異世界支配のスキルテイカー ~ ゼロから始める奴隷ハーレム ~
2度目の再会
翌日。
悠斗は昨日と同じようにリシャールの花園にやってきた。
「う~ん。流石に1度に大量に討伐しすぎたのだろうかな? さっきからモンスターの気配が全くしないんだけど……」
かれこれ30分くらいは探索を続けただろうか。
少し移動する度にエンカウントした昨日とは打って変わり――。
目当てのモンスターが出現する気配を全く感じ取ることが出来なかった。
「妙ですね。モンスターの臭いが全くしなくなっています」
「そういえばこんな話を聞いたことがある。妖精種の魔物は常に何カ所か生活拠点を持っている、と。ドラゴンなどの天敵となるモンスターが住み始めると群れを作って別拠点に移住をするそうだ」
「待ってくれよ。このエリアには元々、妖精系しかいなかったんだぜ? その話は関係ないんじゃないか?」
「えーっと。つまり……シルフィアさんはこう言いたいのだと思います。妖精種たちはご主人さま1人を天敵と認定して、リシャールの花園から逃げ出してしまったのではないでしょうか?」
「…………」
結論から言うと、シルフィアの推測は当たっていた。
悠斗の存在を恐れた妖精種のモンスターは、『このままリシャールの花園に留まるのは危険』と判断して一夜にして大脱走を図ったのであった。
ちなみに妖精族のモンスターが1人の人間を天敵と見做して拠点を移すのは前代未聞のことであった。
「……まぁ、せっかく遠出して来たんだからもう少し探してみようか。もしかしたら偶然見つけられていないだけの可能性もあるし」
片道2時間のコストをかけているので手ぶらのまま帰るのも忍びない。
そう考えた悠斗は再び探索を開始するのであった。
~~~~~~~~~~~~
それから。
根気強く周囲を歩き回った悠斗たちであったが、やはり妖精種のモンスターを見つけることは叶わなかった。
何事も『やり過ぎ』は逆効果ということだろうか?
今回のことは悠斗にとって色々と教訓になる経験であった。
「テ、テメェは……! コノエ・ユート……!」
目当てのモンスターを見つけることは叶わなかったが、意外な男との再会を果たすことは出来た。
レジェンドブラッドの魔術師――ミカエルは悠斗の姿を見るなり怒気の籠った声を上げる。
「なんだよ。またお前か。というか昨日は聞きそびれちまったけどお前は何の目的があってこのエリアに来ているんだ?」
「ハッ! 誰がテメェなんぞに教えるか! 悪いが俺たちは極秘中の極秘任務を遂行している最中で……」
「ミーーーカーーーエーーールーーーー!」
「ぶごうっ!?」
ミカエルが迂闊に口を滑らせようとした直後のことである。
恐ろしく鋭い飛び蹴りがミカエルの背中を襲った。
「ゴバッ……。テメェ……この脳筋賢者! オレを殺す気かよ!?」
「当然、殺すつもりで蹴りました。死んだところで私が生き返らせるのですから問題ないでしょう?」
突如として悠斗たちの前に現れたのはレジェンドブラッドの賢者――ソフィアである。
例によってソフィアの打撃攻撃は凄まじい威力を秘めているようであった。
「大体テメェは何時もそうだよな? 何でもかんでも暴力で解決しようとする。女なんだから少しは慎みを持てっつーの!」
「……はい? 性別は関係ありませんよね?」
「関係大有りだよ! そんな短いスカートを履いてピョンピョン跳ねまわりやがって。コノエの野郎がエロい眼でお前のことを見ていたらどうするんだよ!?」
「ど、何処見ていやがるんですか!」
「ふごっ!?」
ソフィアの回し蹴りがミカエルの顔面にヒットする。
(こうして見ると2人とも悪い奴らではなさそうだなぁ……)
2人の会話を見ていた悠斗は思い切って踏み込んだ質問をぶつけてみることにした。
「その、機密って? もしかして2人は何か重要な仕事があってリシャールの花園に来ているのか?」
「「…………」」
悠斗が尋ねると、ミカエル&ソフィアは気まずそうに沈黙を貫いていた。
「俺に手伝えることって何かないかな? モンスター討伐目当てに来ただけど、この通り妖精たちが何処かに消えてしまったみたいで手持無沙汰になっているんだよな」
「……よろしいのですか? 我々に着いてくることになれば、少なからず貴方も危険に晒されるリスクがありますが」
「大丈夫ですよ。こう見えて俺は腕っぷしには多少自信がありますので」
せっかく遠出をしたのに何の収穫も無しに帰るわけにはいかない。
ここでレジェンドブラッドのメンバーに対して恩を売っておけば、後々になってそれが役に立つ可能性もあるだろう。
「ハァ!? テメェ……何を言っているんだ!? お前はレジェンドブラッドの敵だろうが!」
「ん? 何時から俺がお前の敵になったんだ?」
「……忘れたとは言わせねぇぞ? お前は俺が人類の敵! 暴食の魔王、ベルゼバブと戦った時は魔族側に付いていただろうが!」
「ああ。そんなこともあったか。ミカエル。お前は1つ勘違いしているぞ」
「なに……!?」
「人間とか、魔族とか、そんなことは俺にとってはどうだっていいんだよ。いつだって俺は可愛い女の子の味方なんだから」
ミカエルの疑問を受けた悠斗は、キリッとした凛々しい顔つきで答えるのであった。
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