勇者になれなかった俺は異世界で
お金のお話
「――って事があったんだよ」
風呂場から上がり皆で豪華な夕食を食べている時に
俺は折角なので先ほどの出来事を皆に伝えてみた。
「あの小娘、見かけによらずなかなかやるのう
良い玩具になりそうじゃ」
あれ、そっち?
俺としては武器を売ったお金でって所を触れて欲しかったんだが。
そんな事知る由も無いご主人様は言い終えた後
もぐもぐと食事を再開してしまった。
「ソラ君の武器を勝手に売るなんて、僕は許せないね」
そう、そこだ!だけどおしい、もうちょっと!
ヘリムは俺の武器の事を触れてはくれたのだが、
もう少しなのだ、その武器を売ってからの事を触れて欲しい。
だが、ヘリムはぷんぷんと言って食事を再開してしまった。
「どうした、ソラ、顔が歪んでいるぞ
お腹でも痛いのか?喰らってやるか?」
どうやらギリギリの所で焦らされもどかしく悔しい表情に出ていたらしく、
擬人化して一緒に食事をしていたポチに心配されてしまった。
「いや、大丈夫だ……うん」
自分から言い出すには絶好の機会なのだが、
自分から言ってしまうと何だか自慢っぽく聞こえてしまいそうで何だか嫌だ。
今回は大人しく諦めよう。
「そうか、なら良い。
所でソラの武器で国が買えるとは驚きだな」
「!!」
諦めた次の瞬間ポチの口から待ち望んでいた言葉が発せられ、
俺は表には出さないが心の中では嬉しさが爆発していた。
流石はポチだ、もう大好き!
「なんじゃ、驚く事ではないじゃろう」
「そうだね~」
「えぇ……」
どうやら女性陣二人にとっては俺の武器で国が買えた
という事を当たり前で驚く事では無いと思っているらしい。
ちくしょう、どうなってんだこの二人!
「そうなのか、良く分からないな説明を求む」
ポチは女性陣とは違いしっかりと驚いてくれてるだけ有難い。
さらに俺代わりに説明も求めてくれて非常に助かる。
さぁ、説明してもらおうじゃないか、何故驚かないのか!
「うむ、前に森に攻めて来た愚か者共がいたじゃろ?
その時にソラが倒した魔物の事を思い出してみれば
説明せずとも分かるのじゃ」
「ああ、そういう事か納得だ」
あの時の魔物……あのケルベロスもどきか。
そういえばあの時誰かが言ってたな、
あの魔物は皮膚が物凄く硬いって。
つまりそれを切り裂いた俺の武器は結構凄いってことだ。
極めて成果が思わぬところで知れて少し複雑な気持ちだが嬉しい。
「これで金に困る事はないな」
ポチはそんな事を言っているが俺にその気などさらさらない。
俺の魔力がある限り武器は作れてそれを売れば
ほぼ無限にお金が稼げるだろうが、そんな事をしてしまえば
武器を求める輩達などから厄介ごとに巻き込まれかねない。
「俺の武器はそうホイホイと売らないぞ」
「うん、そうだね。ソラ君の武器はソラ君の物。
つまり僕の物だ、それが誰かの手に渡るのはあまり気分が良い物ではないからね」
なんだか滅茶苦茶な事を言っている様に聞こえるが
意外とあっており事実な為何も言えない。
と言うか、そもそもご主人様以外がお金を使う事なんて滅多にないのだから
俺達にはあまり関係の無い話だった。
「……そうか、まぁ、我が居る限り金には困らないな」
「ああ、確かに」
そういえばこの前買い物行ったときは
ポチがおぇえってしてお金を出してたっけ。
「出来ればちゃんと財布から取りだして欲しいんだが」
「まぁ、そうしても良いが、受け止めるのはソラだからな?
財布に入るだけどなると余計な物まで出してしまいそうだがな」
「それは……」
少し想像してみよう、ポチの口からお金が出てくる。
加護とかの影響で綺麗になっているからこれはまだ何とか耐えられる。
余計な物……まだエキサラの料理が出てくるのならばギリギリだが、
もし、消化しかけの腕やらが出てくるとしたら――
「ごめん、やめよ。お金の事は全部ご主人様に任せよう」
「良い判断だ」
「うむ、お金なら腐るほどあるからのう、
お小遣いが欲しかったら何時でも言うのじゃ」
小遣いを貰ったとしても大して欲しい物が無い。
今度出掛ける時に一応少しだけもらうとするか。
そんな会話をしながら夕飯を終わらせ、雑談をしたりしてその日は眠りについた。
この日もあの夢の続きをみることはなかった。
次の日からは何とポチ、エキサラに加えヘリムまでが
トレーニングに参加することになったのだ。
と言ってもご主人様の様に非人道的なメニューでは無く、
一番まともなメニューだ。
ポチとエキサラのメニューの後だから遠慮してくれているのだろうか。
ヘリムのメニューは戦い方のレクチャーの様な物だった。
「別にね魔法を使わなくても相手が生きているのならば殺せるんだよ。
頭さえ飛ばしてしまえば良いのさ」
「まぁ、当然だけどさ、そう簡単にはいかないだろ」
相手が普通の人間ならそれでどうにかなるかも知れないが、
訓練を受けている人間だとそれでは通用しない。
防具は関係ないとして頭を潰すのは相当困難だろう。
「よーく狙えば割と如何にかなるのさ
ソラ君は頭を狙う時どうやって狙うんだい?」
「そりゃ、頭に狙いを定めて――って感じだ」
実際に木刀を作り出し、敵をイメージして動きを見せる。
「ん、それだと視野が狭くて相手が素早い動きをしてきた時対応出来ないと思うよ
だからね、頭を狙う時は頭二つ分ぐらいの視野を広げるんだ。
一点に集中しちゃ駄目だよ、視野は広く」
「なるほどね、ありがと参考にするよ」
言葉は理解したが実際にやってみなくては分からない。
これからはこのメニューも加えてやっていこう。
「うん、頑張ってね~」
驚くことにヘリムのメニューはこれで終わりだ。
エキサラのあの鬼畜メニューの後だから
ヘリムが本当に神様に思えてしまう。
実際は神様なのだけれど……
風呂場から上がり皆で豪華な夕食を食べている時に
俺は折角なので先ほどの出来事を皆に伝えてみた。
「あの小娘、見かけによらずなかなかやるのう
良い玩具になりそうじゃ」
あれ、そっち?
俺としては武器を売ったお金でって所を触れて欲しかったんだが。
そんな事知る由も無いご主人様は言い終えた後
もぐもぐと食事を再開してしまった。
「ソラ君の武器を勝手に売るなんて、僕は許せないね」
そう、そこだ!だけどおしい、もうちょっと!
ヘリムは俺の武器の事を触れてはくれたのだが、
もう少しなのだ、その武器を売ってからの事を触れて欲しい。
だが、ヘリムはぷんぷんと言って食事を再開してしまった。
「どうした、ソラ、顔が歪んでいるぞ
お腹でも痛いのか?喰らってやるか?」
どうやらギリギリの所で焦らされもどかしく悔しい表情に出ていたらしく、
擬人化して一緒に食事をしていたポチに心配されてしまった。
「いや、大丈夫だ……うん」
自分から言い出すには絶好の機会なのだが、
自分から言ってしまうと何だか自慢っぽく聞こえてしまいそうで何だか嫌だ。
今回は大人しく諦めよう。
「そうか、なら良い。
所でソラの武器で国が買えるとは驚きだな」
「!!」
諦めた次の瞬間ポチの口から待ち望んでいた言葉が発せられ、
俺は表には出さないが心の中では嬉しさが爆発していた。
流石はポチだ、もう大好き!
「なんじゃ、驚く事ではないじゃろう」
「そうだね~」
「えぇ……」
どうやら女性陣二人にとっては俺の武器で国が買えた
という事を当たり前で驚く事では無いと思っているらしい。
ちくしょう、どうなってんだこの二人!
「そうなのか、良く分からないな説明を求む」
ポチは女性陣とは違いしっかりと驚いてくれてるだけ有難い。
さらに俺代わりに説明も求めてくれて非常に助かる。
さぁ、説明してもらおうじゃないか、何故驚かないのか!
「うむ、前に森に攻めて来た愚か者共がいたじゃろ?
その時にソラが倒した魔物の事を思い出してみれば
説明せずとも分かるのじゃ」
「ああ、そういう事か納得だ」
あの時の魔物……あのケルベロスもどきか。
そういえばあの時誰かが言ってたな、
あの魔物は皮膚が物凄く硬いって。
つまりそれを切り裂いた俺の武器は結構凄いってことだ。
極めて成果が思わぬところで知れて少し複雑な気持ちだが嬉しい。
「これで金に困る事はないな」
ポチはそんな事を言っているが俺にその気などさらさらない。
俺の魔力がある限り武器は作れてそれを売れば
ほぼ無限にお金が稼げるだろうが、そんな事をしてしまえば
武器を求める輩達などから厄介ごとに巻き込まれかねない。
「俺の武器はそうホイホイと売らないぞ」
「うん、そうだね。ソラ君の武器はソラ君の物。
つまり僕の物だ、それが誰かの手に渡るのはあまり気分が良い物ではないからね」
なんだか滅茶苦茶な事を言っている様に聞こえるが
意外とあっており事実な為何も言えない。
と言うか、そもそもご主人様以外がお金を使う事なんて滅多にないのだから
俺達にはあまり関係の無い話だった。
「……そうか、まぁ、我が居る限り金には困らないな」
「ああ、確かに」
そういえばこの前買い物行ったときは
ポチがおぇえってしてお金を出してたっけ。
「出来ればちゃんと財布から取りだして欲しいんだが」
「まぁ、そうしても良いが、受け止めるのはソラだからな?
財布に入るだけどなると余計な物まで出してしまいそうだがな」
「それは……」
少し想像してみよう、ポチの口からお金が出てくる。
加護とかの影響で綺麗になっているからこれはまだ何とか耐えられる。
余計な物……まだエキサラの料理が出てくるのならばギリギリだが、
もし、消化しかけの腕やらが出てくるとしたら――
「ごめん、やめよ。お金の事は全部ご主人様に任せよう」
「良い判断だ」
「うむ、お金なら腐るほどあるからのう、
お小遣いが欲しかったら何時でも言うのじゃ」
小遣いを貰ったとしても大して欲しい物が無い。
今度出掛ける時に一応少しだけもらうとするか。
そんな会話をしながら夕飯を終わらせ、雑談をしたりしてその日は眠りについた。
この日もあの夢の続きをみることはなかった。
次の日からは何とポチ、エキサラに加えヘリムまでが
トレーニングに参加することになったのだ。
と言ってもご主人様の様に非人道的なメニューでは無く、
一番まともなメニューだ。
ポチとエキサラのメニューの後だから遠慮してくれているのだろうか。
ヘリムのメニューは戦い方のレクチャーの様な物だった。
「別にね魔法を使わなくても相手が生きているのならば殺せるんだよ。
頭さえ飛ばしてしまえば良いのさ」
「まぁ、当然だけどさ、そう簡単にはいかないだろ」
相手が普通の人間ならそれでどうにかなるかも知れないが、
訓練を受けている人間だとそれでは通用しない。
防具は関係ないとして頭を潰すのは相当困難だろう。
「よーく狙えば割と如何にかなるのさ
ソラ君は頭を狙う時どうやって狙うんだい?」
「そりゃ、頭に狙いを定めて――って感じだ」
実際に木刀を作り出し、敵をイメージして動きを見せる。
「ん、それだと視野が狭くて相手が素早い動きをしてきた時対応出来ないと思うよ
だからね、頭を狙う時は頭二つ分ぐらいの視野を広げるんだ。
一点に集中しちゃ駄目だよ、視野は広く」
「なるほどね、ありがと参考にするよ」
言葉は理解したが実際にやってみなくては分からない。
これからはこのメニューも加えてやっていこう。
「うん、頑張ってね~」
驚くことにヘリムのメニューはこれで終わりだ。
エキサラのあの鬼畜メニューの後だから
ヘリムが本当に神様に思えてしまう。
実際は神様なのだけれど……
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