異世界支配のスキルテイカー ~ ゼロから始める奴隷ハーレム ~
悠斗フィーバー
近衛悠斗はごくごく普通の高校生である。
唯一、普通の高校生と違う点を上げるのであれば彼が幼少の頃より《近衛流體術》という特殊な武芸を身に付けていたところであろう。
近衛流體術とは『世界各国に存在する全ての武術の長所』を取り入れることで、《最強》を目指すというコンセプトを掲げている異流武術である。
「ユウトさま! ユウトさまがきたぞー!」
「キャー! ユウトさまよー!」
「素敵! 今日も黒髪が美しいわ!」
そんな普通の高校生であるところの悠斗であったが、このところは何故かハリウッドのスターのような扱いを受けていた。
それというのも悠斗は、以前にエクスペインで行われた武術トーナメントで優勝してしまったからである。
更には《七つの大罪》と呼ばれる強力な魔族を打倒したものだから、エクスペインの街での悠斗の知名度は上昇の一途を辿っていた。
「あの……悠斗さん! よろしければ私と握手をしてくれませんか?」
「こっちはサイン! サインをお願いします!」
悠斗の前に駆けつけてきたのは、年頃の若い町娘たちである。
もともと異世界トライワイドでは悠斗のような黒髪黒目の少年は、美の象徴であるかのような扱いを受けていた。
彼女たちは強さと、美しさに惹かれ、すっかり悠斗の虜となっている。
悠斗の似顔絵の書かれたウチワを持って熱狂する街娘たちは、まるでアイドルの追っかけのようであった。
「アハハッ。参ったなぁ~。押さないで。押さないで。サインなら幾らでも書くから」
女の子たちに囲まれた悠斗は、至福のハーレム気分を味わっていた
3度の飯より女性が好きな悠斗にとって、現在の状況は当然、吝かではないものである。
異世界人という立場もあって、これまでは出来るだけ目立たないように行動していた悠斗であったが、流石に今後は難しそうであった。
「何故でしょう。この胸の奥から湧き上がるモヤモヤとした感情は……」
鼻の下を伸ばしている主人の様子を複雑な気持ちで見つめる少女の名前は、スピカ・ブルーネル。
頭から犬耳を生やしたスピカは、訳あって悠斗の奴隷として仕えていた。
「完全に天狗になっているな……。何か良からぬことが起こらなければ良いのだが……」
スピカに同調する少女の名前は、シルフィア・ルーゲンベルク。
金髪碧眼でスタイル抜群のシルフィアもまた、訳あって悠斗の奴隷として仕えていた。
「まったく……異世界は最高だぜ……!」
そんな仲間たちの想いを知らずに悠斗は、人生史上最高の『モテ期』を満喫するのであった。
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