妖刀使いがチートスキルをもって異世界放浪 ~生まれ持ったチートは最強!!~
2:初めて人を殺した日
襲われている女の子を助ける。きっと、アニメや漫画みたいにかっこよく助けられる。そんなことを思っていた。でも現実は違った。
俺は今、きっと怒っているのだろう、だって今俺は、盗賊を殺したいと思っているから。
刀の柄に手をかけ、森を出る。静かに1歩ずつ、確実に盗賊に近づいていく。
1歩 2歩 3歩、俺の靴に小石がぶつかった。ようやく盗賊の一人が俺に気づいた。
「なんだてめぇ」
盗賊はこちらに振り返り、腰にあるダガーを構えた。
それでも俺は足を止めず、確実に近づいていく。
5歩目あたりだろうか、ついに盗賊の一人が近づいてきた。もちろんダガーをもって、俺を殺す気で。だんだん俺と盗賊との間の距離はなくなっていく。
盗賊はダガーを振りかぶった。その時点で盗賊は俺の刀が届く範囲内に入っていた。右手で持っている刀を抜刀する。居合切りと呼ばれるものだ。刀は盗賊の首めがけて進み、何の抵抗もなく首を切り落とした。
ごとん
そんな音と共に首は地面に落ち、体は俺とすれ違い、後ろで倒れた。俺は今日初めて人の命を奪った。だが不思議と心は穏やかだった。
思った以上に簡単に切れてしまった。この刀を振るったのは初めてだ。それでもやはりしっくりくる。黒い刀身には盗賊の血が流れていた。
俺が盗賊の一人を殺した。そんな光景を見た盗賊たちは、驚きはするもののすぐに意識を切り替えた。俺が敵だと。
そして盗賊の一人がまた俺に向かってきた。仲間の静止も聞かず。
「こいつっ!」
そしてそいつはダガーを振りかぶった。そしてそれを見たもうひとりの盗賊が後に続く。
右手で持った刀で盗賊の武器を狙った。
ダガーは刀とぶつかると、ぶつけたはずのダガーの方が砕けてしまった。
武器を無くして驚いている盗賊を、刀を左上から右下へと振り下ろし命を奪った。
いつの間にか俺の横に回り込んでいたもう一人の盗賊は、ためらいもなくダガーを振り下ろした。
俺はそれをバックステップで回避した。
そして体を後ろに倒しながら、刀を上に切り上げた。刀は盗賊の首を捉え、また首を切り落とした。
「これで、あと二人」
俺は状況を確認するため、周りを見渡した。盗賊が二人、そして女の子とその近くに護衛が一人。地面には盗賊の遺体が三つ、護衛の遺体が二つあった。
「おいそこの、護え……」
俺が女の子の横にいる護衛に話しかけようとしたとき、俺の横を一本の矢が通り過ぎた。振り返ると、その矢は護衛の頭に刺さっていた。その護衛だったものは、力なく地面に倒れた。
盗賊の方へ向き直ると盗賊の女が弓を構えていた。そいつはもう一本矢をつがえると、それを女の子へと放った。俺はすぐに少女の前まで移動、その矢を刀で切った。
どうやら女の子はおびえているようだ。俺は安心させるために声をかけた。
「ちょっと待ってろ、あいつらを先に片づけるから」
女の子は俺の言葉を聞くと、静かにうなずいた。
俺は矢を放った、女を睨む。すると女は後ずさった。
「くそっなんなんだよ!おまえは!!」
するともう一人のダガーを持った男が、ダガーを構えこちらに向かって走ってくる。その表情は怒りだった。俺は少し前に進むと男のダガーを持つ手を切り落とした。
「ぎゃぁぁああああ」
そんな叫び声をあげるが、俺は次に足を切り落とした。もちろん両足だ。そして俺はいま思っていることをそのまま男に伝えた。
「お前に怒る資格なんてないんだよ」
俺はそういって男の心臓を貫いた。そして最後の目標へと目を向ける。
今の状況を理解した女は、地面に座り込み足を引き摺りながら後退する。
「い、いやだ、死にたくないっ」
俺はそんな言葉を聞いても何とも思わない、そして確実に女との距離を詰める。
「お前はそういった人を何人殺した?、助けた奴なんているか? いないだろ。だから俺もお前を助けない」
「わ、私を助けてくれたら、この体を好きにしていいから、男ならうれしいだろ?」
俺はそんな言葉を聞いて、吐き気がした。
「お前みたいに汚れた女なんかいらねーよ、諦めろ」
俺の言葉を聞き、女は体を起こし、俺から距離を取るために走った。だが次の瞬間、女の胸から一本の黒い刀が生えていた。そう、後ろから心臓を貫いたのだ。女は声も上げることなく、その場に倒れた。
《スキル:解離魂の停止を確認》
エルの声が聞こえ、我に返る。
俺は刀を振り、刀身についた血を払い鞘へと仕舞う。
周りを見渡すと道には倒れている人が8人と武器が数本。それと一人の女の子。
女の子を見ると目が合った。そして少し震えていた。
「君、大丈夫?」
俺の声を聴くと女の子は座り込んでしまった、緊張が解けたのだろう。殺されかけたのだ仕方ない。
俺はそっと女の子に手を差し出した。
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コメント
ノベルバユーザー304999
いや....血まみれの青年?に大丈夫って言われても...