時代を越えてあの人に。~軍師は後に七人のチート家臣を仲間にします~
魔王と狸。
ー清洲城 大広間
暑い。日差しが眩しい。とは言え、俺の知っている世界の夏はここまで涼しくはなく、外に出ているだけで鬱になってしまうものであった。地球温暖化。そう考えると、戦国時代に地球温暖化と言われる例年気温が上がっていく現象も起きず、夏もこのように快適に過ごせたのかもしれない。
・・・緊張感とは裏腹に。
「おひさしゅうございます、吉法師殿」
中央に座っている彼女は信長に頭を深々と下げると、嬉しそうに信長の幼名で呼んでいく。
信長も嬉しそうに笑っていたが、流石に使者を送ってきた次の日に来るという告知も無く突然来たので、もてなす用意が尋常じゃないほど早かった。そのゆえ、少し機嫌が良くない。
「竹千代....いや、元康よ。久しいの。わしもお前の父上も、尾張と三河の争奪戦では頭を悩ませたものよ。これからの同盟の利、互い大いにあると思っておるぞ」
元康はにやりと笑うと「勿論にございます」と言って話した。
「そうでした。吉法師殿は織田信長殿と名乗っておいででしたね。失礼つかまつりました」
信長はそれを聞くと「構わぬ」といって双方せせら笑いをする。
読めぬに読めない同盟の交渉場であった。織田家臣も、松平の家臣も、気が抜けない。
「しかし元康殿。今では共に立場も変わったものよ。昔話でもしたい気分じゃな....」
信長はそう言って笑った。
「勿論にございます。しかし、本題をということですよね?」
信長は頷いた。
元康は二本の刀(鞘のついたまま)を抜くと、床において姿勢を正す。
「我らは小勢。されど周りには大国ばかりで牙を向けて襲いかかってくる。我ら小勢同士が力を合わせ、共に進んでいく他道はない。しかし、我らは父の代から宿敵。織田家中では、同盟の件について納得しているのだが、松平の方では同盟の件に意見を申し立てているものは少なからずいるであろう」
元康は何度か小さく頷くと、信長の話を聞いていた。
「流石は信長殿。状況をよくわかっておいでです。松平の家中では、同盟の件に意見を申し立てているものは少なからずいます。勿論、信長様のいったように、宿敵であるからです。しかし、私は何がなんでもこの同盟を成し遂げたい、そう思っています」
信長も同じように、何度か小さく頷く。いつもより真剣に聞いているようで....俺らの話ってちゃんと聞いてるのか聞きたくなってくる。
「それは何故じゃ」
「信長殿が松平の状況を読めるように、私は貴方の心うちを知っています。私は信長殿の目指している新しい天下、太平の世を。昔約束したではありませんか。必ず信長殿のお役に立つ、と。その時貴方は笑ってこうおっしゃっていました。『この乱世を終わらせて見せようぞ』と。私は信長殿の言葉に感銘を受けました。これほどにない感銘を。だからこそ、です」
正直、なんとも言えない。信長の過去を知らないからである。
「ぐずぐずしてはいられないのです。三河を首尾として取り戻しました。民も家臣も大喜びでの帰参です。今川からの独立です。ですが、落ち着いてはいれません。落ち着いていては必ず今川と同じ道を辿るからです。もはやお家の伝統など....戯れ言に過ぎませぬ。新しきものに手を伸ばす、それがこれからの道かと」
そのまま元康は続けて話した。
「そしてこれからの道を、一番見通していらっしゃるのは....」
「わし、と言うわけか。元康殿よ」
信長は元康の言葉を聞いてそう言うと、扇子を手に打ち付ける。緊張が走った。
「わしの野望に沿いたいと申すか.....くかか、流石は元康殿!面白い。よかろう、同盟の確立とな。これからは盟友じゃ。よろしく頼むぞ」
信長は笑顔でそう話すと、扇子で元康のことを差した。
元康は深く頭を下げると、信長にお礼を言ってニコッと笑う。
同盟は決まった。この同盟の後に清洲同盟と言うようになる。
そしてこの同盟の後、松平元康は今川から頂いた元の字を返上し、代わりに家を使うようになり、松平家康となっていく。
暑い。日差しが眩しい。とは言え、俺の知っている世界の夏はここまで涼しくはなく、外に出ているだけで鬱になってしまうものであった。地球温暖化。そう考えると、戦国時代に地球温暖化と言われる例年気温が上がっていく現象も起きず、夏もこのように快適に過ごせたのかもしれない。
・・・緊張感とは裏腹に。
「おひさしゅうございます、吉法師殿」
中央に座っている彼女は信長に頭を深々と下げると、嬉しそうに信長の幼名で呼んでいく。
信長も嬉しそうに笑っていたが、流石に使者を送ってきた次の日に来るという告知も無く突然来たので、もてなす用意が尋常じゃないほど早かった。そのゆえ、少し機嫌が良くない。
「竹千代....いや、元康よ。久しいの。わしもお前の父上も、尾張と三河の争奪戦では頭を悩ませたものよ。これからの同盟の利、互い大いにあると思っておるぞ」
元康はにやりと笑うと「勿論にございます」と言って話した。
「そうでした。吉法師殿は織田信長殿と名乗っておいででしたね。失礼つかまつりました」
信長はそれを聞くと「構わぬ」といって双方せせら笑いをする。
読めぬに読めない同盟の交渉場であった。織田家臣も、松平の家臣も、気が抜けない。
「しかし元康殿。今では共に立場も変わったものよ。昔話でもしたい気分じゃな....」
信長はそう言って笑った。
「勿論にございます。しかし、本題をということですよね?」
信長は頷いた。
元康は二本の刀(鞘のついたまま)を抜くと、床において姿勢を正す。
「我らは小勢。されど周りには大国ばかりで牙を向けて襲いかかってくる。我ら小勢同士が力を合わせ、共に進んでいく他道はない。しかし、我らは父の代から宿敵。織田家中では、同盟の件について納得しているのだが、松平の方では同盟の件に意見を申し立てているものは少なからずいるであろう」
元康は何度か小さく頷くと、信長の話を聞いていた。
「流石は信長殿。状況をよくわかっておいでです。松平の家中では、同盟の件に意見を申し立てているものは少なからずいます。勿論、信長様のいったように、宿敵であるからです。しかし、私は何がなんでもこの同盟を成し遂げたい、そう思っています」
信長も同じように、何度か小さく頷く。いつもより真剣に聞いているようで....俺らの話ってちゃんと聞いてるのか聞きたくなってくる。
「それは何故じゃ」
「信長殿が松平の状況を読めるように、私は貴方の心うちを知っています。私は信長殿の目指している新しい天下、太平の世を。昔約束したではありませんか。必ず信長殿のお役に立つ、と。その時貴方は笑ってこうおっしゃっていました。『この乱世を終わらせて見せようぞ』と。私は信長殿の言葉に感銘を受けました。これほどにない感銘を。だからこそ、です」
正直、なんとも言えない。信長の過去を知らないからである。
「ぐずぐずしてはいられないのです。三河を首尾として取り戻しました。民も家臣も大喜びでの帰参です。今川からの独立です。ですが、落ち着いてはいれません。落ち着いていては必ず今川と同じ道を辿るからです。もはやお家の伝統など....戯れ言に過ぎませぬ。新しきものに手を伸ばす、それがこれからの道かと」
そのまま元康は続けて話した。
「そしてこれからの道を、一番見通していらっしゃるのは....」
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元康は深く頭を下げると、信長にお礼を言ってニコッと笑う。
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そしてこの同盟の後、松平元康は今川から頂いた元の字を返上し、代わりに家を使うようになり、松平家康となっていく。
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