妖刀使いがチートスキルをもって異世界放浪 ~生まれ持ったチートは最強!!~

創伽夢勾

80:心配事の為に

 朝起きると、俺たちはギルドに向かった。
 今日で、迷宮都市を出ていく。その前に、フェルたちに用事を済ませてからだ。
 ギルドのドアを開け中に入ると、一気に周りの視線が俺たちに集まる。

「あれって? 最近弓ソロで潜ってる女冒険者? 予想よりちっちゃくてかわいらしいじゃねーか」

 一人の男が、フィーを指さしそう言った。
 少し発言が危ないやつだが。

「何言ってんだ、ばか! 注目するのはそっちじゃないだろ、その横にいる男だよ!」
「はぁ? あの変な髪の男か、あ? いい女ばっか連れて、見せつけてんのか? 餓鬼が! イタっ」
「ばかか、あれは黒妖鬼だぞ!」

 もう一人の男の声に周りがざわつく。昨日あんなことをしてしまえば、うわさが広まるのは当然なのだが。

「あっ! ユウさん!」

 そんな男たちの声は一人の女性の声にかき消される。
 俺たちを呼ぶのは、このギルドの受付嬢であるフェルだ。

「今日はどうしたんですか?」

 笑顔で俺を呼ぶフェルに、周りが愕然とそれを眺める。
 フェルはギルドでは男の誘いに乗らない。興味すら見せないけどカワイイで有名らしい。(フィー情報)
 そんなフェルが笑顔で男を呼ぶのだ。周りの男からは嫉妬の目線。女からは好機の目。

「いや、今日はフェルに用事があるんだ」
「え? わ、私ですか?」
「出来れば別室がいいんだが」
「え……」

 俺の言葉を聞いて、フェルが固まる。周りは声をあげる。俺はそれを無視して話を続ける。
 フェルの耳に口を寄せ、そっと囁く。

「俺の能力に関する話だ」
「ひゃっ、え? なるほど」

 いきなり耳元でささやかれたフェルは、びくっと反応するが、どうやら俺の意図は伝わったようだ。

「わかりました! アイナー、少し変わってくれる?」
「ほーい、親友の恋路とあらば、私はいくらでも力をかそーぞ!」

 サッといつの間にか隣に来ていたアイナがそう言った。

「もう、違うってば!」

 フェルはアイナの頭に拳をぶつける。

「いったー。ほれ、いつものあの部屋開けといたから早く行っといで」

 何かと気が利くやつで、友達思い。俺はアイナの評価をあげた。

 周りの囃し立てる、声を聞きながら、俺たちはフェルのあとについていく。
 その部屋は少し広めの休憩スペースと言った感じの場所だ。

「で、お話とは?」
「あぁ、まずは驚くと思うが話を聞いてくれ」

 俺はフェルに今話せるだいたいのことは話した。
 俺が異世界人であること、ここに来るまでの経緯。そして俺のスキルに関すること。

「な、なんか規格外すぎて、話についていけないのですが。それでもそんな話私にしてもいいんですか?」
「あぁ、まぁそのなんというか」

 俺は息詰まる。ただ言いにくい。恥ずかしいといった感じの感情が前に出てくる。

「ユウ様は守りたくなったんですよ。この町を、フェルさんやアルさん、テクルさんにリナちゃんレナちゃん。このすべてです」

 俺の気持ちを代わりに話すティナ。
 それを聞いたフェルが、俺の方を見る。
 俺は頬を指でかく。

「まぁ、そういうことだ。それと、まだみんなには言ってなかったが、俺、人種やめてるから」

「「「「……」」」」

 俺以外の4人から沈黙という名の威圧がかけられる。
 俺はそのまま、人をやめた経緯を伝える。
 みんなには呆れられ、それでも受け入れては貰えた。

「じゃあ、今からコピペ作業をフィーとフェルにしたいと思う」
「たしか、主様が持ってるスキルやエルさんの持ってるスキルを譲渡でき、私たちの持ってるスキルを主様が得ることができる。でしたっけ?」
「ほんと、破格のスキルですねそれ」

 フィーとフェルがそれぞれ反応する。

「で、少し恥ずかしいんだが、効率よく作業を進めるために、体を接触させなきゃなんだが、あくまで、効率がいいだけで、っておい!」

 俺が説明を終える前に、フィーが俺の腕を抱きしめる。

「それぐらいなら、構わないわ。私は主様の所有物ですし」
「あの、聞き捨てならない単語が聞こえたんですけど、えい!」

 フィーの発言を気にしながらもフェルは反対の腕にくっつく。

「なんか、年下に甘えてるダメな大人みたい」

 フェルは横で、そんなことを言っている。

《モテモテですね。ますたー》
(うるさいよ)
〝ユウ、後で私もくっ付くから、覚悟〟
〝ならおねーさんも〟
[なら、ノワールもなの!]
“むぅ、みんなずるい”

 一気にしゃべりだす。のはやめてほしい。それと、ティナとフロンが羨ましそうな目でこちらを見ている。

「それじゃあ、始めるぞ。魔力を流すから、何かあったらすぐ離れろよ」
「わかったわ」
「わかりました」

 そして俺は、コピペ作業を開始した。
 なれない、感覚に驚き声が漏れ、悶える女の子二人に挟まれるという謎状況。
 しかもそれをほかの女の子に見られるという。
 本当になんだこの状況。

「よし、終わったぞ。大丈夫か? ティナ、フロン支えてやってくれ」
「「はい」」

 俺はフィーとフェルを二人に任せ、二人のステータスを確認する。

『フィリア・フィルナール 女
 年齢 :14
 種族 :半妖精種
 職  :精霊使い
 属性 :無
 スキル:弓術 蹴撃術 体術 精霊魔法 影移動 隠蔽 意思疎通 無詠唱 家事 奉仕術 房中術
 ユニーク:精霊使役 精霊眼
 武器 :慧弓ルサールカ
 耐性 :魔法耐性 精神耐性』

『フェル・ナイア
 年齢 :21
 種族 :人種
 職  :受付嬢
 属性 :風
 スキル:体術 話術 交渉術 契約術 風魔法 家事 危険察知 意思疎通
 ユニーク:なし
 武器 :なし
 耐性 :精神耐性』

 と、まぁこんな感じに落ち着いた。
 意思疎通のスキルを試し、二人は驚いていたが、まぁ慣れるまでは頑張ってほしい。
 俺たちが、部屋から戻ると、顔を赤くした、フェルとフィーを連れていた俺は、変な目で見られた。
 俺はただ、変な噂が広まらないことを願った。
 受付で、フェルにパーティカードの更新をしてもらい。フィーを追加した。
 また、来たときはのんびりしよう。アルたちとの約束もあるしな。
 そのまま、フェルの見送りと共に俺たちはノワールに乗り王都に帰還した。


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