継続は魔力なり《無能魔法が便利魔法に》

リッキー

閑話2実家に帰ります

 入学式1カ月前の夜
(魔の森の視察が3日後にあるんだけど、お父さんがレオとリーナも一緒にどうかだって)
 シェリーが魔の森の視察に誘ってきた。

(そういえば、3年前もこの時期だったね)

(レオくんの実家ですか? 行きたいです!!)

(わかった。お父さんに伝えておくわ)

(うん、お願い。久しぶりに温泉に入れる)

(1回だけしか入ったことないけど、あの気持ち良さはたまらないね)

(そんなに温泉というのは気持ちが良い物なのですか?)

(それは行ってからのお楽しみだね)

(そこまで言うのであれば楽しみにしておきます)


 そして3日後
 皇帝の馬車に乗せてもらって帝都を出た。

 馬車は2台で、俺はシェリーとリーナと3人で馬車に乗っている。
 シェリーもリーナも最近自分の家(城)から出ることが出来なかったので、楽しそうに馬車から見える風景を楽しんでいた。

 流石王族の馬車だからなのか、スピードが結構出ているのにほとんど揺れない。
 この速さで行けば1週間もしないで着いてしまいそうだ。

 ちなみに、この前のパーティー襲撃事件があって、今回の視察はたくさんの騎士ではなく特殊部隊が護衛をしている。
 この前のパーティーで騎士がわざと遅れて来た疑惑があり、今回は護衛にしなかったそうだ。

 そして8日後
「やっと勇者の街に着いたわ」
 そう言って、シェリーが商店街を窓から眺める。

「凄い賑やかな街ですね」

「そうでしょ。珍しい物がたくさん売っているからね」

「後でどんな物が売っているか見てみたい」
 そう言ってシェリーが俺に頼んで来た

「それは皇帝陛下に聞いてみないと....」
 俺は困った顔をした

「それじゃあ、後で頼んでみる」

「あまり期待しない方がいいよ」
 流石にこの前のことを考えれば許可しないだろう

 などと考えていると
「あ、着きましたよ。レオくんの家は大きいですね」

「公爵家の屋敷だからね」
 と言いながら俺はドアを開ける

 すると母さんと父さんが立っていた
「おかえりなさい。レオ」

「ただいま」
 と言いながら俺たちは馬車から降りた。

 そして隣の馬車にいる皇帝陛下と王女が出て来る
「久しぶりだなディオルク」

「久しぶり?1ヶ月くらいしか経ってないぞ」
 じいちゃんの葬儀は約1ヶ月前だ。

「まあ、細かいことは気にするな」

「それより、今回はよくバカンスなんてしようと思ったな」

「この前の襲撃のことか? 今回は襲撃があったからこそ来たんだぞ?」

「バカンスを?」

「なわけあるか!」
 皇帝は大きい声で怒った。

「魔の森の視察は帝国が安全なことを国内外に示す行事だから、今回みたいな時は尚更やらなくてはならないんだよ.....」

「なるほど、皇帝も大変だな。それじゃあ昼飯にするか」


 それから昼飯を食べながら
「これからだけど何かしたいことある? とりあえず温泉には行くけど」

「あ、私、あそこの商店街で買い物したい!」

「それなら、温泉の後にダミアンと一緒ならいいぞ」
 皇帝が考える素振りも無く許可をした

「やったー」

「簡単に許可が出てしまった...」
 おいおい、いいのかよ....

 それに皇帝が
「まあ、レオ君がいれば大丈夫だと思ってね」

「そうですか? 僕はまだ子供ですよ」
 まだ俺は8才だ

「この前の活躍を見てしまったら、なんかレオ君が大人に見えてね」

「そういえばレオが活躍したんだって?」
 父さんが皇帝に聞く

「そうなんだよ。大助かりだったよ」

「それは見たかったわね....」
 母さんが残念そうな顔をした

「ああ、しかもレオはもう貴族だしな」

「土地を与えるまでは仮だがな」

「でも、これで将来は心配ないわね」

「レオの将来を心配する必要はないと思うぞ」
 父さんがそう言うとみんながウンウンと頷いた。

「それじゃあ、温泉に行くか」

 それから、馬車に乗って温泉に向かった。
 久しぶりの温泉は身も心も癒される。
 やっぱり、温泉は最高だった。


 そして、これから買い物に行く

「それじゃあ、しっかり僕の近くにいるんだよ」
 おじさんが俺たちに注意する

「「「はーい」」」
 と3人で返事をした

「それじゃあ行くよ」

 商店街を歩いて行くと
「あの茶色の丸いのはなんですか?」
 早速、リーナが屋台を指さしながら言った。

「あれは....タコヤキと言って、勇者父さんがこの店の先代に教えた食べ物だよ」

「おいしそうですね」

「僕が買ってくるよ」
 俺がたこ焼きを買って渡す。

「あ、熱い!」
 2人ともアツアツのたこ焼きを口の中に入れてしまいホフホフしている。

「熱いですけどおいしいです」

「でしょ? これを求めて他の国からわざわざ来るんだから」
 たこ焼きを求めて他国から?

「それもわかるくらいおいしいわ」
 すぐにたこ焼きを食べ終わってしまった。

 そして商店街を進んで行くと
「今度はあの白いものはなんですか?」
 とリーナがまた指さす

「あれはアイスクリームと言って、冷たくて甘い食べ物だよ」

「それはおいしそうね。レオ、お願い」

「う、うん」
 俺は自然と買いに行く
 若干、魅了魔法が使われた気がする.....

 そして、買ってくると
「冷たーい!! これは甘いわね」
 アイスもあっという間に食べてしまった

 それからさらに
「今度はあの串に刺さっている物を食べたい」

「う、うん」
 体が勝手に動き買ってしまった。
 これは絶対に魅了魔法を使われているな.....

「これはヤキトリと言ってタレと塩があっておいしいよ」
 おじさんが俺を見て笑いながら焼き鳥の紹介をする。

「これもおいしいです。私は塩の方が好きです」

「そう? 私はタレが好きだわ」

「僕はどっちも好きかな....」

「それじゃあ、どんどん次に行こうか」
 こうして商店街食べ歩きが続いた


 そして次の日
 今日から父さんたちは1週間の魔の森視察だ。

「それじゃあ、お留守番よろしくね」

「うん、わかった」

「じゃあ、行ってくるぞ」

「「「いってらっしゃい」」」

 お見送りが終わって
「さて、何をするか.....」

「私、無属性魔法を教わりたいです」

「あ、それいいかも、ダミアンさんに無属性魔法だけは教えて貰えなかったんだよね」

「まあ、無属性魔法は出来るようになるのに時間が掛かるからね」
 俺は完璧に出来る様になるまで2カ月も掛かった。

「そうなんだ。じゃあ、出来るところまでお願い」

 まあ、他にやることもないし、いいか。
「うん、いいよ。それじゃあ動きやすい格好になって庭でやろうか」

 それから庭に出て、無属性魔法講座を始める。
「それじゃあ、体を強化するイメージで魔力を使って走ってみて」

「うん、やってみる」
 2人とも走ってみるが.....俺の時と同じように足の勢いに負けて転ぶ。

「ちゃんと強化は出来たみたいだね」

「これは難しいです」

「これは練習あるのみだよ。とりあえず1週間で無属性魔法を使いながら、この家の回りを1周走れるように頑張ろうか」

「う、うん。コツだけでも教えて」

「コツは体のどの部分を強化すればいいのかを考えることだね。ただし、体全部に使うのは上達しないからダメね」

「「はーい」」

 それから1週間
 シェリーとリーナは何度も転びながら少しずつ走れる距離が伸びて行った。

 そして遂に
「やっと1周、これで目標達成だー」
 シェリーが両手を上げてゴールした

 少し遅れて
「やったー 私も1周走り切れました!!」
 リーナもゴール出来た

「なんとか1週間で間に合ったね」

「うん、良かったわ」

「凄い達成感です」

「うん、良かった。それじゃあ、風呂に入って汗を流してから父さんたちが帰って来るのを待つよ」
 そう言って風呂に入るように勧めた。

 すると
「わかった。それじゃあ、レオも一緒にお風呂に入らない?」
 そう言って、シェリーがとんでもない発言をした。

「え? いいよふたりで入ってきなよ」
 実は、この家は混浴である。
 じいちゃんが、普段は家族だけしか入らないんだからという理由でその分大きな風呂を作らせたらしい。
 お客さんが泊まっている時は、時間を分けて入るようにしている。

「いいじゃないですか。入りましょうよ」
 嘘だろ.....リーナまでもが

「いいって、いいって」
 俺は断ろうとするが

「もう、恥ずかしいならこうしてあげる」

 これはもしかして
「一緒にお風呂に入りましょ?」

「は、はい」

 やっぱり魅了魔法を使ってきた.....

 そして1時間後、父さんたちが帰って来たのを出迎えた。

 え?
 風呂はどうだったかだって?

 それは....
 無心で乗り切ったとだけ言っておこう.....

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コメント

  • ノベルバユーザー332229

    転生設定はないけどまぁおもろいからいいや

    0
  • マッキーマン

    その設定忘れてた

    2
  • ノベルバユーザー30469

    中身おっさんの転生者が女の子と一緒に風呂に入るともはや警察沙汰

    2
  • べりあすた

    書き方は作者の自由じゃん?

    4
  • 以下名無しに代わりまして愉快犯がお送りします

    「1週間もしないで着いてしまいそうだ。」



    ──そして8日後

    (’ω’)ファッ!!?

    1週間てシッテル?( ・◇・)?

    9
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