異世界モンスターブリーダー ~ チートはあるけど、のんびり育成しています ~

柑橘ゆすら

6人目の仲間



「キャロ。大丈夫か……?」

「ご主人さま……。クロウは……? クロウは何処にいるのですか……!?」


 戦いが終わった後――。
 最初に俺はクロウの魔法によってダメージを受けたキャロライナの元に駆けつけることにした。


「大丈夫。クロウなら俺が追い払ったから」

「そ、それは真のことですか!? あ、あのクロウを……ご主人さまが打ち倒したということですか!?」

「ああ。辛い戦いだったけどな。だから安心してボールの中で休んでいてくれよ」

「ご主人さまっ……!」


 緊張の糸が切れたのだろうな。

 キャロライナは目に涙を浮かべながらも俺の胸の中に顔を埋めていた。

 ど、どうしよう。
 キャロライナの頭の中では、激闘の末に俺がクロウを打ち破るという感動のクライマックスシーンが思い浮かんでいるんだろうな。

 本当は色仕掛けで追い払っただけとは、口が裂けても言えない雰囲気である。


「ソータさま。この度はわたくしのために戦って頂き、本当にありがとうございました。ソータさまには何とお礼を申し上げて良いのやら……」

「レミスさん……」


 前向きな言葉を口にしているが、レミスさんが悲しんでいることは直ぐに分かった。


「ごめんなさい。俺が駆けつけた時にはもう……」

「いえいえ。ソータさまの責任ではありませんよ。この結果は一重に……わたくしの選択がいけなかったのですわ。
 わたくしは愚か者です。キャロライナの忠告を素直に受け入れていればこんなことには……」

「レミスさんはこれからどうするんですか?」

「……眷属たちを失ってしまった今とっては人魚城に留まる理由もありません。暫くは世界各地を旅して、新たなる住処を探そうと考えていますわ」

「…………」


 このパターンはアレだよな?
 どう考えても何時ものやつだよな?


「レミスさん。よければ少しの間、後ろを向いていてくれませんか?」

「こう……ですの?」

「うん。良い感じです! それー!!」


 カプセルボールは突如として眩いばかりに発光して、レミスさんの体を吸い込んでい行く。

 結果。
 何時の間にやらレミスさんの体は、すっかりと小さなカプセルボールの中に入ることになった。


「あら。あらあらあら? ここは何処なのでしょうか?」


 流石はレミスさん!
 これまで捕まえてきた人たちは『出してくれ!?』と叫んでいたのだが、レミスさんは落ち着いた様子である。

 さてさて。
 何はともあれ、この台詞だけは言うことができるだろう。

 人魚姫……GETだぜ! 


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