クラス転移で仲間外れ?僕だけ◯◯◯!

TNKt_k

70話 貸し1


「ちょっと待ってよ。」

「うん?どうしたんだい美月君?もしかして、トラップの危険があるのにスキルもなしで美樹さんを探索に連れて行こうというのか?」

「いや、そういうつもりじゃ………………。」

なんとか反論したいがどう言えばいいのか。

「じゃあ、どうするというんだい?もう、トラップ関係のスキルを持った人は皆パーティーに上手く分散しているというのに。」

な!そうだったのか。
元々クラスメイト達には僕は弱くて足手まといと思われてるからパーティーに入って貰えるとは思ってなかったけど、これで本格的パーティー増員は難しくなってしまった。
美樹ちゃんの方を見てみるが不安そうな顔をしている。 
もし、このまま勇義の言うとおりに行動すると恐らく僕らのパーティーは解散することになり、美樹ちゃんは勇義のパーティーに、僕と沙耶さんはそれぞれ違うパーティーに分けられることになってしまう。
それは美樹ちゃんが可哀想だし、僕も嫌だ。
なにかないのか!
僕は自分のステータスを見ながら解決法はないか考える。



名前:美月輝夜
種族:魔人族([高位遮蔽]人族に偽装中)
年齢:17才
性別:男
職業:妄想師

level.5

HP:520/520
MP:15167/15167

筋力値:217
耐久値:238
魔力値:390
魔耐値:173
敏捷値:390

魔法
火魔法:ファイヤボール・フレア

職業スキル
状態異常妄想・職業スキル自身効果範囲眷族拡張

スキル
掌撃術レベル17・蹴撃術レベル13・柔術レベル10・索敵術レベル9・隠密術レベル5・掌打・飛び蹴り・旋風脚・二段蹴り・腕緘・受け流し・掬い投げ・HP自動回復強化レベル5・MP自動回復強化レベル6・ティム・高位鑑定(高位遮蔽中)・高位遮蔽(高位遮蔽中)・アイテムボックスレベル2・マナ操作・異世界言語翻訳

使役獣
ラズリ(スライム)・ニキス(ホワイトキャット特異種)

称号
異世界人・モンスターティマー




「!?。」

これなら行けるんじゃないか?
ただ、そのためにはエミリア王女の協力が必要不可欠だ。
だが、エミリア王女は協力してくれるだろうか?
いや!逆に言えば、デメリットもすくないから断る理由もないし、むしろ僕に貸しを作れる状況だ。断る可能性も低いはずだ。
ここは、賭けにでるか。

「お、おい!何処に行くんだ?」

僕は勇義に背を向けて歩きだす。
向かう先にはエミリア王女がいる。

「エミリア王女、一つ質問があるんですけど。」

「おい!見苦しいぞ。今さら何を聞く必要があるんだ!エミリア王女に迷惑を掛けるなよ。」

勇義の話は無視して、エミリア王女を見る
エミリア王女と目が合うとこっちを見続けてくる。
僕は目を逸らさずに目を合わせておく。
エミリア王女は一度微笑むと答えを返してくれる。

「なんでしょうか?私に分かることであれば答えられますが?」

「パーティーにトラップ系技能の持った人が居ないとパーティーでの探索を許可できないとのことだったですが、他にトラップを見付けられるスキルに入るか分からないものが有るんですが。」

「なるほど。たしかにスキルに関しては具体的にどんなスキルが対象になるか言ってませんでしたね。分かりました。そのスキルについて教えてもらえますか。」

よし、ここまでは狙ってたとおりに話が進んでいる。
あとは、エミリア王女がぼくの願いを汲み取って話を合わせてくれたら…………。

「僕の持っているスキルの[索敵術]は以前調べた本には効果に<周囲の状態を探知することが上手く出来るようになる>という記述が有ったのですがこれでトラップを探知出来るんじゃないかと思うんですが…………。一応今まで見たトラップは事前に探知することができましたし……。」

たしかに[索敵術]を鑑定した際に出てくる効果には<周囲の状態を探知することが上手く出来るようになる>と書いてあるが、あくまでレベルに応じて探知することが上手くなるだけで、実際に元々そういった知識のない人間には効果が薄いことも図書館にあった本には書いてあった。
ましてや、トラップ系に限定したスキルではなく、もっと広範囲の種類の物を探知出来るスキルのため、[トラップ探知]等に比べると尚更効果が薄い。
なので、流石に[索敵術]単体でダンジョンのトラップを見切ることは難しいはずだ。
そんな初歩中の初歩の話をエミリア王女がしらないはずはないため、普通なら却下されるだろうけど。
頼む!エミリア王女、話を合わせてくれ!
そのためにクラスメイトの誰とも被ってないスキルの[索敵術]を選んだんだ。
数秒間の沈黙のあとエミリア王女が語りだす。

「そうですね。まあ、スキルレベルによりますかね。美月様の[索敵術]のレベルはどれくらいでしょうか?」

「レベルは9です。」

「そんな!嘘をつくな!自分が足手まといだからといってそんな事を言うと皆のためにならないぞ!」

「幾らなんでも嘘なんてつかないさ。このクラスには[鑑定]を持った人がたくさんにいるし、エミリア王女だって[高位鑑定]の持ち主じゃないか。そんなすぐバレるような嘘はつかないよ。」

しかし、いくら言っても勇義は[鑑定]を持ってないため、信じられないようだ。しかし、そこへエミリア王女が答えを下す。

「[高位鑑定]で確認しましたが、美月様は[索敵術]のレベル9を持っていることが確認できました。レベル9もあれば、ダンジョン探索に問題は無いでしょう。他に誰か[索敵術]を持っている方はいますか?」

エミリア王女が他のメンバーが持ってないことを知らないはずはないのに白々しく聞いている。本当にありがたい。
勇義は悔しそうにしながら自分のパーティーに戻って行っていった。
そして僕も美樹ちゃん達のもとに戻ろうとすると僕の耳元でエミリア王女が囁いた。

「貸し1ですよ。この貸しは大きいですから忘れないで下さいね?」

怖いよ!
この貸しは、いつか返さないと。じゃないと、いつか取り立てにきそうだから。




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