時代を越えてあの人に。~軍師は後に七人のチート家臣を仲間にします~
美濃を制するもの、天下を制す
素晴らしいじゃないですか~なんていうけど、俺にとっては素晴らしいというよりも速過ぎる!って言いたくなるね。まぁ、この時代許可されて次の日にはその場に着いているってのは、常識中の常識だったのかもしれない。それを踏まえてだが、そう思った俺が此処に居た。
「はぁ・・・まぁいいや。藤吉郎、俺に何かあった時は・・・頼んだわ」
「え?それはどういう意味です~?相良殿」
顔を下に向けながら暗い話をし始める俺に対して、その意味を問いてくる藤吉郎。
俺は彼女の顔を見ず、下を見ながら「まぁ、そう言う事だから。自分で解釈しちゃっていいよ」と話した。
そう言った俺が悪いのだが、彼女は首を傾げると、次のように言い放った。
「それじゃあ、相良殿の首が跳んでいくって解釈して良いのですね~」
「真面目な顔でそんな物騒な事言うの止めてくれる!?まるで俺が生きてるだけで罪な男みたいな言い方してるじゃん!?」
一瞬にして飛び上がり、彼女を見つめながらそれについてツッコミを入れていく。
流石に、首が跳んでいくって解釈にはならないと思った。いや、思う以前に予測して居なかったんだ・・・俺は。
「きっきっき。冗談ですよ、相良殿」
と、猿の様に笑って冗談と誤魔化していく。
彼女の冗談は、これまでもあながち現実になっているオチがあるので信じられないけどね!
「はぁ・・・んじゃもういいよ。俺は家に戻るよ!」
と、俺は頬を膨らませながら怒り、家の方へと歩いていく。
藤吉郎はそれを見ると、ハワハワしながらその場で大事な話をし始める。
「っそ、それはそうと。どうやら、武田からも同盟の使者を送ったようなのですよ!」
俺はその話を聞いた途端、歩いていた状態から後ろへ競歩状態で早歩きで下がっていき、藤吉郎の方まで戻っていく。
「お、おい。その話は本当かよ?」
俺が、家の区切りとなっている柵に手を掛けると、藤吉郎は頷いて此方を向いていた。
「らしいです。噂によれば、本当に信長様は美濃進出に向けて準備をしているようです。このように、松平とも同盟を結び、武田とも結び・・・。どうやら、美濃衆の調略にも力を入れているのだとか」
「お前の勘はあながち間違っちゃいねぇけど・・・。信長が美濃を攻めるってのは本当だと思う。天下を制するためには必ずぶつかってくる壁だからな。今のうちに取っておきたいんだ」
「・・・美濃と言うものは、昔からこう呼ばれていたのです。『美濃を制するもの、天下を制す』」
美濃を制すもの、天下を制す?一体どう言う意味だこりゃ?
藤吉郎に、その意味はどういう意味なのか尋ねてみると「いや~貴方自身の解釈でよろしいですよ~」と言って、俺に借りを返すように話を盛ってきた。
「はぁ・・・一本取られたな。降参だ、教えてくれ」
俺は深く頭を下げると、藤吉郎にその言葉の意味について詳しく説明してもらう。
「そうですね~。そのままなのですがね~。美濃を制す。これは美濃を取る、治めるという事です。そして天下を制す、天下を取り、治める。この意味にあたいします。何故そう言われるのかと言うとですね、美濃は東から西に掛けて、通るに欠かせない要所となっているのです。そしてその西から東までに沢山いる商人達が、店を構えて栄えている国です。銭も天下への足掛かり、そんな美濃には天下を取る為の拠点として、とても重要な役割を果たしてくる、と言う訳です」
彼女はそう説明すると、えっへん!と言うように、胸に手をポンッと当てて、自分の知識について自慢したような仕草を見せつけてくる。
「はいはい、そうですか。・・・色々聞いたけど、俺の殺めた義龍って子、元々は下克上で成り上がった斉藤道三の娘だったんだろう?」
「・・・はい。織田家の人質である帰蝶様も、道三様の娘なのです。道三様は、美濃の守護であり、君主であった土岐氏に反旗を翻し、稲葉山を乗っ取り、土岐氏を追放してしまったのです。それで土岐さんは織田家に救援を頼み、朝倉と共に美濃侵攻をしたというのが信長様のお父様の時代にあったのですが・・・。見事道三の策によって進行を中止せざるを得なくなってしまったそうで」
昔も色々あったんだなぁ。そんなことを思いながら藤吉郎の話を聞いていた。
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