時代を越えてあの人に。~軍師は後に七人のチート家臣を仲間にします~

芒菫

結ばれる盟は唐突に。


生暖かい風が、大広間の中を吹き通る。目の前に立つ彼女は、高貴な姫君の様に美しかった。
彼女は、バンっと大きな音を立てて大広間の襖を開き、ここに現れた。

「どうしたのじゃお市。お主がそんなに急ぎ気に現れるのはいつぞやぶりであったかのぅ・・・」

「はぁ・・・はぁ・・・。の、信長様・・・。落ち着いてお聞きください・・・」

いやどう考えても落ち着いて話さないといけないのはお市の方だろ!?
突然登場したお市、そして信長に対して発言した言葉。ただし、その発言は結局自分に対して言ってるみたいで・・・。

「これはこれはお市様」

そう言い、後ろから登場する佐久間信盛。おい、佐久間!なんでお前はタイミングの良い時に限ってこうやって登場するんだよ!?俺はちょっとツッコミ気味で佐久間の登場を考えた。

「おぉ、佐久間か。ちょうど良い。お市から話があるそうじゃ。お主もそこに座って話を聞くとよい」

・・・何にも言えねぇ。
前言撤回(詳しくは話していないけど)。信盛は勝家の隣に敷かれている座布団に腰を掛ける。
お市は大広間の中心に正座で座ると、頭を下げて礼儀正しく振舞う。
彼女も信長と同じように武将として活躍しているのだろうか。そんな疑問が俺の頭を横切った。

「実は先程、このような文が届きました。方によると、急ぎの文だそうで。この場をお借りして信長様に見て頂きたく。」

お市は懐より、折りたたまれた紙を取り出すと、信長の前へ献上した。

「ふむ。そうか。急ぎの文か・・・」

とすると、横より小姓が現れ、信長の元へ文を持って進む。
彼女はその文を受け取ると、ササッと開き、文の内容を黙読し始める。
・・・信長の顔色が一瞬変わった気がした。

「・・・市、これは誠の文なのだな?」

信長は左手に文を持ったままお市に問いかけた。

「はい。証信証明、三河よりの文にございます。」

三河・・・?確か、三河と言えば桶狭間の合戦の後、今川家より独立した松平家が治めている国のはず・・・なんでそこから・・・。

「あ」

俺の無意識で小さな声が零れ出た。
勝家は、文の内容を把握した如く、次の瞬間口を開く。

「松平からの同盟、ですか。」

信長がクスっと笑った。

「ついにきたっぽいに。信長様。ここは勿論受け入れるだに?」

「うむ。お市、松平の使者はまだ清洲に居るのだな?」

「はい。只今客間にてお待たせしております。」

信長の質問にお市はそう答える。一益の言ったついにきたって言うのはどういう意味なのだろうか?
もしや、元々松平との同盟を模索していた・・・?

「さて・・・わしは此処から離れられぬ。一益、佐久間、裕太。お主等で行って来ては貰えぬか?同盟の判断は勿論わしがする。お主等はかの者と話し合い、松平を掴め。」

信長はそう話した。

「分かっただに。佐久間殿、兄やん。行くだに。」

一益は刀を持つと腰にしまい込み、立ち上がる。
え、ちょっと待って!?俺も行くの?

「承知。」

佐久間もそう言うと、立ち上がって部屋をさっさと部屋を後にする。

「え、ちょっと待って!俺も行くの~!?」

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