人違いで異世界に召喚されたが、その後美少女ハーレム状態になった件

あまたつ

第8話 出会った少女が可愛すぎた件

「ど、どうもっす」

 俺の精一杯の言葉。何か情けない…。

 俺の情けない一言で、一瞬双方沈黙になった。

 と、シリアがお腹を抱えながら笑いだした。

「あっははは!何それ!?緊張してるの!?情けないな~、あははは!」

 シリアは涙目になりながら子供のように笑っている。
 笑っている姿も、子供っぽくて可愛い。

「面白い人なんだね!翔太お兄ちゃん!」

 ……面白い人かはともかく、何でお兄ちゃんなんだ?

 俺の表情を見たシリアは、俺が言おうとしたことを察したようだ。

「もしかして、お兄ちゃんって呼ばれるの嫌だった…?」

「いや、別に」

 シリアが上目遣いで言ってくるもんだから、恥ずかしくて視線をそらしてしまった。

「あれれ?何で視線そらしたの?お兄ちゃん、もしかして照れちゃった?」

「ちち、違うから!!」

 くっ!この子といると調子が狂う!

 俺はこの空気に耐えきれなくなり、ルイの部屋に逃げ込もうとした。
 が、ドアノブに手をかけた瞬間、シリアに話しかけられてしまった。

「ねえ」

「は、はい?」

「お兄ちゃんの能力値見せてよ」

 シリアに唐突に言われた。

 いや、能力値ってなんだ?俺そんなもの持ってたっけか?

 俺がキョトンとした顔をしていると、シリアが立ち上がり、俺に近づいてきた。

「能力値を知らないの?」

 そう言って、俺の右手を握るなり、装着していた腕時計のような物を起動させた。

 っていうか、そういえばこんなの付けてたな。

「ほら、ここのボタンを押すんだよ」

 シリアがボタンを押すと、空中に画面が表示された。

「え~と、どれどれ……ってええ!?何でお兄ちゃんレベル1つも上がってないの!?」

 え?レベル?何だそれ。

「しかも何この特殊能力。見たことないし聞いたこともないよ?」

 特殊能力って、あの女性がくれた能力のことか?

「こんなんじゃすぐ死んじゃうよ!今からレベル上げに行こうよ!」

 そうか、だからあの時俺は死にかけたのか。

「ほら!行くよ!」

 そう言って、シリアは俺の腕を引っ張り、小屋の外に出た。

『ガチャ』

 ドアを開けると、オレンジ色の光が差し込んできた。

 ……もう夕方か。

 俺はシリアに引っ張られながらそんなことを考えていた。

「ほら!あそこにいるスライム位は倒せるでしょ?」

 シリアが指差した先には、青くてプルプルしたスライムがいた。
 いや、ていうか俺あいつに殺されかけたんだが…。

「無理だ、俺あいつに殺されかけたんだぞ?」

 自分で言ってて悲しくなるな。

「しょうがないなあ…。じゃあ、私が瀕死状態にするから、最後の一発をお兄ちゃんにお願いするね?」

「おう、分かった」

 そう言うと、シリアは右手をパーにした状態で、スライムにかざした。

「ファイアビーム!」

 そう叫ぶと、右手から炎をまとったビームがスライム目掛けて放たれた。

『キュウッ!』

 直撃を受けたスライムが、悲鳴を上げて倒れた。

「じゃあ、あとはお兄ちゃんの番だよ」

「おう!」

 そう言って、俺はスライムに近づいていった。

「うおりゃっ!」

 渾身のパンチをスライムにかました。

『キュウッ!』

 すると、スライムが青く光だし、やがてその光は、俺の右腕に付いている腕時計のような物に吸収された。

「これでレベルがあがったよ!」

 シリアは笑顔でそう言った。

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