異世界モンスターブリーダー ~ チートはあるけど、のんびり育成しています ~
刀鍛冶の少女
防具を買った後は、武器を揃える番である。
俺はエドガーさんに教えてもらった中でも最も近場の店を訪れることにした。
「ちょっと。ソータ。あの店は止めておきましょうよ」
「……私も別の店を探した方が良いと思います」
雑貨店から一番近い距離にあったその店は女性メンバーが拒絶反応を起こす外観をしていた。
総合武具店 【紅の双刃】
ボロボロの看板に書かれた文字は、至るところが翳んでおり、かろうじて読み取ることができるかというレベルであった。
「仕方がない。別の店を探そうか。そもそもシャッターが下りているんじゃ中に入ることも出来ないしな」
諦めて踵を返そうとしたタイミングであった。
シエル・オーテルロッド
種族 ノーム
性別 女
年齢 13
「んっ~。久しぶりに見るお天道さまは眩しいッス」
ガラガラと音を立てながらも店のシャッターは開かれる。
店の中から現れたのは、身長150センチにも満たない小柄な体躯の少女であった。
ノームっていうとRPGでいうところの土属性の精霊だよな?
エルフのように尖った耳を持っているのは、ノームという種族の特徴なのだろうか?
ススと油にまみれてはいるが、よくよく目を凝らすと愛くるしい顔立ちをしていることが分かる。
アフロディーテやキャロナイナと違ったタイプの美少女であった。
「あ。どもども。お客さんッスか?」
その少女は俺の姿に気付くなり友好的な笑顔を浮かべる。
「もしかしてキミが……この店を切り盛りしているのか?」
「その通りッス。本日はどのような武器をお探しで? 立て込んでいた仕事が終わったところですしサービスしていきますよー」
シエルと名乗る少女は俺の後ろにいるアフロディーテとキャロライナの方に視線をやると、クワッと眼を見開く。
「ちょっと! 冒険者さん! そこにいる女の人たちは冒険者さんのお連れッスか!?」
「ああ。まあ、そういうことになるのかな」
「いや~。ビックリしました。自分、こんなに綺麗な人たちは初めて見ました。とんでもない美人さんッスね!?」
シエルはアフロディーテ&キャロライナの姿を見て半ばオーバーとも言えるリアクションを取る。
「よし決めた。ソータ。今日はこの店で武器を買うわよ!」
「え? でもお前さっき別の店を探そうって言ってなかったか?」
「そんな昔のことは忘れたわ! 初対面で最初にアタシの美しさ驚くなんて……なかなか見所のある子じゃない。きっと鍛冶屋としての腕も確かなものに違いないわ!」
「…………」
いや、その二つは別に関係ないだろう。
まったく……少し褒められたくらいで掌を返しやがって……。
褒められて気分を良くしたのかアフロディーテは、俺の腕を取って店の中に入って行くのであった。
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