異世界戦国記
第三十四話・籠城準備
「織田信友軍、二千の兵でここ羽鳥城に向かってきています」
信友出撃の報が入ったのは俺が更に北部の二城を落とし終えた時であった。これで西部は完全に弾正忠家の物となり領地だけで言えば信友の大和守家より上となった。そんな状況のなか信友は遂に準備を整えこちらに向かってきていた。対する此方の兵力は千ほど。元那古野今川家の兵士たちだ。弾正忠家の兵は信康を総大将に北にいるからな。城攻めの最中と言う報告が先ほど来たし直ぐに戻ってくるのは不可能だろう。せいぜい稲沢城の兵をこちらに向かわせるくらいか。
とは言えこちらもそれほど不利ではない。なんと言ったってこちらにはたった一人で軍勢を崩壊させる人外今川氏興がいるからな。あいつ戦になるとテンションが上がるんだよな。それに合わせて自軍の士気も上がりすぎだろって言うくらい上がるんだよな。もはやあいつがいるだけで戦に勝てるぐらい頼もしいからな。
…しかし、戦以外の時はほとんどしゃべらず自分の刀を穴が開くくらい見ているからな。端から見れば不気味としか言いようがない。まあ、俺は特に気にはしない。やかましいより全然いいからな。
「敵の詳細は分かるか?」
「はい、敵の総大将は坂井大善なるもので他にも坂井甚介、河尻与一、織田三位などがいるようです」
「信友は出陣していないのか?」
「はい、清州城に籠っています」
遂に信友は家臣任せになったか。まあ、織田達勝の容姿と言う事であまり家臣たちからの信用を勝ち取っていないみたいだし何よりあの性格じゃあ心の底から慕っている者はいないかもな。と、なると
「清州城にはどのくらいの兵力がいるのだ?」
「限界まで動員して千五百ほどいます」
勝幡城で俺に負けていらい求心力が落ちているのによくそんなに集まったな。とは言えそこまで多い訳でもないな。
「稲葉地城を包囲している信繫にそのまま清州城に向かうように伝えろ」
信繫は現在稲葉地城を包囲している。信繫からの報告では籠城している兵は少ないがやる気に満ち溢れているとの事で下手に手を出したり出されたりしないように城を包囲していた。それもあり稲葉地城の兵は何もできない状態にあり信繫の兵は重要な役目のはずなのに遊兵と化していた。
「もし敵兵が追撃してきたら反転してそのまま稲葉地城を攻めるようにしろと伝えろ。その場合は清州城に向かうのは後回しで城を確実に落とすように伝えろ」
「はっ!」
「よし、我々も迎撃の準備をする…と言いたいところだが氏興。今回は派手に暴れて構わん」
「…ほう」
刀を舐めるように見ていた氏興はぎょろりと目をこちらに向ける。しかし、直ぐに刀へと死線を戻したのであった。
「まったく、信友には困ったものだな」
二千の兵を羽鳥城へと進める総大将の坂井大善はため息を深くつきながら自分の主君への愚痴を言う。今回の出陣は遅れに遅れただけでなく信友の出陣拒否も合わさりさらに遅れていた。
もともと重税や兵の徴収そして、勝幡城にて信秀に負けたことで著しく求心力を失いつつあった。稀に見る暴君と言う事もそれを手助けしており信友の事は信友領に住む者なら誰もが知っているほどであった。
「弾正忠家の動きはどうなっている?」
大善は近くにいる兵士に聞く。
「はっ、北部を攻めている織田兵は依然として城攻めを行っているようです。稲葉地城の兵も今のところ動きはなく羽鳥城は籠城の構えを見せています」
「それもそうか」
勝幡城で戦った時とは違い完全に籠城するようで大善は少し安堵の息をつくが気を引き締めてさらに聞く。
「稲沢城の方はどうなっている?」
「それが…、稲沢城に派遣した偵察からの報告が未だ来ないのです」
「何?…分かった。偵察兵を更に出して情報を集めよ」
「はっ!」
大善の指示を聞き兵は離れていく。大善は心に出来た大きな不安を押し殺し兵を進めるのであった。
信友出撃の報が入ったのは俺が更に北部の二城を落とし終えた時であった。これで西部は完全に弾正忠家の物となり領地だけで言えば信友の大和守家より上となった。そんな状況のなか信友は遂に準備を整えこちらに向かってきていた。対する此方の兵力は千ほど。元那古野今川家の兵士たちだ。弾正忠家の兵は信康を総大将に北にいるからな。城攻めの最中と言う報告が先ほど来たし直ぐに戻ってくるのは不可能だろう。せいぜい稲沢城の兵をこちらに向かわせるくらいか。
とは言えこちらもそれほど不利ではない。なんと言ったってこちらにはたった一人で軍勢を崩壊させる人外今川氏興がいるからな。あいつ戦になるとテンションが上がるんだよな。それに合わせて自軍の士気も上がりすぎだろって言うくらい上がるんだよな。もはやあいつがいるだけで戦に勝てるぐらい頼もしいからな。
…しかし、戦以外の時はほとんどしゃべらず自分の刀を穴が開くくらい見ているからな。端から見れば不気味としか言いようがない。まあ、俺は特に気にはしない。やかましいより全然いいからな。
「敵の詳細は分かるか?」
「はい、敵の総大将は坂井大善なるもので他にも坂井甚介、河尻与一、織田三位などがいるようです」
「信友は出陣していないのか?」
「はい、清州城に籠っています」
遂に信友は家臣任せになったか。まあ、織田達勝の容姿と言う事であまり家臣たちからの信用を勝ち取っていないみたいだし何よりあの性格じゃあ心の底から慕っている者はいないかもな。と、なると
「清州城にはどのくらいの兵力がいるのだ?」
「限界まで動員して千五百ほどいます」
勝幡城で俺に負けていらい求心力が落ちているのによくそんなに集まったな。とは言えそこまで多い訳でもないな。
「稲葉地城を包囲している信繫にそのまま清州城に向かうように伝えろ」
信繫は現在稲葉地城を包囲している。信繫からの報告では籠城している兵は少ないがやる気に満ち溢れているとの事で下手に手を出したり出されたりしないように城を包囲していた。それもあり稲葉地城の兵は何もできない状態にあり信繫の兵は重要な役目のはずなのに遊兵と化していた。
「もし敵兵が追撃してきたら反転してそのまま稲葉地城を攻めるようにしろと伝えろ。その場合は清州城に向かうのは後回しで城を確実に落とすように伝えろ」
「はっ!」
「よし、我々も迎撃の準備をする…と言いたいところだが氏興。今回は派手に暴れて構わん」
「…ほう」
刀を舐めるように見ていた氏興はぎょろりと目をこちらに向ける。しかし、直ぐに刀へと死線を戻したのであった。
「まったく、信友には困ったものだな」
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もともと重税や兵の徴収そして、勝幡城にて信秀に負けたことで著しく求心力を失いつつあった。稀に見る暴君と言う事もそれを手助けしており信友の事は信友領に住む者なら誰もが知っているほどであった。
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