クラス転移で仲間外れ?僕だけ◯◯◯!

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66話 苛めっ子の真の狙い?

高橋と遠藤の狙いは二人じゃなくて僕だって?
確かにそれならこのテントの中に異変がないことにも理由がつく。

「なるほど。その可能性も有るかもしれない。取り敢えず僕のテントの方を見に行ってみよう。」

僕達3人は僕のテントに移動する。
僕のテントの中に入ったが一見特に何も変化はないが何か違和感を感じる。
試しに[魔力視]で様子を探ってみよう。

「へー、ここが美月のテントか~~。まあ、仮設テントだし、特に私たちのテントと違いはないね。」

「そそ、そ、そうだね~~~。私たちの部屋とそんなに差はないね。」

「ど、どうしたの夏蓮?なんか息遣い荒いけど……。深呼吸して息整えた方がいいんじゃ…………?」

「深呼吸!?深呼吸までしたらそれこそ倒れちゃいそうだよ。」

「そ、そうなんだ…………。なんか闇を見てしまった気がする……。」

[魔力視]を使って部屋の様子を見ているが何か騒がしいな?何かあったのか?

「なにかあったの?」

「美月君?別になんにもないけどどうかしたの?」

「いや、なんにもないんならいいんだけど…………。」

あれ~?おかしいな、なんか騒がしいとおもったんけど?
美樹ちゃんも何時もどうり雰囲気だったし…………まあいっか。

結局、[魔力視]で部屋の中を見てみたが特に魔力が変なところ等はなかったので魔法や魔道具を置いたりして僕に罠をはったりわけではないらしい。
だが、物の位置等が少しずれている気がする。さっき外に出たときは普段持っているバックなどは置いて行ったが本当に重要な武器など[アイテムボックス]に入れて持っていったし、共鳴石や帰還の札等の重要な魔道具は[アイテムボックス]に入れることが出来ないから置いて行ったが問題なくバックの中に残っている。
結局無くなったり、逆に増えたものも見つからなかった。

「まあ、なんか武器でも隠そうとして入ってきたんでしょ。それで武器が無くて諦めて帰ったんじゃない?さっき上機嫌に見えたのはバレないように上機嫌なのを装っていたとかんがえられるんじゃない?」

うーん。なんとなくしっくりこないけど、これ以上考えても埒もあかないし、ここいらで終わりにしよう。

「じゃあ、それが結論ってことで終わりにしようか。」

「そうね。じゃあ私達はテントに帰るから。」

沙耶さんはそう言うと二人のテントの方に歩き出したが直ぐに止まってしまって振り向いてきた。

「そう言えば、美月はなんで明日に備えて寝るって言ってたのにテントの外に出てたの?それもさっき高橋君と遠藤君と出会ったって言ってた所はここのテントからそれなりに離れたところだし……。武器まで持っていってたんでしょ?」

しまった。
二人のことが心配で急いで来たからその辺のこと一切考えてなかった。
素直に「使役獣に餌を上げに行ってた」何て言ってしまえば、[鑑定]のスキルを持つ美樹ちゃんは僕が[ティム]を持ってないことに当然だが疑問を感じるはず。
そうなれば芋ズル式に[遮蔽]の存在を明かさなければならなくなってしまう。
そして[遮蔽]の存在がバレれば、その話が何処からか拡がってしまい国王関係者に伝わり、国に嘘をついていたとして処罰を受けるリスクもある。
ほかにも僕が[高位遮蔽]を持っているかもと疑って[高位遮蔽]を見破ることの出来る更に上位のスキルの[超位鑑定]を持っている人物を連れてくるかもしれない。そうなれば最悪だ。
この国での魔人族の扱いは魔族と同等。敵の兵士と思われて良くて処刑、悪ければ拷問されてしまうかも知れない。

そんな事を何分か考えていると美樹ちゃんと目が合う。
僕がずっと硬い顔して考え事をしているからか美樹の表情に不安が浮かんで見える。
しかし、その不安は僕が嘘をついていて怖い。というよりはそんな顔してるなんて美月君大丈夫かな?って感じの表情をしているように感じた。
そのとき僕はなんで最初から二人から秘密が洩れてしまうと思っていたのか!と思った。
確かにメイドが国王関係者だったりして、秘密を教えることが僕のリスクになるけど本当に大切な仲間で友達でもある美樹ちゃん、そして短い付き合いだけど僕のことを信用してパーティーの一員に入れてくれて、更にパーティーリーダーにまでしてくれた沙耶さん、この二人なら全て事情を話せばメイドに気を付けて完全にバレないようにしてくれるはずなんだ。
だが頭で理解してても直ぐに行動に起こせない。
僕が必死に考えているとついに沙耶さんが話を再開する。

「私もパーティーに入ってから思ってたけど、美月には何か秘密が有るんでしょ、さっきテントから出てたのもその秘密に関係したりするんでしょ?」

「それは…………。」

「夏蓮から聞いたけど、この国の国王は色々怪しいところがあるとかって、その関係で美月が裏で色々しているかもしれないって。」

美樹は気付いてたのか僕がこの国のことを探ってたことを!
確かに僕もこの国が怪しい国でなければ、[高位遮蔽]を使っていた何て言わずに直ぐにスキルを明かして、魔人族のこともほとぼりが覚めた頃に説明して何とかしようとしてたかもしれない。
そうなれば何一つ秘密はなく国の裏を探ることも無かっただろう。

「だから美月が秘密でしゃべれないっていうなら安全の為にも必要なことなんだと思うからこれ以上は今は聞かない。ただこれだけは覚えておいて。そうやってたくさんの秘密を抱えているあなたを心配している人がいるってことを。当然、夏蓮も心配してるし、今は私も………………。私が言いたいことはそれだけ私はテントに戻るわ。」

沙耶さんがテントに戻ると美樹ちゃんと二人きりになる。

「美月君が皆の為にも普段から頑張ってくれてるのは知ってる。裏で何かやってるかもってのはあくまで私の予測にすぎないけどね。ただ私は不安だから………………。もし、何かやってて手助けが必要ならいってね。あくまでこれは皆の問題何だから美月君一人で考えることじゃないんだよ。」

その言葉は僕の心に響くがそれでも何処にある僕の弱い心のせいで秘密を打ち明けられない。

「いつか、いつか僕の弱い心が強くなったらその時全部を話すよ。それまでごめんけど待っててくれる?」

「美月君の心は弱くなんてないよ。誰にだって怖いものはあるもの。でも分かった。私は待ってるからいつか全部教えてね。じゃあ私もテントに戻るね。おやすみ。」

「おやすみ」

僕は気持ちを新たにして眠りにつく。
様々アクシデントを乗り越えて僕のダンジョン滞在初日は終わった。



コメント

  • ノベルバユーザー210455

    一度人間不信になっている訳ですから仲間でも慎重になるのは、仕方ないのでは?

    9
  • 伊予二名

    心の声も読める読者の視点では主人公メンタルは弱いよね。ヒロインすら信じられない

    1
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