異世界モンスターブリーダー ~ チートはあるけど、のんびり育成しています ~

柑橘ゆすら

VS レイス



 無事にヒトダマを捕まえることに成功した俺は、レイスを探すために墓地の奥に歩みを進めていた。

 途中で出会ったヒトダマは、合成素材となることを期待して捕獲を続けている。


「ククク。貴様たちかのう……? 妾の眷属を倒しているというのは……?」


 んん?
 ちょっと待て。

 今女の子の声がしなかったか!?

 慌てて周囲を見渡してみる。

 おかしいな。 
 たしかに聞こえたと思ったのだが、周りには規則的に墓石が並んでいるばかりで特に不審な様子はない。


「……どこを見ているのだ? 妾はここだ! ユウコはここいるのじゃ」


 今度は先程よりもハッキリと声を聞き取ることが出来た。

 声のした方角に向けて、すぐさま視線を上げてみる。

 ぬおっ!
 飛んでるよ!? 

 女の子が宙に浮かんでいるだと……!?


 レイス 等級S LV32

 生命力 488
 筋力値 325
 魔力値 1011 
 精神力 258

 スキル
 火魔法(中級) 闇魔法(上級)


 えええええぇぇぇぇ!?

 なんだよこれ!
 鑑定眼のスキルがバグっているのか!?

 いくら何でもおかしいだろステータスが! 

 これはまずい!
 ギルドからの報酬が規格外に高いのも頷ける。

 どうやら俺たちの探していたレイスという魔族は、とんでもなく強力な戦闘能力を持っているらしい。


「くらえっ! 先手必勝!」


 だがしかし。
 相手のステータスに臆していても仕方がない。

 たとえ相手が神族だろうとボールを当てさえすれば一撃で勝負を決めることが出来るのが俺に与えられた能力である。


「ん……何じゃ? その攻撃は?」


 俺がボールを投げた次の瞬間。
 全く予想していなかったことが起きた。

 通り抜けただとぉ!?
 も、もしかしてこいつ……実体がないのか!?

 実体がなければ接触判定を得ることができない。
 つまりはカプセルボールを当てることができない。

 お、終わった。
 こうなってしまっては俺にはどうすることもできない。 

 どうやら俺にとってレイスという魔族は過去最悪の相手だったようである。


「さてさて。次はこちらが攻撃する番かのう……」


 遙か上から俺のことを見下ろすレイスは……よくよく見ると幼いながらも凄く可愛らしい顔立ちをしていた。

 彼女のクルクルの縦ロールの髪の毛からは魔族としての気品が漂ってくるようでもある。

 こんな状況でなければゆっくりとお話しをしたかったのに!


「えーっと。落ち着こう! 話し合えば……俺たちきっと分かり合えるって!」

「悪いな。冒険者よ。妾は感情などという非合理なものはとうの昔に捨てのう……。貴様の命乞いに応えてやることは出来ぬのじゃよ」


 うぐっ!
 このレイス……人のことをゴミでも見るかのように見下しやがって!


「さらばじゃ。冒険者よ。地獄の底で亡者となって彷徨い歩くがよい!」


 レイスが宣言した次の瞬間。
 俺の視界を一面の炎が覆った。

 どうやら魔力値1000オーバーの攻撃の威力は、シャレにならないものであったらしい。

 あ。ヤバい。
 流石にこれは死んだな……。

 レイスとは言っても美少女が殺してくれるなら本望だろう。

 生に対する執着を捨てた俺が目を閉じた直後であった。

 1人の少女が差し迫る炎の前に走り出す。


「ご主人さま。おさがり下さい」

 
 吸血鬼 等級S LV173

 生命力 1732
 筋力値 1240
 魔力値 1520 
 精神力 1428


 スキル
 火属性魔法(上級) 風属性魔法(上級) 水属性魔法(上級) 闇属性魔法(上級) 光属性魔法(中級)


 そこにいたのは人間の姿を捨て――吸血鬼となったキャロライナの姿であった。



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コメント

  • ノベルバユーザー89126

    ステータス的にみても魔族が神族に勝てるとは思えない件

    1
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