時代を越えてあの人に。~軍師は後に七人のチート家臣を仲間にします~

芒菫

天下を狙う傾奇者と狼を司る傾奇者。


「犬千代・・・・。」

信長は、利家に向けていた種子島を上に向けると、引き金を引いた。
弾が、空高く飛んでいくと共に大きな音を立てる。
すると、即座に新しい弾を取り出し、目で追うことすら出来なくなるくらい早く弾を装填した。
とても速かった。
藤吉郎曰く「信長様は、下天の世でただ一人、ここまで種子島を極められた方だと皆言っております。普通、弾を込める為には三十秒程を有さなければ弾込めを完了することは出来ませんからね~。ですが、信長様は独自で種子島を改造し、弾込めを余裕の十五秒と言う速さで行えるようにしたのですよ!まぁ、この種子島を大量生産を可能にしてしまうほどですからね・・・。」だそうだ。
そういえば、昨日俺を仕官先にしてきた恵美って子、彼女も種子島を悠々と扱っていたが、信長と戦ったら一体どうなるんだろうか・・・。
それをふまえ、首を傾げながら考えていると、上の方から、ドンっと何かを落とす音がした。

どうやら、信長が種子島を目の前に放り投げた音だったらしい。
次に、信長は刀に手を掛けた。

「まさか、信長。利家を斬るとか考えてないよな・・・。」

「まさか・・・。信長様に限ってそんなことは・・・。でも、やはり昨日と今日の態度が明らかに違いますからね・・・。もしかしたら・・・。」

藤吉郎は腕を組むとそう話した。
なんだよそれ。結局は信長の気分って事なのか。
俺は辺りを見渡し、何か上に繋がる物は無いか探してみた。が、しかしすぐ藤吉郎に止められた。

「駄目ですよ、相良殿。手を出すのはいけないことなのです。ここは、見守るのが筋なのですぞ~」

彼女は俺にそう言って聞かせた。しかし、それでも見てるだけじゃいけない気がする。

「分かってる。でも、もしこのまま信長が利家に手を掛けたりしたら!」

「私だって、分かってますよ!でも、もし手を出して犬千代ちゃんがもっと罰を受けてしまったら・・・。最悪、追放なのですよ!その重みが貴方には分かりますか・・・。」

いつもの様にほのぼのではなく、藤吉郎が俺に対して怒鳴って言った。
俺は藤吉郎に悪いことをしてしまったとすぐに後悔した。が、しかし謝れない。

「お二方、お黙りに。」

と、突然話に割り込んでくる女の人が一人いた。
昨日、信長と戦国ガールズトークをしていた織田家重臣の丹羽長秀だ。
彼女はそういうと、片手で扇子を勢い良く開いてみせる。
俺達がそんなことをやっているうちに、上は少し進展していたようだった。

「犬千代よ、覚えているか。儂とお主は何を誓った?」

上で何を言っているのかは聞き取れなかった。

「共に暴れて、平和を勝ち取る。」

「そうじゃ。次の世代には平和に生きて貰う。それがわしの天下への道筋なのじゃ。」

「だから、ついていく」

「それでも、お主は儂から菓子を盗み取ったじゃろう?」

ん?今全くもってしょうもない言葉が聞こえた気がするのだが。

「だから言っている。あれは虫がくっついていたからと。」

「虫が居ても盗むのはズルいと言っておるのじゃ!」

「あれで殿が食べて死んでしまったら元も子もない。」

・・・俺は、ため息を一つつくと、藤吉郎の方を向く。

「藤吉郎・・・。さっきはごめんな。」

「・・・。いいえ、気にしないで下さい。私も、言い過ぎた面は謝罪します・・・。だから、見守ってましょう?」

「そうだな・・・。なんか、どうでもいい内容で喧嘩してたみたいだし。」

と、話をしていると横から信勝つーちゃんが話に加わる。

「でもね・・。この喧嘩がしょうもないと周りから思われるのも一つの策なんだよね。」

「え?そうなのか?」

俺が驚いた顔で信勝を見ると、一笑い入れて話を続ける。

「ふふふ・・・。そうなの。実は私ね、お父様が亡くなってしまった後にお姉様と対立をしていたの。私が末森城の城主で尾張が・・・そうだな、末森織田と清洲織田と本家織田と分裂していたと言った方が良いかな。その時も、お姉様と犬千代ちゃんは喧嘩をしていたのよ。私たちはそれを好機だと読み違えて、お姉様に攻め込んでいったのだけど・・・。」

「それは大敗。こちらが籠城戦となったが止む負えず降伏に終わったのだ。」

と、胸が信長よりも少し小さいが希望を感じられる育ち盛りの女の子と、俺がかつて評価した女の子がそこにいた。
そう、鬼柴田の柴田勝家である。

「へぇ。でも、なんで勝家?」

「そ、それは・・・。」

勝家が黙り込むと、隣に居る信勝が詳細を話してくれた。

「勝家は、元々私の家臣だったの。だから、その戦いについては詳しいの。」

「へぇ、そうなのか。」

俺は納得し、そう述べると勝家は頷いた。
そうか、そうなのか。俺が来る前にもそんなことが起こっていたんだな。
ビックリだな。でも、流石信長だな。それが本当に策だとしているところが凄い。
憧れる存在だな・・・。

「さてと」

俺は、相づちを打つと、上を向いた。
清州城の天辺だ。未だに、喧嘩をしているのかと思ったが、利家が正座して頭を下げている姿がうかがえた。
天下の大土下座か・・・?こりゃ。

「許してはもらえるか。」

「・・・。まぁ、儂にも悪いところはあったと思う。あまりにも強く言い過ぎた。儂も謝罪するとともに、お主の行いは見逃そう。」

「なら・・・!」

「そうじゃ。家臣として再び織田家の為に尽くして欲しい。」

「そのつもり・・・。」

「くかか、そうか。」

信長が笑うと、それはそれは響くってなんの・・・。
天下の大笑いだった。これにて、信長と利家の喧嘩は終わった。
一段落つき、信長がしたの方を向き、大声で

「入城を許す~!」

と言った。俺達は、入っていく家臣たちを追うがままに、城の中へ入っていった。

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