妖刀使いがチートスキルをもって異世界放浪 ~生まれ持ったチートは最強!!~

創伽夢勾

72:師匠

 俺はさっそく王城に向かっていた。もちろんティナとフロンも一緒だ。
 ノワールは例のごとくシーナにつかまっていた。

“最近、ボクの影が薄い気がする!”
(いや、しらん。こんなところで、黒鬼ノ衣とか使う機会ないしな)
“むぅー。よしユウちゃん! 今日の夜は修行するぞ!”

 あぁ、なんか無駄にヨリヒメがやる気だしちゃってるよ。まぁ、修行自体は問題ないんだ、ただこの調子だと絶対に量が増える。

 俺は貴族街への門をくぐった。あらかじめレジーナから貰っておいた通行書のおかげですんなり入れた。
 だが、貴族街で俺たちは目立つようで、周りの視線を集める。
 しかもその足取りは王城に向かっている。気にならない方がおかしいのだろう。

 王城の門へ着くとひとりの兵士が近寄ってくる。

「あっ、レジーナ様と戦ってた人。今回はどのようなご用件で?」

 きっとあの戦いを見ていてであろう兵士だった。
 その手には槍を持っていた。

「アイ……いや、お姫様の剣の師匠をすることになったので」

 すると門の奥からレジーナが歩いて来る。

「ユウ殿ではないか、すまない通してやってくれ」
「わ、わかりました!」

 兵士は突然のレジーナ登場に驚きながらも即座に門を開ける。

「この者たち3人は、顔パスでいい。これからよくここに来ることになるからな」
「はい! 了解しました」

 兵士はそう言って持ち場に戻った。

「すまないな、面倒をかけて」
「いや、いい私とユウ殿の仲だろ?」

 と言われてもであってまだ数日だ。まぁあの戦いを繰り広げてお互いのことはある程度分かっている。
 俺の方は秘密が多いけどな。

「ふ、二人のな、仲ですか?」

 ティナがレジーナの言葉に反応する。

「ふふふ、ティナ殿はかわいいは、大丈夫だティナ殿の大好きなユウ殿は盗ったりしない」

 笑いながらレジーナがティナを慰める。
 だがそれは逆効果であり、ティナの顔が真っ赤に染まる。

「まぁ、かわいいのは同感だな」
「ん!?」

 俺がそう付け加えると、ティナの頭がボンっという音共にさらに赤くなる。
 そして俺の背中をぽかぽかと叩いて来る。「ほんとにユウ様は! ユウ様はー!」とか言いながら。
 やはり可愛かった。そのままフロンを見ると、俺を見て「私は?」みたいな目で俺を見ていた。

「フロンも可愛いぞ」
「え? え、えへへ」

 突然撫でられたことに驚きながらも頬を染めて、うれしそうな表情だ。

「本当になんでこれで、付き合っていないのか謎だ」

 と、横でレジーナが首をかしげていた。
 こっちにも事情があるんだ。勘弁してほしい。

「俺はどこに向かえばいい?」
「あぁ、今から案内する」

 俺はレジーナに引き連れられ王城へに入っていく。
 やはり広い。そんなことを思ったとき上から声が聞こえた。

「なんだ? また来たのか?」
「理由を知ってるくせに聞くな」

 俺がそう返すとラースは上から降ってきて、着地すると笑った。
 さらっとその高さから降ってくるのはやめてほしい。

「すまんすまん。で、俺が聴きたいのはレジーナがティナ嬢ちゃんの師匠をするって件だ」
「あぁ、それか。俺から頼んだんだ。ティナとレジーナの戦い方は似てるからな」
「そうなのか、あの後ティナ嬢ちゃんの戦いは見てないからな」

 俺とラースはティナとフロンのランク昇格の試験を見ていない。
 俺はただ「余裕だった」という言葉しか聞いていないからな。

「あぁ、私も見てそう思ったからこちらからも頼むんだ。それぐらいなら構わない」

 レジーナがティナの頭に手を置きそう言った。

「そうか、なら俺はフロン嬢ちゃんをもらっていこうかな」
「は?」「え?」

 俺とフロンの声が重なる。

「俺の戦い方は速度重視の戦い方だ。この3人の中で一番速度を重視してるのはフロン嬢ちゃんだろ?」

 ラースが言ってることはあっている。俺も速度を重視する方だが、フロンほどではない。

「ほら、元とはいえSSランク冒険者に教えてもらえることなんてなかなかないぞ。ほらいくぞ」
「え? ちょっ、まっ ご主人様ー」

 フロンはラースに引き摺られていった。まぁ、ラースならフロンをよく鍛えてくれるだろう。そう思えたので、フロンは任せることにした。

「すまない、あの人は一度決めると面倒なのだ」
「いや、フロンにとってはいい機会だろ」
「そう言ってもらえると助かる」

 俺たちは移動を再開した。
 そして俺が連れてこられたのは一つの部屋だった。

「姫様はそこにいらっしゃる。では、後は任せた。ティナ殿行くぞ」
「は、はい! ユウ様も頑張ってください」

 俺はティナに手を振り、ドアに向き直った。
 そして俺はそのまま扉を開けた。ノック・・・もせずに。

「え?」

 部屋の中から聞こえたのは、驚いたような声だった。
 もちろん、アイリスのものだ。
 今のアイリスの姿は服を手に抱えた状態の下着・・姿だった。
 アイリスは入ってきたのが俺だと認識すると、顔を真っ赤に染め、持っている服で自分の姿を隠そうとする。
 着てもいない服で、そこまで隠せるわけでもなく、下着がちらりとみえ、そのきれいな足に俺は目を奪われていた。

「あの、ドアを閉めて後ろを向いてください!」
「あ、あぁ」

 アイリスの言葉で、俺は即座にドアを閉め、ドアの方を見る。
 あれ? 普通「出て行って」じゃないか?
 すると、後ろから服を着る音がかすかに聞こえる。

「も、もう大丈夫です」

 俺が向き直ると、ドレスを改造したような、動きやすい服を着たアイリスがいた。もちろん顔は真っ赤だ。

「す、すまない」

 俺はすぐに腰を折り謝った。
 人の部屋に入る時にノックすらしなかった俺が全部悪い。

「い、いえ、恥ずかしかったですが、大丈夫です。(別にユウさんになら……」
「え? なにか?」
「い、いえ! な、何でもありません!」

 ぼそっと何かを言ったアイリスに俺が聞き返すと、慌てるアイリス。

「そうですか?」
「はい! それと姫だからと言って敬語を使う必要もありません。レジーナに接するようにお願いします」
「わかりまし、わかった。これでいいか?」
「はい!」

 俺が敬語をやめるとアイリスは満面の笑みを向けてくれた。
 俺は一瞬目を奪われるが、首を振って意識をそらす。
 そんな俺の行動にアイリスは首をかしげる。

「それでは、お願いと説明を始めようか」

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