俺が転生した世界はどうやら男女比がおかしいらしい
閑話 とあるカフェの店員2
私はとある自営業のアルバイト店員。今日もある事に期待しながらせっせと業務をこなす。今はメニュー拭きをしているところだ。
「ふぅ....」
私は小さくため息をつきながら、期待と少々の諦念を込めてカフェの入り口に視線を送る。
あそこから今にでも入店してきてくれないだろうか。あの笑顔をまた私に向けてくれないだろうか。...すっかり虜にされてしまった。あの人に会うためだけにシフトを2倍に増やしたのだから。私は大学生で高校生よりかはシフトに入れるのだが、さすがにフリーターの人ほど入ることはできない。そう、今も無表情な顔で掃除をしながら入り口の方へチラチラ視線を送っている江口ほど。年上なのだが呼び捨てにするのは許して欲しい。因縁があるのだ。奴は元々かなりシフトに入ってたくせにそれを2倍にするもんだから、もうほとんど毎日なんじゃないかってくらいカフェで働いている。
ちなみにうちのカフェの店員みんなシフト希望を増やすものだから、人数過多になってしまい希望が通るかどうかは抽選になってしまった。
江口は古参なため優遇されているようだが。
最近髪型とか化粧とか練習しやがって〜!
なんと、江口はあの人に度々遭遇しているのだ。私は一度しか会ったことないのに。しかも毎回毎回厚かましいお願いをしているというのを同僚から聞いた。曰く、頭を撫でて欲しい。曰く、結婚してほしい。
いや、後者は調子乗りすぎでしょうよ!
さすがのあの人も結婚には了承しかねたみたいだが、それ以外のお願いは今の所全て叶えているらしい。江口ぃ!
さっきからあの人、あの人、と言っているが、あの人と言うのは「ミルク天使ちゃん」の事だ。誰しもが一瞬天使かと見紛うほどの美少年がミルクと名のつく商品しか頼まないことからその名がつけられた。名前は確か前原くん。
3週間ほど前に1度会ったきりだ。
うぅ....天使ぃ....。
もうあなたには逢えないのですか。
私はこんなにも渇望しているというのに。
あなたの太陽のような眩しい笑顔、思い遣りと優しさで溢れた声音、全てが私を狂わせるのです。
もう一度、私はあなたの存在を強く実感したいのです。
...なんか、会いたい気持ちが強すぎてポエミーになってしまったわね。
「はぁ.....」
私は先程より大きな諦念を吐き出す息に込めた。
「カランカラン」
ッ!?
と、その時お客さんの入店を告げる運命の鐘音が店内に鳴り響いた。
神、いや天使は私を見放していなかった!
ミルク天使ちゃん来たか!?
「「いらっしゃいま...せぇ」」
私と江口はとびっきりの笑顔とありっけの元気を込めて歓迎するのだが、最後には声が萎んでしまった。竜頭蛇尾ってやつだ。
なぜならば入店してきたのは、天使ではなかったからだ。
「んー...今日はいないか...」
入ってきたのは、最近常連になったスーツを着たキャリアウーマン。いつも仕事帰りに寄ってくる人だ。
キャリアウーマンはキョロキョロと店内を見渡した後、少し落ち込んだ様子で呟く。
そう、何を隠そうこの人も天使ちゃん狙いである。
実は超絶美少年がこのカフェによく来ると巷で密かに噂になっており来店数が増えたのだ。そしてこのキャリアウーマンのように一度でも天使ちゃんと遭遇した客は例外なく常連と化すのである。
まあ天使ちゃんではなかったとしても、お客さんはお客さんだ。
きちんと接客しなければ。
天使ちゃんではないとわかった途端、無表情になり掃除を再開する江口とは違うのよ。
ていうか、そこ何回掃除するんですか。さっきからそこしかホウキ履いてないですよ。
「空いてる席へどうぞ〜」
私はきちんと仕事を全うする。少し声に張りがないのは許して欲しいところだ。
「カランカラン」
またしても入店音が鳴り響く。
はぁ...また天使ちゃん目当てかな。
メニューをキャリアウーマンが座る席へ持って行く途中だった私は、少し億劫に感じながらも振り返ろうとした。
その時、
「あっ!いらっしゃいませ仁さん!お久しぶりです!」
お前誰やねん。と言いたくなるほどの声色変化を果たした江口の声が耳に届いた。
江口のこの変わり様!これは!!
私は世界振り返り選手権があれば上位に食い込めるのではないかというほどの、見事な振り返り速度で来客を確認する。
「ふふっ、お久しぶりです江口さん。相変わらず元気一杯で見てるこっちまで喚起されますよ」
そこには楽しそうにコロコロ笑う、ミルク天使ちゃんが。
「「きたぁああ!!」」
思わずキャリアウーマンと一緒に叫んでしまったじゃないか。
「んっ?」
あっ!しまった。大声を出してしまうものだから、天使ちゃんに見られた。不審に思われたかもしれない。やばい。
「あ、えっとその...」
やばいやばいパニックになってしまっている。なんて声を掛ければいいのか分からない。キャリアウーマンも似通った状態だ。
その間も時間が着々と流れていく。
私はもうダメだ、と思った。
「あ、あなたはこの前ミルクコーヒーを作ってくれた店員さんですね、ご無沙汰しています。奥のあなたは、この間このカフェでお会いしましたね、また会うとは奇遇です」
しかし、天使ちゃんは柔らかな笑顔を崩すことなくそんなことを言ってくる。 
.......。
ーーーーええっ!?
ちょ、ちょっと待って!!
「「お、覚えてるんですか!?」」
またキャリアウーマンと言葉が被ってしまった。もしかしたら私達は気が合うかもしれない。
「勿論です。お二方の様な美人さんは忘れたくても忘れられないですよ」
なんと、天使の答えは私の想像を遥かに上回るものだった。
「びじっ!?びじ、びじびじび!」
美人!?って言いたいのに嬉しすぎて呂律が回らない!!恥ずかしい!もっと唸れ私の呂律!!
「....ふへっ」
キャリアウーマンは何か口をひくつかせて恍惚とした顔をしている。なんか怖い。
「ふふっ」
天使ちゃんはそんな私達の様子を見て、慈しむように笑う。...綺麗よねえ。
この人は本当に人類なのだろうか。神族か何かじゃない?
「ささっいつも通りの席へご案内致します!」
しかしそんな私達の様子はおもしろくないのか、江口が天使を急かす。
ちっ...アラサーのくせにまだ自然受精を狙いやがって。早く人工授精しなさいよ。
私が心の中で悪態をつく間に、天使ちゃんの指定席であるカウンターの1番右端へ江口が案内する。ちなみに、あの席に他のお客さんを座らせることはない。天使ちゃん専用なのである。
「注文大丈夫ですか?」
「はいっ承ります!」
「ホットミルクお願いします」
「かしこまりましたっ!」
なんで江口は天使ちゃんの隣に腰掛けてるの?職務怠慢も甚だしいわよ。
....江口がこちらに目線をよこしてくる。作ってこいってか?分かりましたよ!!ったく。
私はそそくさと厨房に向かい、いつもより気持ち丁寧にホットミルクを作る。
できたホットミルクを天使ちゃんの元へ運ぶ。
「やっと最近高校生活に慣れてきまして」
「へぇ〜そうなんですか。ちなみにどこの高校へ通われてるんです?」
「春蘭高校です」
「結構偏差値高いところじゃないですか!仁さん頭も良いんですね〜っ!」
例に漏れず雑談してるわね。
ていうか、いつの間に江口は天使ちゃんを下の名前で呼ぶようになったの?かなり親密っぽいし、妬ましい羨ましい。
「お待たせしましたっホットミルクです」
私は江口と天使ちゃんの間に割るように入り、商品を出す。
「ありがとうございます。相変わらず美味しそうですね」
はぁああ...その笑顔で私は明日からまた生きることができます。ありがとう。
「ちょ、ちょっと仁さんとお話出来ないでしょ?」
江口が不満を言う。
でも残念ながら今日は少し反抗させてもらうわ。
「私も天使....前原くんとお話したいです。前原くん、ダメですか?」
天使ちゃんは男性にしては珍しくとても女性に優しい人だ。お願いしたら、断ることはない。....はず。
「なっ...」
江口が驚くリアクションをする。
ふっ、いつまでも傍観者に甘んじている私ではない。
「本当ですか?是非お願いします。僕も話したいと思ってたんですよ」
天使ちゃんはとても嬉しそうに言ってくれる。
胸がキュンとしてしまう。
「私もっ!!話に混ぜてちょうだい!!」
と、そこでキャリアウーマンも立候補してきた。すみません存在忘れてました。
「そうですね、みんなでお喋りしましょうよ。江口さん、いいですか?」
キャリアウーマンの提案にも快く返答する天使ちゃん。
対して悔しそうな雰囲気を出しつつも、にこやかな顔をかろうじて保っている江口。
独り占めはさせないわ。
「い、いいですよ〜?多い方が楽しいですもんね?」
顔が引きつってるわよ江口。
その後、新しいお客さんが来るまで私達4人はお喋りをした。天使ちゃんはとても聞き上手で、幸せで楽しい時間を過ごすことができた。
少し隙を見せれば、江口が不躾なお願いをしようとするので私が全てブロックしてやった。逆に私は隙をついてお願いをし、天使ちゃんに頭を撫でてもらったけど。ついでにキャリアウーマンも。キャリアウーマンは天使ちゃんに撫でられている間、これ人が見せていい表情なの?ってくらい惚けた顔をしておりなんかイっちゃってた。撫でられている時、私もそんな顔をしていたかなと不安になったのはご愛嬌。
今日のバイトは人生で1番幸せなひと時だったかもしれない。
天使ちゃんを見ているだけで幸福度が激増している。
確かに容姿は最高なんだけど、それだけじゃなく、人を惹きつける不思議な魅力が天使ちゃんにはあるのよねえ....。
それが何なのか私に理解することはできないけれど、天使ちゃんのような存在は後にも先にも生まれることはもうないだろうってことは何となく分かってしまう。
私はもっともっと天使ちゃんの存在を感じ、記憶し、堪能したい。
天使ちゃんは、夜空を刹那の間に横切る流れ星、はたまた泡沫の夢のように儚い存在だから一瞬一瞬を大切にしろと私の本能が告げている。
だから、これからもこのカフェで待ってます前原くん。
是非またお越しください。
「ふぅ....」
私は小さくため息をつきながら、期待と少々の諦念を込めてカフェの入り口に視線を送る。
あそこから今にでも入店してきてくれないだろうか。あの笑顔をまた私に向けてくれないだろうか。...すっかり虜にされてしまった。あの人に会うためだけにシフトを2倍に増やしたのだから。私は大学生で高校生よりかはシフトに入れるのだが、さすがにフリーターの人ほど入ることはできない。そう、今も無表情な顔で掃除をしながら入り口の方へチラチラ視線を送っている江口ほど。年上なのだが呼び捨てにするのは許して欲しい。因縁があるのだ。奴は元々かなりシフトに入ってたくせにそれを2倍にするもんだから、もうほとんど毎日なんじゃないかってくらいカフェで働いている。
ちなみにうちのカフェの店員みんなシフト希望を増やすものだから、人数過多になってしまい希望が通るかどうかは抽選になってしまった。
江口は古参なため優遇されているようだが。
最近髪型とか化粧とか練習しやがって〜!
なんと、江口はあの人に度々遭遇しているのだ。私は一度しか会ったことないのに。しかも毎回毎回厚かましいお願いをしているというのを同僚から聞いた。曰く、頭を撫でて欲しい。曰く、結婚してほしい。
いや、後者は調子乗りすぎでしょうよ!
さすがのあの人も結婚には了承しかねたみたいだが、それ以外のお願いは今の所全て叶えているらしい。江口ぃ!
さっきからあの人、あの人、と言っているが、あの人と言うのは「ミルク天使ちゃん」の事だ。誰しもが一瞬天使かと見紛うほどの美少年がミルクと名のつく商品しか頼まないことからその名がつけられた。名前は確か前原くん。
3週間ほど前に1度会ったきりだ。
うぅ....天使ぃ....。
もうあなたには逢えないのですか。
私はこんなにも渇望しているというのに。
あなたの太陽のような眩しい笑顔、思い遣りと優しさで溢れた声音、全てが私を狂わせるのです。
もう一度、私はあなたの存在を強く実感したいのです。
...なんか、会いたい気持ちが強すぎてポエミーになってしまったわね。
「はぁ.....」
私は先程より大きな諦念を吐き出す息に込めた。
「カランカラン」
ッ!?
と、その時お客さんの入店を告げる運命の鐘音が店内に鳴り響いた。
神、いや天使は私を見放していなかった!
ミルク天使ちゃん来たか!?
「「いらっしゃいま...せぇ」」
私と江口はとびっきりの笑顔とありっけの元気を込めて歓迎するのだが、最後には声が萎んでしまった。竜頭蛇尾ってやつだ。
なぜならば入店してきたのは、天使ではなかったからだ。
「んー...今日はいないか...」
入ってきたのは、最近常連になったスーツを着たキャリアウーマン。いつも仕事帰りに寄ってくる人だ。
キャリアウーマンはキョロキョロと店内を見渡した後、少し落ち込んだ様子で呟く。
そう、何を隠そうこの人も天使ちゃん狙いである。
実は超絶美少年がこのカフェによく来ると巷で密かに噂になっており来店数が増えたのだ。そしてこのキャリアウーマンのように一度でも天使ちゃんと遭遇した客は例外なく常連と化すのである。
まあ天使ちゃんではなかったとしても、お客さんはお客さんだ。
きちんと接客しなければ。
天使ちゃんではないとわかった途端、無表情になり掃除を再開する江口とは違うのよ。
ていうか、そこ何回掃除するんですか。さっきからそこしかホウキ履いてないですよ。
「空いてる席へどうぞ〜」
私はきちんと仕事を全うする。少し声に張りがないのは許して欲しいところだ。
「カランカラン」
またしても入店音が鳴り響く。
はぁ...また天使ちゃん目当てかな。
メニューをキャリアウーマンが座る席へ持って行く途中だった私は、少し億劫に感じながらも振り返ろうとした。
その時、
「あっ!いらっしゃいませ仁さん!お久しぶりです!」
お前誰やねん。と言いたくなるほどの声色変化を果たした江口の声が耳に届いた。
江口のこの変わり様!これは!!
私は世界振り返り選手権があれば上位に食い込めるのではないかというほどの、見事な振り返り速度で来客を確認する。
「ふふっ、お久しぶりです江口さん。相変わらず元気一杯で見てるこっちまで喚起されますよ」
そこには楽しそうにコロコロ笑う、ミルク天使ちゃんが。
「「きたぁああ!!」」
思わずキャリアウーマンと一緒に叫んでしまったじゃないか。
「んっ?」
あっ!しまった。大声を出してしまうものだから、天使ちゃんに見られた。不審に思われたかもしれない。やばい。
「あ、えっとその...」
やばいやばいパニックになってしまっている。なんて声を掛ければいいのか分からない。キャリアウーマンも似通った状態だ。
その間も時間が着々と流れていく。
私はもうダメだ、と思った。
「あ、あなたはこの前ミルクコーヒーを作ってくれた店員さんですね、ご無沙汰しています。奥のあなたは、この間このカフェでお会いしましたね、また会うとは奇遇です」
しかし、天使ちゃんは柔らかな笑顔を崩すことなくそんなことを言ってくる。 
.......。
ーーーーええっ!?
ちょ、ちょっと待って!!
「「お、覚えてるんですか!?」」
またキャリアウーマンと言葉が被ってしまった。もしかしたら私達は気が合うかもしれない。
「勿論です。お二方の様な美人さんは忘れたくても忘れられないですよ」
なんと、天使の答えは私の想像を遥かに上回るものだった。
「びじっ!?びじ、びじびじび!」
美人!?って言いたいのに嬉しすぎて呂律が回らない!!恥ずかしい!もっと唸れ私の呂律!!
「....ふへっ」
キャリアウーマンは何か口をひくつかせて恍惚とした顔をしている。なんか怖い。
「ふふっ」
天使ちゃんはそんな私達の様子を見て、慈しむように笑う。...綺麗よねえ。
この人は本当に人類なのだろうか。神族か何かじゃない?
「ささっいつも通りの席へご案内致します!」
しかしそんな私達の様子はおもしろくないのか、江口が天使を急かす。
ちっ...アラサーのくせにまだ自然受精を狙いやがって。早く人工授精しなさいよ。
私が心の中で悪態をつく間に、天使ちゃんの指定席であるカウンターの1番右端へ江口が案内する。ちなみに、あの席に他のお客さんを座らせることはない。天使ちゃん専用なのである。
「注文大丈夫ですか?」
「はいっ承ります!」
「ホットミルクお願いします」
「かしこまりましたっ!」
なんで江口は天使ちゃんの隣に腰掛けてるの?職務怠慢も甚だしいわよ。
....江口がこちらに目線をよこしてくる。作ってこいってか?分かりましたよ!!ったく。
私はそそくさと厨房に向かい、いつもより気持ち丁寧にホットミルクを作る。
できたホットミルクを天使ちゃんの元へ運ぶ。
「やっと最近高校生活に慣れてきまして」
「へぇ〜そうなんですか。ちなみにどこの高校へ通われてるんです?」
「春蘭高校です」
「結構偏差値高いところじゃないですか!仁さん頭も良いんですね〜っ!」
例に漏れず雑談してるわね。
ていうか、いつの間に江口は天使ちゃんを下の名前で呼ぶようになったの?かなり親密っぽいし、妬ましい羨ましい。
「お待たせしましたっホットミルクです」
私は江口と天使ちゃんの間に割るように入り、商品を出す。
「ありがとうございます。相変わらず美味しそうですね」
はぁああ...その笑顔で私は明日からまた生きることができます。ありがとう。
「ちょ、ちょっと仁さんとお話出来ないでしょ?」
江口が不満を言う。
でも残念ながら今日は少し反抗させてもらうわ。
「私も天使....前原くんとお話したいです。前原くん、ダメですか?」
天使ちゃんは男性にしては珍しくとても女性に優しい人だ。お願いしたら、断ることはない。....はず。
「なっ...」
江口が驚くリアクションをする。
ふっ、いつまでも傍観者に甘んじている私ではない。
「本当ですか?是非お願いします。僕も話したいと思ってたんですよ」
天使ちゃんはとても嬉しそうに言ってくれる。
胸がキュンとしてしまう。
「私もっ!!話に混ぜてちょうだい!!」
と、そこでキャリアウーマンも立候補してきた。すみません存在忘れてました。
「そうですね、みんなでお喋りしましょうよ。江口さん、いいですか?」
キャリアウーマンの提案にも快く返答する天使ちゃん。
対して悔しそうな雰囲気を出しつつも、にこやかな顔をかろうじて保っている江口。
独り占めはさせないわ。
「い、いいですよ〜?多い方が楽しいですもんね?」
顔が引きつってるわよ江口。
その後、新しいお客さんが来るまで私達4人はお喋りをした。天使ちゃんはとても聞き上手で、幸せで楽しい時間を過ごすことができた。
少し隙を見せれば、江口が不躾なお願いをしようとするので私が全てブロックしてやった。逆に私は隙をついてお願いをし、天使ちゃんに頭を撫でてもらったけど。ついでにキャリアウーマンも。キャリアウーマンは天使ちゃんに撫でられている間、これ人が見せていい表情なの?ってくらい惚けた顔をしておりなんかイっちゃってた。撫でられている時、私もそんな顔をしていたかなと不安になったのはご愛嬌。
今日のバイトは人生で1番幸せなひと時だったかもしれない。
天使ちゃんを見ているだけで幸福度が激増している。
確かに容姿は最高なんだけど、それだけじゃなく、人を惹きつける不思議な魅力が天使ちゃんにはあるのよねえ....。
それが何なのか私に理解することはできないけれど、天使ちゃんのような存在は後にも先にも生まれることはもうないだろうってことは何となく分かってしまう。
私はもっともっと天使ちゃんの存在を感じ、記憶し、堪能したい。
天使ちゃんは、夜空を刹那の間に横切る流れ星、はたまた泡沫の夢のように儚い存在だから一瞬一瞬を大切にしろと私の本能が告げている。
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コメント
Kまる
果てしなく美しいものを見ると独占欲が暴走してしまうのは普通です。
ノベルバユーザー315546
江口が少しウザいw