継続は魔力なり《無能魔法が便利魔法に》

リッキー

ゴーレムがさっそく活躍しちゃいます

 
 <ゴーレムを造った日の夜>

「よし、潜り込むぞ」

「ああ、事前の情報ではこの家の警備は門番がいるだけだそうだ」

「それなら、塀を超えて忍び込めばいいだけだから簡単だな」

「自分たちが強いと守ってもらう必要はないから、警備を雇う必要はないんだろ」

「だろうな。俺らは情報だけが目的だから戦う心配はないし、今回は楽で助かった」

「そうだな、じゃあ入るぞ」
 黒ずくめの男二人組が塀を超えて入って行く

「よし、誰もいないな」

「ああ、このまま情報収集をするぞ」
 そう言って、家の中に忍び込もうとする。

 しかし
『怪しい者を発見』
 全身鎧の二人が近づいて来た

「おいおい、嘘だろ? 見回りがいるなんて聞いてないぞ!」

「見つかったからにはしょうがない。戦うしかない」
 二人は鎧の警備員に襲い掛かる。
 しかし、2人の攻撃は簡単にはじかれてしまう。

「こいつら、相当強いぞ」

「ああ、これは逃げることを優先した方がいいな」
 2人は、戦うのを止めて逃げ出した。

 しかし、細い方に一瞬で回り込まれてしまい
「う、嘘だろ.....」
 2人は抑え込まれてしまった。

「なんでこんなに強いのがいるんだよ!」

 その頃
(へ~ ゴーレムなんて造ったんだー 今度見せてね)

(いいよ。今度、目の前で造ってあげるよ)

(それは楽しみだわ。ところで聖女のお孫さんはどんな子だったの?)

(とてもいい子だよ。リーナって呼んでるんだけど今のところは仲良くやってるよ)

(へ~ その子は可愛いの?)

(うん~ 可愛いかな)

(そ、そうなんだー)

(聖魔法が上手で、やってもらったんだけど凄い心が落ち着くんだよ)

(それは良かったね。もう今日の念話はいいや)

(シェリー?おーい)
 呼んでも返事が無い

「怒らせちゃったかな?」
 何で怒らせたんだ?

 俺が悩んでいると
(マスター、怪しい者を捕まえたので来てください)
 ゴーレム兵から連絡があった

 もしかして、間違えてお手伝いさんとかを捕まえてしまったのかもしれない

 それはヤバいので
(了解、今行く)
 俺は急いで向かった。

 そして、外に出ると1号と2号に全身黒の男が二人が捕まえられていた。

「ほ、本当に怪しい人を見つけたんだ....」
 ゴーレムを造った日に泥棒が入るとか凄いな.....

『はいマスター、こいつは塀から飛び越えて来たので怪しい奴です』
 1号が答える

「今まで大丈夫だったのか心配になってきたな」
 今まで泥棒が家に入って来てないか心配になる

「で、あんた達は泥棒?」
 とりあえず、泥棒2人組に質問をしてみた。

「そ、そうだ。おじさん達は泥棒なんだよ。な?」

(そうか、泥棒ってことにしとけば面倒なことにならないか)
「そ、そうなんだよ。泥棒でここに来たんだよ」

「へえ~ おじさん達はじゃあ何を盗もうとしたのかな?」
 なんか、この2人怪しいな....

「さ、さあ?金になる物なら何でも良かったんだよね~」

「そ、そうなんだよ。ここなら何かしら金になりそうな物があると思ってな」

「うん~ なんか怪しいね」
 なんだろう、なんか怪しい

「そ、そんなことはないぞ」

「そ、そうだよ」

「うん~ あ、あれを使ってみよう!」
 いいこと思いついた

「な、何をするんだ?」

「隠していることを言いなさい!」
 俺は、片方の男に命令をした。

 すると.....
「は、はい、実はここに来た聖女とその孫の情報収集に来ました」
 片方の男は素直に答えてくれた。

「ど、どうしたんだ?情報を話してどうする」
 もう片方の男が慌てる

「これは魅了魔法と言って、使うと相手に命令を聞かせられる魔法だよ」
 俺は、種明かしをした。

「お、お前がそんな魔法を持っているなんて知らされてないぞ!」
 お、わざわざ誰かの命令で動いているのをわざわざ教えてくれた

「じゃあ、その知らせてくれるはずだった人を教えなさい」
 また魅了魔法を使う

「は、はい、忍び屋の上司です」

「忍び屋? 何それ?」
 聞いたことが無いな....

「は、はい、いつからあるかは知りませんが、世界中に支部がある巨大組織です」

「どんな事をやるの?」

「暗殺やスパイなど隠れてやることが全般です」

「で、誰に依頼を受けたの?」

「そ、それは...」
 と話そうとした瞬間
 捕まっていた二人は意識がなくなった。

「ど、どうしたんだ?」
 俺は慌てて近寄ってみる

 すると
 二人の首に針が刺さっていた。

「これは毒針だ」
 刺さった針に何かが塗られていた

 すると
「騒がしいね。いったい外でどうしたんだい?」
 ばあちゃんが家から出て来た。

「ばあちゃん、急いで聖女とリーナの様子を見に行って!」

「はあ?何がどうしたんだい?」

「これを見ればわかるよ」

「こ、これは忍び屋の連中だね....そういうことか、今すぐ起こしてくる!」
 そう言って、急いで家に入って行った

 それから、リーナと聖女をばあちゃんが起こして来て、4人で集まった。
「じゃあ、どんなことがあったのか教えてレオ」

「わかった。まず、いきなりゴーレムから怪しい者を捕まえたって連絡があったんだ」

「さっそくゴーレムが役に立ったじゃないか」

「そうなんだけど、僕は最初、お手伝いさんでも捕まえちゃったのかな? と思って行ったんだよ」

「そしたら、あいつらが捕まっていたと」

「そう、最初に見た時、気合の入った泥棒が来たと思ったんだけど、本人たちの様子が凄く怪しかったから魅了魔法で隠していることを話せって命令したんだよ」

「あんた、そんな魔法まで出来るの!?」
 ばあちゃんが驚く
 あれ? ばあちゃんに魔法を創造できることを言ってなかったかな?

「うん、前にシェリーにやられたから創造魔法で造れるよ」

「創造魔法って凄すぎない?」
 聖女が驚きのあまり声が出ていた。

「まあ、話が進まないからその話は今度にして、魅了魔法を使った後の話しからお願い」
 ばあちゃんが話を先に促してきた

「わかった。それで隠していることを話させたら、聖女とその孫の情報収集に来たって言ってたんだよ」

「忍び屋がそんなことをねー」

「そう、それで誰の依頼なのかを聞いたら、丁度2人が殺されちゃったんだ」

「なるほどね.....たぶん依頼主は教皇だよ」
 聖女が答えた。

「え?どうしてですか?」

「私はね....人気があるから教皇に嫌われているんだよ」

「でも、わざわざこんなことをする必要がある?」
 嫌いなだけで、殺そうとするのか?

「あの馬鹿は、私を殺せば人気が戻ると思っているのよ」

「それは凄く馬鹿だね。ところで忍び屋って何?」

 するとばあちゃんが
「あれは、暗殺やスパイとか汚い仕事をしている組織だね。ただ、あそこの現在のボスはダミアンのライバルだ」

「え? おじさんにライバルなんているの?」

「ああ、名前はアレンと言って、昔ダミアンと塔のダンジョンをクリアしたことのある実力者だよ....」

「そんな人がどうしてそんな組織に?」
 塔のダンジョンをおじさんと一緒に踏破したってことは、それまでは国の為に働いていたんだよね....

「知っているとしたらダミアンくらいじゃない?」

「わかった。明日、おじさんの所に行ってみるよ」

「そうしてみな」

「それと、もっとゴーレムを増やして家の防犯を強化するよ」
 おじさんレベルの人がリーダーである組織が相手なら油断はしてはいけないと思う。

「それなら武器庫の他に、観賞用の鎧も使ってしまいな」

「うん、わかった」

 それから、武器庫にある鎧6体と観賞用の鎧12体をゴーレムに改造した。

 そして、このゴーレムたちは武器庫1体と観賞用2体で1つのチームを造り、3チームずつ1号と2号が統括することにした。
 計20体のゴーレムで家を守って貰う。

「これはゴーレムの部隊だね」
 整列をしているゴーレムたちを見てばあちゃんが言った。

「これで少しは家の中は安心かな.....」


 その頃

「アレン様!聖女の所に忍び込みに行った2人が失敗しました」

「なに!?なぜだ?」

「それが、なぜか情報に無かった全身鎧の見回りの警備が強かったために捕まってしまったようです」

「そうか...それで標的に情報は漏れたか?」

「それが....魔導師の孫がなぜか魅了魔法を使えたんです」

「は!? そんな情報は無かっただろ?」

「はい、無かったので高価な魅了魔法対策の魔法具は持たせませんでした」

「はぁ~ あいつらはどこまで話した?」

「我々の組織に所属していることと、今回の標的が聖女とその孫であるところまでです」

「依頼主に関しては話していたか?」

「いえ、その前にあの二人を殺しました」

「そうか、なら逆に勘違いしてくれて丁度いい」

「ただ魔導師の家に潜入するのは厳しくなりました....」

「別に、依頼主に念の為に頼まれただけで、実際は無くても計画には関係ない」

「そう...ですか。では失礼します」
 部下の男は部屋から出ていく

「あいつのおいも凄い才能を持っているのか、これは今回の依頼は楽しめそうだな」
 男はそう言ってニヤリと笑った

「継続は魔力なり《無能魔法が便利魔法に》」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く