異世界支配のスキルテイカー ~ ゼロから始める奴隷ハーレム ~
競売でアイテムを落札しよう
翌朝。
目を覚ました悠斗はさっそく遠征の準備に取り掛かることにした。
ここのところ何かと忙しく、思ったように時間を取ることが出来なかったからだろう。
冒険者ギルドに出向くのは実に2日振りのことであった。
生活の資金を稼ぐ意味でも、自身の能力を強化する意味でも討伐クエストをこなすことは必須である。
悠斗はこれまでの遅れを取り戻すべく、足取りを速くして家を出ることにした。
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「おや。いらっしゃい」
本音を言えば一刻も早く討伐クエストをこなしたいところではあるのだが、悠斗は冒険者ギルドに向かう前に雑貨店に立ち寄ることにした。
何故ならば――。
鞄の中には競売品の売却益である40万リアという大金が残っているからだ。
この資金で悠斗は、生活・冒険に必要なアイテムを補充しようと考えていたのであった。
「リカルツから話は聞いているよ。兄ちゃん。新しく家を買うことになったんだって?」
「はい。おかげさまで。この度は色々とありがとうございました」
「いいってことよ。そんで今日はウチに何の用だい?」
「えーっと。この店で売っている魔石を見せて貰えませんか」
「なんだ。魔石かい? 了解、了解」
アドルフは鼻歌を唄いながらも上機嫌にテーブルの下から箱を取り出す。
中を開けると、そこには3種類の魔石が入っていた。
火の魔石 レア度 ☆
(レッドスライムの核を元に作られた魔石。火の力を秘めている)
水の魔石 レア度 ☆
(ブルースライムの核を元に作られた魔石。水の力を秘めている)
風の魔石 レア度 ☆
(グリーンスライムの核を元に作られた魔石。風の力を秘めている)
大きさは直径5センチくらい。
それぞれ赤、青、緑の色をした宝石のように綺麗なアイテムであった。
「水の魔石と火の魔石の値段は1個500リア。風の魔石に関しては100リアで売っている。まあ、この3種に関しては何処で買おうがそんなに値段は変わらないだろうな」
「……なるほど」
スピカの話によると――。
水の魔石1個で小浴場を5回分ほど張り替えることが出来るということらしい。
そうなると水の魔石だけで月に3000リア。
実際は水を温めるために火の魔石を消費するため更なる費用がかかるだろう。
風の魔石の値段が他の2つよりも安いのは需要の問題だろうか?
(風呂代だけで毎月3万以上かかるんじゃ……たしかに一般人にはなかなか手が出ないよな)
けれども。
今後の生活において魔石は欠かせないアイテムである。
屋敷を探索したところ。
キッチンや洗面所と言った場所にも魔石を嵌め込むスペースが存在していた。
風呂だけに限らず魔法石というのは、トライライドにおける必需品を考えた方が良さそうである。
「水の魔石を10個と火の魔石を10個を頂けますか?」
「あいよ。了解」
アドルフは要望を受けると魔法石を麻袋に入れて悠斗に手渡した。
総額にして1万リア。
生活必需品のアイテムとは言え、手痛い出費である。
(……今後は風呂の水は、魔法で入れた方が良さそうだな)
他にも探せば魔法を用いることで、魔石の節約を行える場面があるかもしれない。
全属性の魔法を扱えるというのは、戦闘以外にも何かと利点が多そうであった。
「ウチで扱っている魔石に関してはこの3種類だが、何か希望があれば他の雑貨店から取り寄せることも出来るぜ」
「えーっと。他にどんな魔石があるか教えて貰って良いですか?」
「ふむ。代表的なところで言えば、《呪の魔石》や《聖の魔石》になるかな。他にも通常の魔石より効果が強力な《高純度の魔石》なんかもあるぜ。もっとも……レアリティの高い魔石に関しては、競売で落札するくらいしか入手手段はないだろうがな」
「……なるほど。ちなみに競売って俺でも参加が出来るもんなんですか?」
「ああ。直接アイテムを落札するには、《商人ギルド》で資格を取らなきゃならないが、代理人を立てることで間接的に参加することが出来るぜ。何か欲しいアイテムがあるなら俺が代わりに落札しておいてやろうか?」
「本当ですか!?」
「ああ。本来なら落札価格に10パーセントの手数料を上乗せしているんだが……兄ちゃんは良い男だからな。特別に5パーセントに負けておいても良いぜ」
「ど、どうもありがとうございます」
思いがけないところで良い男割引が発生。
せっかく値引きをしてくれるというのに素直に喜ぶことが出来ないのは何故だろうか。
「えーっと。それじゃあ、身代わりの指輪をお願い出来ますか?」
身代わりの指輪@レア度 ☆☆☆☆
(死に至るようなダメージを一度だけ肩代わりしてくれる指輪。効果の発動後は指輪が破壊される)
アドルフの提案を受けて一番最初に思い浮かんだのがこのアイテムである。
以前にコボルトの生息する洞窟を探索した折。
偶然1個だけ手に入れたものであるのだが、戦闘時における保険という意味でパーティーの人数分を揃えておきたい装備であった。
「身代わりの指輪か。1個10万リアあれば落札出来ると思うが……どうするよ?」
「出来れば2つ。お願いします」
悠斗の手持ちには簒奪王の太刀で得た売却額がまだ40万リア残っている。
仮に2個落札したとして必要額は20万リア。
まだ後20万リアの資金が余る計算になる。
「それと種類は何でも良いのですが……頑丈で動きやすい靴装備があったら落札しておいて貰えませんか? 予算は20万リア以内で」
ここで悠斗がリクエストした理由は、風魔法により高速移動技術《飆脚》をマスターするために、頑丈な靴装備が必要だったからである。
《飆脚》をマスターすることが出来れば、今後の冒険が楽になるに違いない。
「……靴装備か。あいよ。了解」
「足のサイズとか……此処で測っておいた方がいいですか?」
「いいや。その必要はねえ。高価な防具にはサイズを自動で調節する魔法が掛けられているからな。よほどのことがない限り、使用者の体格は問題にはならねえんだよ」
「……なるほど」
アドルフの言葉を受けた悠斗は、以前に手に入れた装備の1つを思い出す。
エレメントアーマー@レア度 ☆☆☆☆☆
(魔法耐性に優れた特殊な鉱物を用いて製造された鎧。使用者の体型によりサイズが自動で調整される)
言われてみればシルフィアが装備している防具にも同じ機能が存在していた。
サイズが自動で調整されるということは、仲間内での使い回しが可能であることを意味している。
これまでは特に気に留めていなかったが、資金に余裕が生まれたら防具を揃えて行くのも良いかもしれない。
悠斗はそんなことを考えながらも――。
競売の代理の手続きを済ませると、冒険者ギルドに向かうのであった。
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