異世界モンスターブリーダー ~ チートはあるけど、のんびり育成しています ~
アフロディーテの日常
ここまでのハイライト――。
精神操作のスキルを結果、俺はカプセルボールの中のマッドマッシュの精神を乗っ取ることになった。
ほえ~。
ボールの中ってこういう風になっていたんだな。
俺の眼前にはどこまでも広がる草原が続いていた。
なんだろう……この感覚……。
妙に落ち着くというか癒されるというか……。
初めて入ったけど、このボールの中になら、何千時間でも過ごせるような気がする。
よしっ。
せっかくなのでボールの中でのアフロディーテ、キャロライナ、シエルの様子をそれぞれ見て回ることにしようか。
あいつらが普段ボールの中で何をしているのか……以前から気になっていたんだよな。
「むにゃむにゃ……。ソータ……ご飯まだー?」
まずはアフロディーテ。
こいつの場合は、ボールの中にいようと外にいようとやっていることは変わらないらしい。
フワフワとした毛皮を持ったモンスター……ケダマロの腹の上で呑気に寝言を口にしていた。
ただ1点。
普段と違う点を挙げるのであれば、ボールの中ということもありアフロディーテの格好は何時にも増して無防備であった。
寝間着の隙間からはハチ切れんばかりの2つの胸がチラチラと覗いていた。
……。
…………。
あれ? もしかしてこの状況は千載一遇のチャンスなのでは?
それもそのはず。
現在、俺の精神はマッドマッシュの肉体の中にいる。
この状態ならアフロディーテに下心を見透かされることはないし、バレたところでその罪は全てマッドマッシュに被せることができる。
つまりは……完全犯罪の成立である。
ノーリスクでアフロディーテの胸を堪能できるかもしれないなんてラッキーだぜ!
そうと決まれば善は急げである!
「ワッフゥッ!」
だがしかし。
そこで予想外のことが起こった。
俺が特大のジャンプを決めて、アフロディーテの体に飛びつこうとした瞬間。
突如としてケダマロがその巨体で俺の体を弾き飛ばしたのである。
「ノコォォォォッ!?」
ボールの中にいることが幸いしたのかダメージは大したことがなかったが、マッドマッシュの軽い体は10メートル近く吹き飛んでしまうことになる。
ハハ……。
こいつは驚いた。
もしかしてケダマロの奴……俺が下心を持って近づいていくのを見透かしていたのか?
俺のことを弾き飛ばしてからもケダマロは警戒心を剥き出しにした様子であった。
おのれアフロディーテめ!
またしても……またしても……我が覇業を阻もうというのか!
ふふふ。
今回は部下のファンプレーに感謝するんだな。
次こそは必ずや……たわわに実った2つの果実を我が物にして見せようぞ!
意外な伏兵の存在によりミッションの達成が困難と判断した俺は、負け惜しみを吐きながらも次なる人物の様子を見に行くのであった。
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