異世界支配のスキルテイカー ~ ゼロから始める奴隷ハーレム ~

柑橘ゆすら

夜の決着



 釣りバトルに勝利した悠斗&シルフィアは、昨日寝泊まりしたアパートにまで戻っていた。


「遅いな……。サクラのやつ……」


 カチカチと時計が針を刻んでいく音だけがアパートのロビーに鳴り響いている。
 一足先に簡易的な夕食を済ませた悠斗たち一向であったが、サクラは未だにアパートの中に戻ってくる様子がない。

 よほど勝負に負けたのがショックだったのだろうか?
 ロビーのソファに腰を下ろした2人は、サクラの帰りをジッと待っていた。


「そう言えば……。こうして主君と2人きりという状況は久しぶりだな」

「あ~。言われてみれば。そうだな」


 このところはサクラの妨害工作によって、シルフィアと2人きりというシチュエーションが激減していた。

 悠斗がシルフィアに夜這いをかけようとする度、先回りをしていたサクラに捕まることになっていたのである。


(ハッ……! もしかしてこの状況……千載一遇のチャンスなのでは!?)


 何気なく返事を口にした悠斗は、そこで重大な事実に気付いてしまう。
 サクラが行方をくらましているこの状況であれば、誰に邪魔されることもない。

 今なら気兼ねなくシルフィアとイチャイチャすることができるのではないだろうか?

 ゴクリと生唾を飲み込んだ悠斗は、改めてシルフィアの方に視線を移す。
 シルフィアの大きな胸とツヤツヤとした色っぽい唇は、悠斗の理性を悪戯に乱していく。


「シ、シルフィア!」


 自制の利かなくなった悠斗は、シルフィアの体を強引にソファの上に押し倒す。
 強引に上着を剥ぎ取ると、黒色の下着に包まれたプルプルとした胸が露になる。


「しゅ、主君……」


 そのまま体を弄ると瞬く間の内にシルフィアはトロンと呆けた表情を浮かべる。
 何時もと比べて感度が上がっているような気がするのは、単なる思い過ごしではないだろう。 

 暫く体を重ねておらず欲求不満に陥っていたのは、シルフィアも同じだったのである。

 ジトー。
 突如として背中に冷たい視線を覚えた悠斗は、嫌な予感を覚えながらも振り返る。

 そこにあったのは――なんだかデジャブを覚える光景であった。
 ロビーの柱の影に身を隠したサクラは、悠斗に対して殺気の籠った眼差しを浴びせていた。
 

「ああ。どうぞ。お気遣いなく。ワタシはつい先程、2人の関係に口出しをする権利を失効したばかりですから」

「「…………」」


 想定していた限りで最悪のタイミング。
 勝負に敗れて気落ちしていたサクラが家に戻ってきたのは、つい先程のことである。

 幸いなことに勝負で決めた約束を守る気はあるようだが、それでも依然としてサクラが悠斗に対して悪感情を抱いていることには変わりがない。

 サクラの視線を受けた悠斗は、なんとも言えない居心地の悪さを覚えていた。


(そうだ……! 良いことを思いついたかもしれないぞ……!)


 ピンチはチャンス、とはこういう状況のことを指すのだろう。
 予期せぬアクシデントを前にした悠斗の脳裏には、一発逆転のアイデアが浮かんでいた。


「なぁ。せっかくだから今日は場所を変えて3人でしてみないか?」


 その発想は異世界に召喚されてから、数々の女の子を手籠めにしてきた悠斗だからこそ思いつけたものであった。

 現代日本と比べて、男女の関係に対しての規制が緩いこの世界でも、同時に多くの女性と関係を持つということは、男性にとっては大きなリスクとなる。

 女性の嫉妬が恐ろしい、というのは、全ての世界に共通する問題であった。 
 にもかかわらず今日まで無事に過ごすことができていたのは、悠斗の根底に『平等に愛する』という精神が根付いてきたからに他ならない。


「はっ。はぁ……? 唐突に何を言い始めるんですか!?」


 この時、サクラは珍しく動揺していた。
 いかにサクラが性技を極めていたとは言っても、所詮それは1対1のプレイに限った話である。
 
 サクラの中では男女の関係とは1対1が常識であり、3人が同時にベッドの中に入ることなど考えられないことだったのである。


「おいおい。まさか勝負のルールを忘れていたわけじゃないだろうな?」

「…………ッ!」


 悠斗の言葉を受けたサクラはハッとした。
 勝負のことを持ち出されてしまっては、何も反論することができない。

 サクラが負けた場合、シルフィアとの関係に二度と口出しをしない上に、悠斗の命令を何でも1つ聞く、というのが今回の勝負の条件だったのである。


「……今日の結果を今ここで持ち出すというのですか?」

「もちろん。3人で仲良く、というのが、俺の願いだ」

「クッ……。本当に最低最悪の発情豚ですね。貴方は……」

 
 サクラにとって悠斗の提案を呑むのはこれ以上ないほどの屈辱だった。

 だがしかし。
 ルーゲンベルクの家で教育を受けたサクラにとって、自ら設定した勝負のルールを曲げるのは、それ以上に恥ずべきことだったのである。


「シルフィアもそれでいいよな?」

「……恐れ入ったぞ。主君の性欲は本当に底なしなのだな」


 苦笑するシルフィアであったが、実のところ、悠斗の持ち出した滅茶苦茶な提案は他でもないシルフィアが一番望んでいたものであった。

 この件をきっかけにしてサクラと悠斗の仲が改善してくれるのであれば、これ以上に嬉しいことはない。
 普段から多人数のプレイに慣れているシルフィアにとっては、サクラを交えて夜を過ごすことは何の抵抗もないものだったのである。


 ~~~~~~~~~~~~


 それから。
 別室に移って仕切り直した悠斗は、パンツ1枚の状態でベッドの上に腰かけて、2人の到着を待つことにした。


「しゅ、主君……? どうだろうか……?」


 先に扉を開けて、悠斗の前に現れたのはシルフィアであった。
 今日が3人で過ごす記念すべき最初の夜になるのだから、シチュエーションに関してはとことん拘りたい。
 そんな考えを抱いた悠斗は入浴によって体を清めて、女の子たちには魔法のバッグ(改)から取り出した、こだわりの特製ランジェリーを身に着けてさせることにした。


「ああ。凄く良く似合っているぞ。シルフィア」


 悠斗が指定したシルフィアの下着は白色のセクシーなランジェリーだった。
 白、という清楚なイメージのある色と、ドスケベなデザインのギャップが背徳的なエロスを醸し出している。

 もともとのスタイルが抜群に良いシルフィアは、どんな下着でも華麗に着こなしてしまう魅力があった。


「クッ……。このワタシが下種な男の好みに合わせた下着を身に着けるなど……。屈辱の極みです……!」


 遅れてやってきたサクラが身に着けていた下着が、シルフィアの身に着けている下着と同じデザインの色違いである。

 ドS属性のサクラにはスタイリッシュな黒色な下着がよく映える。
 それぞれ白と黒という対照的な色の下着を選択したのは、悠斗なりの拘りであった。


(メイドの女の子と主の女の子……。2人まとめて同時に頂くシチュエーションは男のロマンだよなぁ……)


 ハーレム願望の強い悠斗にとっては、相手をしてくれる女の子が増えれば増えるほど良い。
 
 2人の極上の美少女に囲まれた悠斗は、一晩中、天国にいるかのような気分を味わうのだった。

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