異世界モンスターブリーダー ~ チートはあるけど、のんびり育成しています ~
宝の守護者
壁の中にあった隠し階段を発見した俺はゴーレムをボールの中に戻すとさっそく地下に向かって降りて行った。
「ご主人さま。足元をお気を付けください」
「ああ。ありがとう」
先頭を歩くのは俺たちパーティーの中でも最も身体能力が高いキャロライナである。
おそらく100年……あるいはそれ以上、昔に作られた階段なのだろうな。
岩で作られた階段はボロボロで、今にも崩れそうな感じだった。
「この階段……どこまで続くんだろうか」
「鉱石の匂いはどんどん近くなっています。きっと直ぐです」
俺の後ろを歩くシエルはクンクンと鼻を鳴らしながらも答える。
それから暫く歩くと、シエルの言う通り開けた空間に到着した。
銀鉱石@ 等級D
(多量の銀を含んだ鉱石)
金鉱石@ 等級C
(多量の金を含んだ石)
白金鉱石@ 等級B
(多量の白金を含んだ石)
「おおぉぉー!」
その直後、俺たちの視界に飛び込んできたのは箱の上に山積みにされた貴重な鉱石の数々であった!
「間違いありません。本物の白金鉱石ッス!」
ペロリと鉱石に舌を這わせたシエルは興奮した口調で告げる。
「凄いです! この部屋にある鉱石は全て本物なら少なく見積もっても4億コルは下らないッスよ!」
「4億コル!?」
ちょっと待て!
アーテルハイドにおける4億コルは日本円に換算すると……4億4000万円くらいの価値になるってことか!?
なんということだろう。
あまりに現実味がなさ過ぎてどうリアクションしたら良いのか分からない。
「ギャァァァアアア! な、何よこれ――ッ!?」
突如として部屋の中にアフロディーテの悲鳴が響き渡る。
アフロディーテの足元には謎の白い物体が散乱していた。
これは……人間の骨だろうか?
古くなって形が崩れてはいるが、頭蓋骨の部分なんかはハッキリと残っている。
「どうやらこの部屋は数百年前に鉱員が宝物庫として使用していたようですね」
「……どうしてそんなことが分かるんだ?」
「僭越ながらもお答えします。今でこそ冒険者たちに開放されていますが……アーレス鉱山はかつて国が管理していました。
故に本来であれば採掘された鉱石は全て国庫に収まるのですが……鉱員の1人が採掘された鉱石を部屋に隠して着服していたのでしょう」
「なるほど」
たしかに地面に転がっている骨は所々に不自然な砕け方をしていた。
もしかしたら骨の人は、部屋の存在を知っている唯一の人間だったのかもしれないな。
もしも鉱石を隠そうとしている最中にモンスターに襲われたのだとしたら……?
長期に渡りこの部屋は放置されていたのも頷ける。
「よし。さっそく鉱石を回収しておくか」
まあ、何時までも過ぎたことをあまり気にしても仕方がない。
大事なのは俺たちが一攫千金のチャンスに遭遇しているという事実だからな!
俺がボールの中に白金鉱石を入れようとした直後であった。
突如として視界が揺れる。
「な、なんだ!?」
ズゴゴゴゴ! という音と共に地面は大きく二つに割れて中から巨大な岩が突き上がる。
……いや、違うな。
俺の目の前にあるこれは断じて普通の岩ではない。
アイアンゴーレム 等級C LV20/20
生命力 125
筋力値 288
魔力値 15
精神力 10
地面の中から現れたのは体長10メートルを超える鋼鉄の巨人……アイアンゴーレムであった。
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