異世界支配のスキルテイカー ~ ゼロから始める奴隷ハーレム ~
セクハラ殺し
それから。
無事にパーティーを結成した悠斗たち一向は、目的地であるラグール山脈(初級)を目指していた。
(チッ……。軟弱な男どもめ……!)
エクスペインの街からラグール山脈(初級)は徒歩で1時間ほどの距離の場所にあるのだが、ヒラリー&ポッチョの提案によって今回は馬車を利用することにした。
悠斗 ポッチョ
スピカ ヒラリー
運転手
馬 馬
ちなみに馬車の中は上記の通りの席位置となっていた。
「へぇ。スピカちゃんって冒険者になったばかりなんだ~」
「はい。分からないことばかりで迷惑をかけるかもしれませんが、本日はよろしくお願いします」
悠斗はというと、前の座にいるスピカ&ヒラリーの会話が気になって前のめりの姿勢になっていた。
「いいのいいの。何ならここの支払いもオレたちに任せてくれよ」
「えっ。いいんですか?」
悠斗から受け取っていた冒険者としての活動資金には限りがある。
ヒラリーの提案はスピカにとって願ってもないものであった。
「ああ。その代わりと言っちゃ難だけど……」
その時、後部座席に座る悠斗は男の掌がスピカの方に向かっていくのを見逃さなかった。
パシィンッ!
間一髪のタイミングで悠斗は、ヒラリーの手を払うことに成功する。
「いっ。手があああぁぁぁ! 手がぁぁぁ!」
とても少女の細腕から繰り出される攻撃とは思えない。
悠斗に払われたヒラリーの手は、大型の蜂に刺されたかのように腫れ上がっていた。
「自分の言動には気を付けた方がいいぜ。俺、スケベで品のない男って、この世で1番嫌いなんで」
悠斗はヒラリーを威圧するように睨みつけると、退屈そうに外の景色に視線を移す。
ラッセンが男性嫌いになるのも頷ける。
こんな環境で仕事をしていたら男を信用することなんて到底不可能だろう。
(おい。ポッチョ。なんなんだよ。あの男女は!?)
(……わ、分からねえよ。ただ、これだけは言える。コイツ、マジで怖ええよ!)
外見は美少女と呼んで差し支えないものでありながらも、悠斗の言動は完全に男のままである。
悠斗に凄まれたヒラリー&ポッチョは背筋に悪寒を走らせていた。
「あの、ユウコさん。助かりました」
遅れて手を握られそうになっていたことに気付いたスピカは、悠斗に対して律儀に頭を下げる。
「別に。礼を言われるようなことはしてねーよ」
「ですが……。助けて頂いたことは事実です。よろしければお礼を……」
「必要ない」
「はうっ」
悠斗は食い下がるスピカの頬にデコピンをする。
「いいか。スピカ。冒険者として生きていくためには強い女性にならないとダメなんだ」
「強い、女性……ですか」
「ああ。今のお前は1人で生きていくにはあまりにも人が良過ぎる。そんなこと言っているようじゃ、悪意を持った人間に利用されるだけだぞ」
「…………」
他人を疑うことを知らない清らかな心というのはスピカの魅力の1つではあるのだが、冒険者として自立した女性と目指すのであれば捨てて行かなればならない部分である。
少々厳しいかもしれないが、真にスピカの自立を応援するのでああれば、気付いたことはどんどんと言っていくべきだろう。
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