異世界支配のスキルテイカー ~ ゼロから始める奴隷ハーレム ~

柑橘ゆすら

水魔法を使ってみよう



 クエストの完了報告を済ませた悠斗は、ひたすらに上機嫌であった。

 本日の報酬は2700リア。
 日本円にして約2万7000円である。

 スピカと一緒に冒険するようになってからというもの、見違えるように報酬額が増えてきた。
 このまま稼ぎを増やしていけば、生活にも随分と余裕が生まれるに違いない。


 近衛悠斗
 QR7
 QP(10/70)


 QRの方も目に見えて上昇している。
 これにより割の良いクエストが追加されれば、明日からは更なる収入アップを期待できるに違いない。


 近衛悠斗
 魔法  : 水魔法 LV3(1/30)
       風魔法 LV3(12/30)
       聖魔法 LV2(5/20)
 特性  : 火耐性 LV2(15/20)
       水耐性 LV2(15/20)
       風耐性 LV2(14/20)


 悠斗は宿屋に帰った後、おもむろにステータス画面を確認。


 グリーンスライムが風耐性。
 フェアリーが聖魔法。
 シザークラブが水魔法


 という具合にそれぞれ取得できるようであった。
 風耐性はかねてより悠斗が欲していた特性である。

 風魔法による高速移動技術《飆脚ひょうきゃく》をマスターするには、この特性のレベルを上げることが必須であると考えていたからだ。

 けれども。
 スキルレベル2程度でどれだけダメージを軽減できるかは不明である。 

 本格的に《飆脚》の訓練をするのは、もう少し風耐性のスキルレベルを上げてからでも遅くはないだろう。

 次に水魔法。


 水魔法 LV3
 使用可能魔法 ウォーター ウォーターボム


 ウォーター
(水属性の基本魔法)


 ウォーターボム
(高威力の水属性魔法)


 今日だけで一気にLV3まで上がっていたので使用できる魔法が2種類に増えていた。
 LV3でボム系の魔法を取得できるというのは、全ての魔法で共通することなのだろうか。

 悠斗はシャワールームに置いてあった桶を寝室に持ってくると水魔法の実験を行うことにした。

「ご主人さま。何をされるのですか?」

「ああ。ちょっと魔法の修行をしようと思って」

 悠斗が告げるとスピカは頬を染める。

「あ。ということは……今日もスカートを着る必要ってあります?」

「いや。今日は必要ないかな」

「……はう。そ、そうなのですか」

 スピカは心なしか少し残念そうな表情をしていた。

 そんなスピカの複雑な心情を他所に、悠斗は水魔法の検証を開始する。
 桶の上に水を垂らすようなイメージで呪文を唱える。


「……ウォーター!」


 直後。
 宙に不可視の蛇口が出現したかのように水が落ちる。

 その量はなかなかのものであり、1回の魔法で5リットルほどの容量がある桶が満タンになるまで注ぐことが出来た。


(……なるほど。これは便利かもしれないな)


 悠斗たちが泊まっている宿屋では、《水の魔石》から採取できる無料の飲み水が配布されている。

 従って。
 基本的には、討伐クエストの際に有料の水を購入する必要はない。

 けれども。
 仮に遠征中に遭難したときは最低限の水をこの魔法で確保することが出来る。

 戦闘で役に立ちそうなスキルではないが、いつでも水を出せるというのは異世界生活においては何かと役に立ちそうであった。

「ご主人さま! 凄いです! ご主人さまは2種類の魔法を操ることが出来るのですか!」

「そんなに凄いことなのか? これって?」

「ええ。同時に2系統の魔法を操る人間は《デュオ》と呼ばれておりまして1万人に1人の確率で生まれてくるそうです。
 ちなみにその上の《トリニティ》は100万人に1人。《カルテット》は1億人に1人……と、言った具合にその希少度は100倍増しに上がっていくそうです」

「なるほど」

 スピカの話が正しければ、《水》・《風》・《聖》という3系統の魔法を使用できる悠斗は現時点で100万人に1人の逸材ということになる。

 更に言えば。

 この分だと同時に5系統の魔法を使えるようになり、100億人に1人の人間になる日も遅くはなさそうである。
 そこまで聞いたところで悠斗は、次なる魔法の検証作業に入る。


「ウォーターボム!」


 右手をスピカの方に向けて呪文を唱える。

 直後。
 悠斗の掌からは直径10センチほどの球体が出現する。


「スピカ! 早く逃げないとその球体は爆発するぞ!」


「なっ。え。ちょ!? ご主人さま!?」

「おい!? 早く逃げないと手遅れになるぞ!」

「えええええぇぇぇ!?」

 悠斗から忠告を受けたスピカは、そんなに広くもない室内の中を必死に逃げ回る。


「逃がすか!」


 悠斗は巧に球体を操作しスピカの背中を追いかける。
 昨晩の修行により悠斗は魔法のコントロール技術を磨くことに成功していた。


「びえええぇぇぇ!」


 壁際に追いつめられたスピカは、涙目になりながらもヘナヘナとその場に腰を下ろす。

 当然ながらスピカの安全を考えて魔法の威力は最小限にコントロールしている。
 万が一の場合に備えて、爆発する手前にスピカのことを追いかけ回すのを辞めて魔法をその場に留めておく。


 瞬間、轟音。


 破裂した水の球体は周囲に凄まじい量の水を撒き散らす。

 球体から5メートルの距離にいて巻き添えを食らったスピカは、シャツを濡らして純白の下着を露わにしていた。

「すまん。スピカ。やっぱり今晩も着替える必要がありそうだな」

「うぅぅ……。酷いです。ご主人さまは横暴です」

 涙目で訴えるスピカ。

 けれども。
 その姿は悠斗の中の嗜虐心を余計に増長させるだけのものであった。

「正直、少し反省している。ここは俺が片づけておくからスピカは着替えておけよ」

「そ、そういう訳には行きません! 濡れてしまった床は私が掃除しておきますから、ご主人さまは先にベッドで横になっていて下さい」

「……ん。そうか」

 たとえそれがどのような事情であれ、スピカとしては自らの主人に掃除をさせるなど許せないことなのだろう。

 そんな心情を悟った悠斗はベッドの上にゴロンと転がると、懸命に布きれを絞って後片付けをするスピカの様子を見守っていた。


(……自分で思っていたよりも俺は、ドSなのかもしれないな)


 スピカに悪戯をするのは楽しい。

 今回は流石にやり過ぎた感があるが、今後も折を見てスピカへの悪戯は継続して行くことにしよう。

 ベッドの上に寝転びながらも悠斗は、そんなことを考えるのであった。





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