妖刀使いがチートスキルをもって異世界放浪 ~生まれ持ったチートは最強!!~
44:秘密の修行
しばらく歩いていると、後ろから俺らをつけてくる、二つの気配に気が付いた。
このまま宿までこいつらを連れて行くと、リナやレナに迷惑が掛かってしまう。
俺は、ティナたちに先に帰って宿を手伝うように言って、別れた。
そのまま俺は人気の少ない路地へと足を進めた。どうやら目的は俺で合ってるらしい。これでティナたちのところへ向かって行ってたら、フロンが何するかわからん。まぁあの二人とノワールなら、こんな程度の奴には負けないと思うが。
人の気配がぱたりと止み、俺は後ろを振り向き声をかける。
「おい、そこにいるやつ。俺に用件があるなら聞くぞ?」
俺がそういうと路地の影から二人の男が出てくる。一人は見覚えがある。アルの店にいたやつだ。つまりこいつらは聖神教。
「おいおい、それをわかっててわざわざ人気のないところに出たのか? 何だ殺されたいなら言えよ」
「殺すのは無しだ。後々面倒だし、何より俺はこいつを甚振って甚振って、俺たちに二度と逆らえないようにしたいんだ!」
なるほど、あの時の恨みを果たそうってか、まぁいい。俺は敵意を向けられたら容赦しないと決めている。
「御託はいい、来るなら来いよ」
俺がそういうと、二人は背中にある剣を抜いた。そして俺に向かってくる。
殺すのは簡単だ、だがこいつらは後々面倒を持ってきそうだ。ここらへんでのさばってるっていうぐらいだからな。
だから無力化を図ることにしよう。
『夢偽ノ瞳』
俺がスキルを発動すると、俺の左目の瞳に赤い魔法陣が刻まれる。
一瞬、男たちは戸惑いを見せるが、それでもなお突っ込んでくる。
俺はとりあえず。先に喋りかけてきたほうへと視線を向ける。
そうすると当然目が合うわけで、その瞬間その男は地面へと倒れていた。俺に突っかかってきたほうはというと、そんな状況に意味が分からず、倒れた男の方へと近寄る。
そしてその男を見てわかることは、寝ているということだけだった。
「お前、ラノに何をした!」
どうやらその男の名前はラノというらしい。まぁどうでもいいが。今は夜になりかけの時間帯。つまり影が多い。
俺が取る行動は決まっている。俺は目線を合わせてきた、その男に幻惑をかけ、影移動で背後へと回る。
「俺にちょっかい掛けて来たんだ、少しぐらいは痛い目見てくれよ」
俺はそのまま相手の首めがけて、腕を振り下ろした。
俺は聖神教を退け、問題になる前にあの場を去った。もちろん夢偽ノ瞳で、記憶の改ざんはしてある。
宿に戻った俺は、謎の疲労感と共にベットへと倒れこみ、そのまま眠りについてしまった。
そして俺は決まった時間に起きる。もう日課になってしまったあることをするために。
横を見るといつも通り、ティナとフロンが一緒に寝ていた。ノワールはそこの近くで丸まっている。
ムラクモはベットの横に立てかけたまま、俺はヨリヒメを起こす。
(ヨリヒメ。起きろ、いつもの時間だぞ)
今は丁度3時ぐらいだ。ここから6時まで、森で活性化した魔物相手に修行を繰り返している。
“はいはい、起きてますよ。とりあえずいつも通り、森まで行こっか”
俺は、ヨリヒメに促されながら、宿屋の窓から、月詠ノ瞳を使い、ほかの家の屋根伝いを進んでいき、一番高い場所から、門の壁を無視して外に出る。
そのまま、森まで走り、そこで魔物の相手だ。
そして、俺が到着した場所には大きなクレータができていた。
“じゃあ、始めよっか”
「わかってるよ!」
俺はヨリヒメに言われ、いつもやっていることを始める。
『纏え。ヨリヒメ。黒鬼ノ衣』
そう俺が今ここで練習しているのは、黒鬼ノ衣の制御と維持。
これをむらなく維持し、1時間魔物と戦えたら、クリアだ。
“ほら、魔力が歪んで、無駄なものが漏れ出てるよ。しっかり押さえつけて”
俺はそのあふれ出る、魔力を自分の体に押さえつけるように制御する。
“はい、そこでキープ! そのまま、魔物狩りに行こう”
ダンジョンにいる魔物は夜でも、朝でも関係なく活動する。だが外の魔物は、夜は活発に動く。
だから、普通は夜に外に出る者はいない。だが俺はこれを修行のために使っている。
そして、そのまま俺の魔力につられて、やってきた魔物を処理し続けて1時間が経過した。
“はい。そこまでだね”
丁度魔物をせん滅し終わったタイミングで、ヨリヒメが終わりを告げた。
“はい、じゃあ。次行くよ!”
そう、ヨリヒメの特訓はこれで終わらない。次は衣の上だ。
俺は準備を始める。黒い魔力を一度大きく開放する。
“よし、いつも通り、詠唱して始めよう!”
『我は万象に乞い求。魂鬼が纏いし災禍の鎧を!』
そして俺はその黒い魔力を手に集め地面を殴りつける。それと同時に地面に先ほどと同じぐらいの、クレーターが出来上がる。
その黒魔力は地面と空中で魔法陣を描き、俺を上下で挟む。そしてそのまま消滅した。
それが残したのはただのクレーターと疲れ切って倒れた俺だけだった。
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