仕の精神を持つ職業意識高い系の職人のことを指すんだ!」
「職業意識高い系?」
リネラスが呆けて立ち尽くしている。
やはり、こいつは何も理解していないようだな。
「そうだ! つまりだ! ご主人様! とか、旦那様! とか! そういうに傅いて色々と奉仕するのが本当のメイドなのだ!」
俺は、右こぶしを高く上げながら力説する。
そんな俺の様子を、セレンとセイレスの姉妹は食事する手を止めて大きく口を開いて見てきて「さすが、アリアちゃんのお兄ちゃん! 私の将来の旦那だけのことはあるの!」と何やら興奮した面持ちでセレンが言っているが、俺は幼女には興味が無いと言った言葉を覚えていないのだろうか?
まぁ、それは横に置いておくとして。
「ユウマ、アンタの中のメイド像って一体――」
「決まってるだろ? 朝起きたら、色々と――」
少しだけ想像して、それはそれはとても素晴らしいものだと思いつつ、口にしたら俺が今まで緻密に築き上げてきた信頼度というか、印象度みたいなものが崩壊しかねないと思い口を濁すことにした。
「と、とにかくだ! リネラス、お前にはメイドの極意ってものを享受してやろう!」
「まぁまぁ、娘にこんな格好をさせるなんてユウマさんは、やっぱり鬼畜ですね?」
声がしたほうへ振り向くと、建物の入り口からリンスタットが顔を出していた。
そして、建物の中へと入ってくる。
後ろには、サマラ達、エルフガーデンのエルフやエリンフィートまでもがいる。
そして、リネラスの姿を見て、その誰もが唖然とした表情をして、顔を真っ赤にしていく。
「さすがユウマさんですね? 好きな人のあられもない姿を、羞恥ぷれいとやらでするなんて、素晴らしいご趣味ですね?」
エリンフィートが、微笑みながら俺に話しかけてきた。
こいつの表情からして、俺が何を考えているのか、何を求めているのか理解しているように思えてならない。
伊達に長生きしているわけでは……。
「い、いや――。こ、これは……」
「ユ、ユウマの……ユウマのばかあああああああ」
「なっ――!?」
振り向くと、顔を真っ赤にしたリネラスが俺の顔を殴って、自分の部屋のほうへ走って去っていった。
「お前、わざとだろ、絶対わざとだろ?」
俺はエリンフィートを見ながら口にする。
「ふふふ、ユウマさんが絶対に何かするとセイレスから情報を得ていましたから――」
「くそっ……」
これだけエルフが……女エルフがいる状態では何もできないじゃないか……。
本当、エリンフィートはいい性格をしている。
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