異世界モンスターブリーダー ~ チートはあるけど、のんびり育成しています ~
適性武器を探してみよう
シエルの切り盛りする武器屋は外装こそボロかったが中に入ると意外なことに整然としていた。
剣、槍、斧、弓、果てはヌンチャクに至るまで――。
流石に専門店ということもあって取り扱っている武器の種類は、雑貨店とは比較にならないくらいに豊富であった。
さてさて。
一体何を選べば良いのやら。
こうも選択肢が多いと逆に判断に困るな……。
「ええと。もしかすると冒険者さんは、あまり武器を使い慣れていない感じなんスかね? 初心者さんにオススメできるのはこの辺りッス」
店の品をキョロキョロと眺める俺に気を利かせてくれたのだろう。
シエルは店の中でも比較的リーズナブルな武器が置かれているエリアを指さしてくれた。
「えーっと。実を言うと武器を使うのは俺じゃなくてだな……」
「? それはどういうことッスか?」
こういうのは口で説明をするより実際に見せた方がいいだろう。
俺はカプセルボールの中からゴブリンナイトを召喚して見せた。
「こいつに見合った武器を教えて欲しいんだ」
ゴブリンナイトの姿を見たシエルは難しい顔をして頬を掻く。
「うーむ。なるほど冒険者さんは魔物使いだったんスね。しかし、困りました。生憎と自分は魔物に武器を選んだ経験はないんスよ」
「……そうなのか。俺の他に魔物使いの客っていうのは来ないのか?」
「いやー。来るには来るんスけど、魔物用に武器を買われる人は稀ッスね。そもそも武器を使うことの出来る魔物自体、数が限られていますから」
「そうだったのか」
たしかに過去に俺が出会った中でも武器を装備できる魔物は、ゴブリンナイトだけである。
セイントベルの街で労働力として働いているゴブリンは以前に見かけたことがあるのだが、その進化系であるゴブリンエリートは何処にもいなかった。
魔物配合のスキルを持っていない限り、武器を扱うことが出来るゴブリンナイトのような強力な魔物を使役するのは難しいことなのかもしれない。
「とりあえず一通りの種類を試してみたいから、安く買うことのできる武器を並べてみてくれないか?」
「了解ッス! そういうことなら色々と持ってきますね!」
それから5分後。
ブロンズソード 等級F 価格6000コル
(駆け出しの冒険者が好んで使用する銅の剣)
ブロンズランス 等級F 価格6000コル
(駆け出しの冒険者が好んで使用する銅の槍)
ブロンズメイス 等級F 価格5000コル
(駆け出しの冒険者が好んで使用する銅の戦棍)
ラウンドシールド 等級F 価格3000コル
(軽くて使いやすい木製の盾)
シエルは店の中から適当な武器を見繕って俺の前に並べてくれた。
どうやら等級Fランクのブロンズシリーズが1番安く買うことの出来る武器らしい。
ものは試しにゴブリンナイトに装備させてみる。
「おおぉ……」
右手にブロンズソード、左手にラウンドシールドを手にしたゴブリンナイトは、『ナイト』という名前に相応しい風貌になっていた。
装備前とは威圧感が違う!
手持ちのゴブリンナイト全員に装備を揃えれば、強力無比な騎士部隊を結成することが出来るに違いない。
「ちなみに武器のメンテナンスは無償でやっていますよ! 切れ味が落ちてきたらウチの店に持ってきてください。サービスするッスよ!」
値段も手頃に感じるし、この店に決めてしまっても構わないだろう。
そう判断した俺は、ブロンズシリーズの武器をそれぞれ1つ&ラウンドシールドを3つ購入することにした。
まずはゴブリンナイトと相性の良い装備を探すことから始めてみよう。
明日からの遠征が楽しみである。
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