異世界支配のスキルテイカー ~ ゼロから始める奴隷ハーレム ~

柑橘ゆすら

VS ゴールドランク3



 クラウドの肩からは合計で4丁のレーザー砲台が飛び出しており、それぞれがモクモクと煙を上げていた。


(なんだ……!? こいつ……!?)


 男の姿を目の当たりにした悠斗は驚愕していた。

 何故ならば――。
 クラウドが使用した兵器は、地球でも、異世界トライワイドでもない。

 全く別の世界から持ち込まれたものであることが明らかだったからである。


 ウィーン、ガシャ。
 ウィーン、ガシャ。ウィーン、ガシャ。


 魔物を焼き払い役目を終えたレーザー砲台は、次々にクラウドの体に収納されていく。

 さながらそれはSF映画でも見ているかのような気分であった。


「お前、何者だ? その武器は……もともとこの世界にあったもんじゃないんだろう?」

「ほう……」


 悠斗が尋ねるとクラウドは感心したかのような声を漏らす。

 体が半分機械でできているからだろうか?
 その表情からは感情を読み取り辛く、声は冷たく無機質であった。


「少し驚いたヨ。まさかこんなところでオレと同じ異世界人に出会うとはナ」


 男の発言には謎が多いが1つハッキリとしたことがある。
 洞窟の奥にいたブレイクモンスター、ジャイアントウォームを殺したのはこの男なのだろう。

 無表情のままクラウドは悠斗の体をまじまじと眺めまわす。


「そうか。合点がいった。お前がアークの言っていたコノエ・ユートなのカ」

「アーク。アークだって……!?」


 クラウドの言葉は悠斗の精神を激しく揺さぶるものであった。


「教えてくれ! アークは一体どこにいる!? ブレイクモンスターっていうのは一体何なんだ!」


 クラウドは無言のまま悠斗に対して値踏みするかのような視線を向けていた。

 数々の強者と渡り合ってきた悠斗だから分かる。
 クラウドの持つ『強さ』は、今まで戦ってきたどんな相手とも違う異質なものだった。


「時が来ればいずれ分かる時が来るヨ。お前が女神アルテミスに選ばれた存在であればナ」


 そう言い残したクラウドの体は眩しい光に包まれていく。


「……消えた!?」


 最初は移動系の固有能力を使用したのかと思ったのだが、それにしては様子がおかしい。
 クラウドの保有している固有能力には、目の前から消える効果のスキルはどこにも見当たらなかったのである。

 不思議な出来事を経験した悠斗は狐につままれたかのような気分に陥っていた。


(ハハッ! 千載一遇のチャ~ンス!)


 一方、その頃。
 配下であるモンスターたちを失ったショックから立ち直ったエドワードは、《竜殺しの剣》を握りながらも悠斗の背後に立っていた。

 思いがけない邪魔者が現れたことが功をなした。
 エドワードは気配を悟られないよう忍び足で、悠斗の背後を取る。


(死ねえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!)


 手にした剣を振り下ろそうとしたその直後。
 どういうわけかエドワードの腹部に鈍い痛みが走った。

 破拳。

 人体の《内》と《外》を同時に破壊することをコンセプトに作ったこの技を悠斗は、そう呼ぶことにしていた。

 高速で拳を打ち出しながらも、インパクトの瞬間に腕全体に対してスクリューのように回転を加えるこの技は、悠斗にとっての《奥義》とも呼べる存在であった。

 標的の体内にその衝撃を拡散させるこの技は、生物の骨格・臓器・筋肉の全てを同時に破壊することを可能にしている。


(バカな……! オリハルコン製の鎧が……!?)


 悠斗の《破拳》をモロに受けたオリハルコンの鎧は、ビキビキと音を立てながらもひび割れていく。

 衝撃はやがてエドワードの肉体に到達――。
 強烈な回転エネルギーは、エドワードの体を吹き飛ばしていく。


「グワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!」


 洞窟の壁の中に体をめり込ませたエドワードは完全に伸び上がっていた。


「お前さ。高価な鎧に身を包んで誤魔化しているが、中身がからっぽだぜ」


 醜態を晒し続けるゴールドランク冒険者を前に、悠斗は呆れた表情を浮かべるのだった。



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