異世界支配のスキルテイカー ~ ゼロから始める奴隷ハーレム ~

柑橘ゆすら

壁尻



 建物の隙間から吹き抜けてくる潮風の感触が心地よい。
 一方の悠斗の方はというと、シルフィアと一緒にナルビアの街を歩いていた。


「なぁ。本当に良いのか? サクラの言いつけを無視したりして……」

「……大丈夫。私には秘策があるんだ。この方法を使えば、きっと先生を説得できるに違いない」


 これから戦争が起きるかもしれないという状況下で、大人しくしていられるほどシルフィアは冷静ではなかった。

 一度これと決めたことに関しては頑固な一面のあるシルフィアは、サクラの言いつけを無視して家を飛び出てきたのである。


(まぁ、いざとなれば俺が止めに入れば大丈夫かな……)


 悠斗にとってシルフィアの行動は想定の範囲内。
 元をただせば遥々ルーメルの国までやってきたのは、シルフィアを1人で危険な目に合わせないためだったのである。


「着いたぞ。主君。おそらく先生は今、この屋敷の中にいるに違いない」


 シルフィアに連れられて到着したのは、ナルビアの街の住宅街に建てられた民家であった。

 三階建ての立派な家である。
 住宅街の角に作られたその家は、周りの家と比べると広々とした立派な作りとなっていた。


「どうしてそんなことが分かるんだ?」

「ふふふ。分かるさ。この家は先生の両親が住んでいた家だからな。長旅の後は実家に帰りたくなるのが人情というものだろう」


 その辺りの事情は人それぞれなのではないだろうか。
 シルフィアの穴だらけの推理を聞いた悠斗は、ツッコミを入れたい気持ちをグッと堪えて居た。


(ん。あれは……?)


 けれども、結果的にシルフィアの推理があながち間違ってもいなそうなことに気付く。
 その時、悠斗の視界に入ったのは屋敷の門の前に立っている武装した男たちの姿であった。
 
 その数は6人。
 門番が立っていること自体は不自然ではないのだが、過疎化が進んでゴーストタウンとなっている住宅街の中では、過剰な警備にしか見えなかった。


「どうするんだ? 見張りが立っているみたいだけど?」


 悠斗1人であれば屋敷に潜入する方法は幾らでもあるのだが、シルフィアを連れて中に入るとなるとリスクは跳ね上がる。

 悠斗の保有する固有スキルは、単独で効果を発揮する種類のものが多く、仲間に対して有効なものが少ないのである。


「ふふふ。安心してくれ。私には秘策があると言っただろう」


 得意顔のシルフィアは、悠斗を屋敷の裏側に案内する。


「これは……!?」


 シルフィアの口にした『秘策』が何なのかは直ぐに分かった。
 どういうわけか屋敷を囲んだ塀の中には、人間1人くらいならば十分に通れそうなサイズの穴が開いていたのである。


「驚いただろう。小さい頃はよくこの穴を通って、先生の家に遊びに出かけていたのだ」


 この穴を使えば門番たちに気付かれることなく、屋敷の中に入っていくことができるだろう。

リズベルと1対1の話し合いのチャンスを獲得することができれば、戦争を止める方向性で話をまとめることができるに違いない。

 この時、シルフィアは頭の中でそんな展開を期待していたのである。


「あ……。あ……れ……!?」


 だがしかし。
 シルフィアが壁の穴を通り抜けようとした時に悲劇は起こった。


「な、なんなのだ! こ、これは……!?」


 想定外のアクシデントに気付いたシルフィアは狼狽していた。
 
 どんなに力を入れても、これ以上は先に進んで行くことができない。
 それどころか戻ろうとしても、自分の体をピクリとも動かすことできなかったのである。


「し、しまったあああぁぁぁ――!?」


 自ら置かれた間抜けた状況を認識したシルフィアは、顔から火が噴き出しそうな羞恥心に悶えていた。

 シルフィアにとっての誤算だったのが、子供の時と比べて、体の色々な部分が成長していたということである。

 幼女時代の平な胸ならばスムーズに通り抜けることができたかもしれないが、大人になった今はそういうわけにもいなかった。

 推定Jカップを誇る圧倒的な巨乳が、シルフィアを縛る枷となっていたのである。


「クッ……。よりにもよって主君の前で……。な、なんという醜態だ……!?」


 どうしよもない無力感に襲われたシルフィアは、悔しさのあまり強く唇を噛み締める。

 身動きを封じられたシルフィアにできることはというと、無様にもジタバタと手足を動かすことだけであった。


(こ、これは……! なんという背徳的なシチュエーションなんだ……!?)


 一方、その頃。
 落ち込んでいるシルフィアとは対照的に、悠斗はテンションを上げていた。

 ただただ、無抵抗な尻が目の前にあった。
 
 手足をバタバタと動かした結果――。
シルフィアのスカートは見事なまでに捲れ上がり、肉付きの良い丸々とした尻を露にしている。

 白色のレースの下着によって包装されている桃尻は、まるで見ている人間に向けて『食べて下さい』と訴えているようであった。


(ちょっとくらいなら……。触ってもバレないよな……)


 魔が差した悠斗はシルフィアの尻にそっと手を触れる。


「ひうんっ……!」


 突如として敏感な部分を触れられたシルフィアは、ピクンと体を跳ね上げる。


「しゅ、主君……。も、もしかして、私の体に悪戯をしていないだろうか?」

「いや。別に?」

「そうか……。疑ってしまい申し訳ない。このような非常事態で主を疑うとは……騎士として失格だな」


 どんなに触ったところでシルフィアの側からは、悠斗の悪戯を確認することはできない。
 無抵抗な女の子の尻を好きなだけ触り放題なところが、このシチュエーションの最大の魅力だったのである。


(さてと……。十分に楽しんだし、そろそろ助けてやることにするか)


 本音を言うと後1時間くらいはシルフィアの無抵抗な尻に悪戯をしたいところではあるのだが、状況が状況だけに悠長なことを言っていられる余裕はない。

 鬼畜なようでいて、大事なタイミングでは女の子の気持ちを考えられるところが悠斗の美点だったのである。



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