継続は魔力なり《無能魔法が便利魔法に》

リッキー

じいちゃんの葬儀


 セレナを改造した日から大体一週間経った。

 実は、あれからある場所に修行に行っていた。
 休めとか言われていたのにね。
 修行の事は、話すと長くなるのでまた今度。

 そして、今日は父さんと母さんが到着する予定だ。
 ちなみに、兄さんや姉さん達は数日前に到着している。

 兄さんたちはフォースター家領の西側、学園都市にある魔法学校から来た。
 父さんたちと時間の差があるのは、フォースター家領が広い事と、父さんの家が魔の森の警戒のために極東にある事が関係している。

 姉さんは、俺が来年から通う帝都にある初等学校の寮に普段は住んでいるので直ぐに帰って来た。

 そんな感じで、現在、初の兄姉と俺だけで1つの部屋にいる。
 気まずい空気の中、誰も話さないのかと思っていたら意外にみんな話し出した。

「まず、レオ...大変だったね」
 最初に話し出したのは、アレックス兄さんだった。

「レオ、私に泣き付いて来ていいのよ?」
 続いて、姉さんが俺に両腕を広げながら俺に話しかけて来た。

「もう、平気だよ」

「そうか、レオはだいぶ成長したな~」
 最後にイヴァン兄さんだった。

「本当にね。ヘレナは小さい頃は一緒に生活していたけど、レオとは少しだけしか一緒にいる機会が無かったからね」

「俺は、レオのイメージが、まだ1歳の誕生日のままだぜ」

「僕もそんな気がする。でも、レオも学校が始まるんだよね」

「時が経つのは早いな。俺も後2年で卒業だ」

「そしたら、兄さんは領地で父さんの手伝いだね」

「いや、俺には領地の経営は向いてないからお前がやれ」

「別にいいけど、そしたら兄さんは卒業してから何するのさ?」

「おじさんの所で働きたい」

「皇帝直属の特殊部隊になるの?」

「そうだ」
 へ~ イヴァン兄さんは特殊部隊に入りたいのか~

「でも....確か卒業する時に上位10位以内の成績じゃないと入隊試験を受けられないよね?」
 え? もの凄いエリートじゃん!
 イヴァン兄さんって、頭いいの?

「心配するな。こう見えて俺の成績はいつも上位だから」
 へ~ 兄さんは見た目は脳筋な感じがするから意外だな~

「そうだったね。その性格だから忘れてた」

「ひどいことを言うじゃないか.....お前は常にトップのくせに」
 へ~ けど、アレックス兄さんが成績優秀なのは予想通りだな

「そ、そんなことないよ。それよりヘレナは今年からSクラスらしいけど成績は心配ない?」

「あ、話題を逸らしやがった」

「Sクラスになったはいいけど、周りの子が性格が悪い奴ばかりでめんどくさいわ」

「たいていそういう奴らは、魔法学校に合格しても入ってから挫折するんだよな~」

「そうなんだよね。そういう性格の悪い貴族の子供は、一般で頑張って入学してきた平民に簡単に抜かされちゃって、それからやる気をなくしちゃうのがほとんどだよね」

「へ~」
 なんか、凄い説得力があるな.....

 ガチャ
「みんな、ディオルク達が着いたよ。玄関に行って出迎えてあげなさい」

「「「「はーい」」」」
 みんなで玄関に向かう

 玄関に着くと既に母さんと父さんがいた。
「あら、イヴァン、アレックス、ヘレナ、レオ、久しぶりね」

「母さん、久しぶり」
 とアレックス兄さん
「3カ月くらい前に会ったけどな」
 とイヴァン兄さん
「お母さん、久しぶり」
 と姉さん
「母さん、久しぶり」
 と俺

「うん、みんな元気そうで何より」

「ああ、良かった」
 父さんが俺を見て言う

「レオならもう大丈夫だよ。ダミアンが元気にしてくれたからね」
 ばあちゃんが父さんにそう言う。
 どうやら、父さんは俺のことが心配だったらしい。

「それは後で、ダミアンに礼を言わなくてはな」

「そうしなさい。レオが部屋から出てこないと聞いた時は心配したわ」

「心配かけてごめんなさい」
 俺は素直に謝った。

「いいわ」
 そう言って、ばあちゃんは俺の頭を撫でてくれた。

「それじゃあ、親父に会いに行きたいんだが?」

「ああ、こっちだよ」
 ばあちゃんがじいちゃんの所に案内する。

「ああ、本当に死んでしまったんだな」
 父さんはじいちゃんを見ながら、寂しそうにそう言った。

 じいちゃんは現在、ばあちゃんの魔法で氷漬けにされている。
 だから、直接は触ることは出来ないが近くまで寄って、じいちゃんに話しかけていた。

「親父、お疲れさん。そして、レオを守ってくれてありがとう」
 そう言うと目を抑えながら部屋を出て行ってしまった.....


 そして次の日
 今日はじいちゃんの葬儀だ

 葬儀に参加するのは帝国の貴族、皇族だけ

 聖女などの他の国の人は葬儀に間に合わないため、各自墓参りとばあちゃんや皇帝の所に挨拶しに行くことになっている。

 昼になり葬儀は始まった。

 式は、帝都の広場で行われている。
 今日は快晴で、日がとても強く照っていて暑い....

 そんな中、皇帝の話が始まった。
「人は誰しもいつかは死ぬ。
 それは、人類最強と言われた男でも例外では無い。

 ただ、いざその時を迎えると信じられない自分がいる。
 ケント・フォースターはこの国、この世界の憧れの的だった。

 今から約40年前に魔王が突如人間界の国々に宣戦布告し、攻め込んで来た時に世界中の人々は恐怖に包まれた。
 しかし、勇者は自分の世界の問題では無いのにも関わらず、聖女や魔導師と共に魔王に挑み、今まで誰もが行くことが出来なかった魔の森の奥地に辿り着き、魔王を倒してしまった。

 そして、汚い王国から我が帝国に移り住んで来てからは、魔導師と結婚して帝国が今まで苦しめられてきた東で安全を隠居するまでに築いてくれた。

 それに加え、最後にはあの最高難度である地下のダンジョンを孫と一緒に踏破してしまった。

 このような素晴らしい人が旅立ち、これからが心配である人がこの中にいると思う。

 確かに、尊い人を我々は失った。
 しかし、私はこれからの心配は無用だと思う。
 なぜなら、しっかりと次の世代が育っているからだ。

 皆さんもご存じ、ダミアン・フォースターは塔のダンジョンを潰した実力者だ。
 また、今回の地下のダンジョンに勇者と挑んだレオンス・フォースターは8才にしてダンジョンの踏破者だ。

 これを聞くと心配する必要は無く感じないだろうか?
 だから、これからも安心して活気のある帝国国民であってほしい!

 これで、私の話は以上だ」

 皇帝の話が終わると会場にいる人は、全員立ち上がり拍手した。

 その後、式が終わるとじいちゃんは城の敷地に造られた立派な墓に入れられた。

 そして、帝都の大きな広場に大きなじいちゃんの石像を立てた。
 その石像は、じいちゃんの若い頃の像で、ばあちゃんが魔法で造ったそうだ。
 じいちゃんが低い姿勢で剣に手を掛けていて、今にも敵に切りかかりそうなかっこいいポーズだった。

 こうして、じいちゃんの葬儀は終わった...

「継続は魔力なり《無能魔法が便利魔法に》」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

  • ノベルバユーザー296582

    臭いな

    1
  • 親愛なる神AIM

    感情の無い世界

    0
  • ノベルバユーザー30469

    確かに薄い
    人を生き返らす道具を作ればいいのに
    できなかったら出来なかったでいいけど
    しようとしてないのはやっぱり……

    4
  • べりあすた

    同じような体験したから気持ちが分かる
    悲しんだところで帰って来ない、生き返らない
    だから振り返らず前を見るべきだ。。

    5
  • ノベルバユーザー272611

    コメで笑ったw
    わかりみが深いコメだけどちゃんとここまで読んでる辺りツンデレよな笑

    5
コメントをもっと見る / 書く