異世界モンスターブリーダー ~ チートはあるけど、のんびり育成しています ~
魔王城で働いてみよう
魔王軍の面接に合格してから翌日のこと。
新しい環境に身を置かれた俺の慌ただしい日々はスタートした。
「ロストちゃん。今日も可愛いね~」
「ロストちゃん。こっちのテーブルにも料理を頼むよ!」
食堂の中で食欲と性欲が有り余っている男たちに料理を運ぶ。
新生魔王軍の中で俺に与えられた仕事は『メイド見習い』である。
男に媚びたかのようなデザインの制服は魔王の趣味なのだろうか?
フリフリのメイド服を身に纏った俺の姿は控え目に言って最高にエロ可愛いものがあった。
「はぁ。この戦いが終わったらオレ、ロストちゃんに告白しようかなぁ……」
「おい! 抜け駆けはなしだぜ! ロストちゃんのムチムチボディは俺様のもんだ!」
男たちからの熱視線を浴びながらも華麗に仕事をこなしていく。
うんうん。
今日も俺、大人気!
本来であらば効果時間に限りがある変身のスキルだが、そこはレミスさんに特別に調合してもらった人魚族に伝わる魔力回復薬によってカバーすることに成功した。
当然のことながら新生魔王軍のメンバーは俺の正体が、『変身』のスキルを使用した魔物使いだということは知らない。
「コラッ! ロスト! 何時も言っておるじゃろ! 洗った後の皿はキチンと水気を取っておくように!」
「はい! メイド長!」
新生魔王軍の制服を身に纏いながらも俺を叱るのは、同時期に面接を受けたユウコである。
ちなみに元魔王軍所属という肩書きが評価されてか、ユウコの役職は『メイド長』であった。
旧魔王軍では『メイド見習い』の地位についていたユウコが『メイド長』の役職に就いているあたり、新生魔王軍の人材難が推し量れる。
「ロスト君。新生魔王軍の中でのキミの評判は聞いているよ。やはりキミを雇った私の判断は正しかったようだ
「ヴィシャスさん!? はい! おかげさまで良い職場に巡り合えました」
テーブルでオーダーを取っていると面接官のエロオヤジに遭遇する。
後で知ったんだけど、このエロオヤジは新生魔王軍の人事権を一手に掌握している、それなりに偉い魔族らしい。
「と、ところでどうかね。制圧した街の中で上質なワインを手に入れたのだが……。今夜辺り私の部屋で飲まないか?」
鼻の下を伸ばしたエロオヤジの手が俺の尻に触れる。
「……ごめんなさい。私、忙しいので。後にして頂けませんか」
ケッ! 油断も隙もありはしない。
もしもエロオヤジが体の関係を迫ってきたら、新生魔王軍の人事に私情を挟んだことをネタに脅してやろう。
今となってはこちらも新生魔王軍の人気者なわけだし、このエロオヤジだって簡単にクビには出来ないはずだろう。
~~~~~~~~~~~~
さて。
肝心のキャロライナの奪還作戦なのだが、こちらについても仕事中に人目を盗んで進めている。
前提条件としてカプセルボールの中にキャロライナを戻すには、対象となるモンスターとの距離を半径5メートル程度にまで縮める必要があった。
コンタクト 等級D パッシブ
(使役した魔物との思念会話を可能とするスキル。有効範囲は使用者から半径50メートル以内まで)
コンタクトのスキルによって会話をするだけであれば、半径50メートルの距離まで近づくことで実現できる。
魔王城は広大だが、地図を片手に虱潰しにコンタクトのスキルを使用していけば何時かはキャロライナを見つけることが出来るだろう。
「考えられる場所としたら……ここしかないよな……」
今日の探索で1つハッキリしたことがある。
魔王城の中で調べていない場所は、残すところ、中心地である《玉座の間》だけになっていた。
玉座の間に入ることが出来るのは魔王本人と少数の幹部のみである。
「……待ってろよ。キャロライナ」
当然のことながら幹部として昇進するまで働く、なんて悠長なことは言っていられない。
キャロライナが捕らえられている居場所を突き止めた俺は、どうにかして玉座に侵入できないか模索するのだった。
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