異世界支配のスキルテイカー ~ ゼロから始める奴隷ハーレム ~
砦の攻防(北門編)
時刻は悠斗が地下聖堂の戦いが終わる2時間ほどまでに遡ることになる。
ここはロードランドの国境の境に建てられた砦の1つである。
様々な国に挟まれた内陸に位置するロードランドでは『東西南北』の4つの砦を建築することにより、自国の防衛力を強化していた。
今現在。
ロードランドの北砦の前に集まってきているのは、グレゴリー・スキャナーが率いる2万人の洗脳兵である。
グレゴリーは自身のスキルを用いて兵士たちを送り込み、王都エクスペインの地下に作られた《邪神対策本部》を占拠しようと考えたのであった。
「まったく……。実に面倒なことになったヨ……」
今まさに北砦に攻め入ろうとする洗脳兵たちの前に立っていた男の名前は、クラウド・J・ファースト。
半人半機の体を持ったサングラスをかけた男である。
組織がクラウドに与えた数値はナンバー【04】。
数値が低くなるにつれて権力が増すとされる《ナンバーズ》の中にあって、後発メンバーでありながらトップ5の地位についたクラウドは異例の存在であった。
「人間を狩るのは久しぶりだナ……。あまり気乗りはしないガ……」
いかにロードランドが大国とは言っても、グレゴリーの率いる10万人の洗脳兵を迎え撃つのは難しい。
そう判断を下したアークはナンバーズのメンバーを東西南北4つの砦に集結させて、事態の収拾を図ったのである。
機械仕掛けの魔導兵器@レア度 詳細不明
(自由に兵器を作り出すスキル)
クラウドの保有する固有能力《機械仕掛けの魔導兵器》は、スキルホルダーのイメージに応じて古今東西の様々な兵器を作り出すことを可能にするスキルである。
悠斗たちが住んでいる地球とは異なる世界線に存在する、遥か未来から異世界トライワイドに召喚されたクラウドは、SF映画さながらの超兵器を自在に扱いこなすことができるのである。
「悪く思うなヨ……! これも貴様たちの運命ダ……!」
サングラスの奥の鋭い眼光を光らせたその直後。
クラウドの肩からは合計で4丁のレーザー砲台が飛び出して、目の前に立ちはだかる洗脳兵たちを次々に焼き払っていく。
クラウド・J・ファーストは無類の戦闘好きではあるが、無益な殺生は好まない。
あくまでクラウドが欲するのは、血沸き踊るような好敵手との勝負であり、罪のない人間たちを殺めることは本意ではなかったのである。
もしかしたら、そんなクラウドの良心の呵責が油断を生んだのかもしれない。
(しまっ……。上からカッ……!?)
その時、クラウドは遥か上空から強襲する鳥人族の兵士たちの存在に気付くことになる。
今から迎撃を始めても間に合うかどうか分からない。
レーザー砲は規格外の威力を有する反面、作動している間は暫く身動きが取れなくなるという欠点が存在していたのである。
巨大な蹄を持った鳥人族の戦士がクラウドの首を狩ろうとした直後であった。
ヒュオンッ、と。
超スピードで飛翔する小型の生物が鳥人族の戦士たちの体を横切った。
マッハを超える速度で移動するその生物は、周囲にソニックブームを巻き起こす。
「「「クケッェェェ!」」」
それは時間にするとコンマ1秒を切るほどの一瞬の出来事であった。
突如として発生した風の刃は、鳥人族の戦士たちの体をズタズタに引き裂いていく。
「ふんっ。また貴様に助けられたナ……。ナンバー【05】、キングビートル」
「…………」
孤軍奮闘するクラウドの援軍として駆け付けたのは、体長20センチほどのカブトムシの形をした男だった。
男の名前はキングビートル。
それぞれが物語の主人公級の力を持っているとされるナンバーズにおいて、【05】の地位に就く傑物だった。
別世界の住人を異世界に呼び寄せる《転生の魔石》は、《召喚の魔石》とは異なり、人間の魂のみを呼び寄せることを可能にしている。
呼び寄せた魂が居着く器は人間のものだけとは限らない。
中にはキングビートルのように《人外転生》を成し遂げる人間もいた。
ナンバーズの中にキングビートルの能力を知るものは誰もいない。
何故ならば、ナンバーズの中でも取り分けて寡黙な性格のキングビートルは、あまり自分の過去を語ろうとしないからである。
「地上の敵はオレがやるヨ。空からの敵は貴様に任せタ」
「…………」
クラウドからの指示に応えたキングビートルは、体から伸びた2枚の羽を動かして、次々と鳥人族の戦士たちを蹴散らしていく。
結局、ロードランド国境、北砦はナンバーズ屈指の武闘派と呼ばれる2人の活躍によって最後まで落とされることはなかった。
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コメント
アニメ好き
なろうで初投稿の時から読んでました!
次回更新をまだかまだかと待っていたのが懐かしいですね!