【書籍化作品】無名の最強魔法師
絡み合う思想と想い(8)
「たしかに……」
俺は、顎に手を当てながら周囲を見渡し考える。
リネラスの記憶が作り出した精神世界は、エルフガーデンの世界がメインだった。
それならイノンの精神世界が、生まれ育ったフィンデイカの村というのも納得できるものだ。
「とりあえず、町に入って見るか?」
「ええ? 大丈夫なの?」
リネラスが、驚いた表情で俺に語りかけてくるが、こういう時は、こちらから行動をしないと何も始まらないのだ。
それは、リネラスの精神世界に居た時から体験済み。
「この世界を形作っているのが、イノンの記憶なら何か問題が起きればリネラスの時みたく何度も同じ時間軸を行ったり来たりするだけだから問題ない」
「――え!?」
俺の言葉に、リネラスが上目遣いで俺を見てくる。
「もしかして、私……ユウマに、すごく迷惑をかけた?」
落ち込んだ表情で、俺に問いかけてくるリネラス。
まったく訳が分からないところで落ち込まれると、こちらも、どう対処していいか分からなくなる。
普段は、自分の非を認めないというのに、こいつは――。
「お前が、俺が迷惑を掛けているのは、いつものことだろ?」
とりあえず、フォローしておくとするか。
「いつものこと? 私が、いつもユウマに迷惑を掛けていると言うの?」
リネラスが俺の襟を掴みながら、体を前後に動かしてくる。
首が痛いから離してほしい。
「まぁ、あー。うん。そうだ――」
「キーッ!」
リネラスがお怒りモードになっている。
まぁ、少しは普段どおりのリネラスになったからいいとしておくか。
「もう! 知らない!」
リネラスは拗ねたように唇を尖らして襟から両手を離して怒った表情を俺に見せてきた。
「とにかくだ。俺のお前の仲だから気にすることはない」
「――ユウマと、私との仲!?」
リネラスは、ハッとした表情で俺のほうを見上げてくる。
また、こいつは――。
「お前が勘違いする前に言っておくが、冒険者ギルドの仲間だからという意味だからな。勘違いするなよ?」
「――!? わ、わかっているから!」
ふむ……。
どうやら、俺の勘違いだったようだな。
それなら、それでいいのだが……。
「それより、さっさといくぞ」
このまま話をしていても事態は進まないからな。
俺はリネラスの手を掴むとフィンデイカの村に足を踏み入れる。
「俺の知っているフィンデイカの村とは、そんなに代わり映えはない気がするな」
フィンデイカの村にある広場。
その、噴水の縁に腰を下ろしながら町並みを見て言葉を紡いだ。
「そう? 一通り見て分かったけど、かなり違う部分があったけど……」
「そうなのか?」
「うん」
「まぁ、俺は町に殆ど住んだことがないからな。どのくらい感じで変化していくかがわからないからな……」
「……えーと、ユウマが、変化があると思うのは、どのくらいなの?」
「そうだな……たとえば、俺が生まれたアライ村だが……」
「アライ村?」
リネラスの言葉に、俺は頷く。
「ああ、アルネ王国ってあるだろ?」
「アルネ王国ってユゼウ王国の隣国だったよね?」
「そうだな……」
「――え? でも、ユウマって……それにアリアちゃんも……」
「俺は森の中を歩いて抜けてきたからな。妹も同じことをしたと思うが――」
「――まって! まって! え? ええ? 死霊の森があるよね? ユゼウ王国とアルネ王国との間には巨大な天然のダンジョンがあるよね? そこを突っ切ってきたの?」
「まぁ……そうだな……」
俺の言葉に、リネラスが深く大きく溜息をつく。
「ねえ? ユウマもアリアちゃんも、普通じゃないよね?」
「おいおい、何を言っているんだ? 俺は、どう見ても普通だろ? 妹はスライムがいるから何とかしただけだと思うが――」
「……」
リネラスが額に手を当てると。
「……そう――。もう、ユウマは、何でもありだから、深く考えることはやめる。それよりも、アリアちゃんに仕えている? 契約しているスライムは大丈夫? 話に聞いたけど、ユリーシャ軍と、エルンペイア軍を同時に相手しているよね? 普通のスライムだと、そんなの無理だよね? 獣魔契約していると思うけど大丈夫なの? 暴走したら危険じゃないの?」
「大丈夫だろ」
「ちょっと! ユウマ、そんな軽く言って妹さんに何かあったら――」
「いや、だって、あのスライムは、俺が作ったからな。俺がスライムを吹き飛ばそうとしたら妹が可愛そうと助けて契約したから裏切るようなことはしないだろ」
「……え? いま、ユウマなんて言ったの? スライムを作った? 話に聞いただけでとんでもない性能のスライムだけど、それをユウマが作ったの?」
「ああ、そうだな……」
「国相手に戦争をするつもりで?」
俺は、リネラスの言葉に肩を竦めながら「お前は、俺をどんな目で見ているんだ? ただの風呂場掃除用スライムに決まっているだろ?」と、答えるとリネラスが、唖然とした表情で俺を見てきた。
どうやら、俺が作ったスライムが風呂場掃除用だと理解して、自分の勘違いを恥じたのだろう!
俺は、顎に手を当てながら周囲を見渡し考える。
リネラスの記憶が作り出した精神世界は、エルフガーデンの世界がメインだった。
それならイノンの精神世界が、生まれ育ったフィンデイカの村というのも納得できるものだ。
「とりあえず、町に入って見るか?」
「ええ? 大丈夫なの?」
リネラスが、驚いた表情で俺に語りかけてくるが、こういう時は、こちらから行動をしないと何も始まらないのだ。
それは、リネラスの精神世界に居た時から体験済み。
「この世界を形作っているのが、イノンの記憶なら何か問題が起きればリネラスの時みたく何度も同じ時間軸を行ったり来たりするだけだから問題ない」
「――え!?」
俺の言葉に、リネラスが上目遣いで俺を見てくる。
「もしかして、私……ユウマに、すごく迷惑をかけた?」
落ち込んだ表情で、俺に問いかけてくるリネラス。
まったく訳が分からないところで落ち込まれると、こちらも、どう対処していいか分からなくなる。
普段は、自分の非を認めないというのに、こいつは――。
「お前が、俺が迷惑を掛けているのは、いつものことだろ?」
とりあえず、フォローしておくとするか。
「いつものこと? 私が、いつもユウマに迷惑を掛けていると言うの?」
リネラスが俺の襟を掴みながら、体を前後に動かしてくる。
首が痛いから離してほしい。
「まぁ、あー。うん。そうだ――」
「キーッ!」
リネラスがお怒りモードになっている。
まぁ、少しは普段どおりのリネラスになったからいいとしておくか。
「もう! 知らない!」
リネラスは拗ねたように唇を尖らして襟から両手を離して怒った表情を俺に見せてきた。
「とにかくだ。俺のお前の仲だから気にすることはない」
「――ユウマと、私との仲!?」
リネラスは、ハッとした表情で俺のほうを見上げてくる。
また、こいつは――。
「お前が勘違いする前に言っておくが、冒険者ギルドの仲間だからという意味だからな。勘違いするなよ?」
「――!? わ、わかっているから!」
ふむ……。
どうやら、俺の勘違いだったようだな。
それなら、それでいいのだが……。
「それより、さっさといくぞ」
このまま話をしていても事態は進まないからな。
俺はリネラスの手を掴むとフィンデイカの村に足を踏み入れる。
「俺の知っているフィンデイカの村とは、そんなに代わり映えはない気がするな」
フィンデイカの村にある広場。
その、噴水の縁に腰を下ろしながら町並みを見て言葉を紡いだ。
「そう? 一通り見て分かったけど、かなり違う部分があったけど……」
「そうなのか?」
「うん」
「まぁ、俺は町に殆ど住んだことがないからな。どのくらい感じで変化していくかがわからないからな……」
「……えーと、ユウマが、変化があると思うのは、どのくらいなの?」
「そうだな……たとえば、俺が生まれたアライ村だが……」
「アライ村?」
リネラスの言葉に、俺は頷く。
「ああ、アルネ王国ってあるだろ?」
「アルネ王国ってユゼウ王国の隣国だったよね?」
「そうだな……」
「――え? でも、ユウマって……それにアリアちゃんも……」
「俺は森の中を歩いて抜けてきたからな。妹も同じことをしたと思うが――」
「――まって! まって! え? ええ? 死霊の森があるよね? ユゼウ王国とアルネ王国との間には巨大な天然のダンジョンがあるよね? そこを突っ切ってきたの?」
「まぁ……そうだな……」
俺の言葉に、リネラスが深く大きく溜息をつく。
「ねえ? ユウマもアリアちゃんも、普通じゃないよね?」
「おいおい、何を言っているんだ? 俺は、どう見ても普通だろ? 妹はスライムがいるから何とかしただけだと思うが――」
「……」
リネラスが額に手を当てると。
「……そう――。もう、ユウマは、何でもありだから、深く考えることはやめる。それよりも、アリアちゃんに仕えている? 契約しているスライムは大丈夫? 話に聞いたけど、ユリーシャ軍と、エルンペイア軍を同時に相手しているよね? 普通のスライムだと、そんなの無理だよね? 獣魔契約していると思うけど大丈夫なの? 暴走したら危険じゃないの?」
「大丈夫だろ」
「ちょっと! ユウマ、そんな軽く言って妹さんに何かあったら――」
「いや、だって、あのスライムは、俺が作ったからな。俺がスライムを吹き飛ばそうとしたら妹が可愛そうと助けて契約したから裏切るようなことはしないだろ」
「……え? いま、ユウマなんて言ったの? スライムを作った? 話に聞いただけでとんでもない性能のスライムだけど、それをユウマが作ったの?」
「ああ、そうだな……」
「国相手に戦争をするつもりで?」
俺は、リネラスの言葉に肩を竦めながら「お前は、俺をどんな目で見ているんだ? ただの風呂場掃除用スライムに決まっているだろ?」と、答えるとリネラスが、唖然とした表情で俺を見てきた。
どうやら、俺が作ったスライムが風呂場掃除用だと理解して、自分の勘違いを恥じたのだろう!
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