クラス転移で仲間外れ?僕だけ◯◯◯!

TNKt_k

108話 恐怖

ジェネラルオーガが殴る直前、僕は体を出来るだけ捻り、なるべく攻撃を交わそうとした。
しかし、交わしきることはできず、攻撃を右の脇腹に受けてしまった。
ジェネラルオーガが僕に一撃を加えた直後に一瞬だけ、力が緩んだのでその隙に掴まれていた右手を引き剥がし、後ろに後退する。
ただ、殴られたはずのなのに痛みがまるで無いことに疑問を感じて右脇腹に手をやった。
……え?………。
しかし、脇腹に持っていった手は、脇腹のあるはずの場所まで動かしてもなんの感触もない。
不審に思い自分の体を見る。

「………………はぁ?」

本来自分の脇腹があった場所には何もなく、その代わりにおびただしい量の血が流れ出ている。
僕は、あまりの事態に、思考が停止してしまった。
一秒後、ようやく思考が働きだした。

「死ぬっ!死ぬっ!再生!再生!再生!」

僕は直ぐに反転して逃げ出した。
普段はスキルを発動するときに声に出すなんてことを絶対にしないのに、それをして尚且つ、何度も同じ状態異常である再生を掛けまくるほど、動揺していた。

そして、そのまま5分近く逃げ続けて、再生の効果でようやく痛覚が戻り、血が止まった頃に精神が落ち着いてきだした。
冷静になったとはいえ腹を抉り取られるなんて経験をした今、まともにジェネラルオーガと戦える気がしない。
たった一発………。ガードを失敗しても…死…………。相手に再び捕まっても死……………。たった一発でも本気の一撃を喰らうだけで死ぬ……。

そう思うと心が折れてしまいそうなのが理解出来た。
今までの戦いは、大変な戦いも有ったが本当に死ぬようなダメージを受けたことは殆ど無かった。
勇義との戦いの時は火傷で死ぬ可能性も有ったが目が覚めたときは戦闘が終わっていて更なる危険は無い状態で、尚且つ僕には[状態異常妄想]による再生も有ったのでそこまで死の危険は感じなかった。


だが今は違う。
相手のジェネラルオーガはまだ、体力が沢山残っていて、まだまだ戦闘を続ける気満々で追いかけてきている。
そして僕からまともに攻撃出来たのは、たったの二回。
しかも、そのうち一回は反撃を喰らい、もう一回は僕の攻撃を誘導するために、使われてしまった。
相手の方が圧倒的に上手うわてだった。
ちょっと前にダンジョンの魔物と違い知能があるから気を付けて戦おうと決めていたのに何処かで油断してた。
今までとは違い、強さの差だけでなく、戦略においても相手の方が圧倒的に各上だったことが更に僕の恐怖を助長させた。
今逃げていることさえ、奴の手の内なのではないかと思えてくる。だが、今の僕には歩みを止めるという選択肢を取ることは出来なかった。
後ろを気にしながら走っていたら突然目の前が眩しくなった。

!?

どうやら森を走っている内に森を突き抜けて、海辺の砂浜まで来てしまったようだ。

「まずいっ!」

さっきまでの戦いで森の中での走り方は慣れたが、砂地の不安定な大地でまともに走ることはできない。
それに比べてジェネラルオーガは砂地で走ることに慣れているのか僕とジェネラルオーガの間に有った差は直ぐに無くなってしまう。
砂地を幾らか走ると目の前に海がある。急いで方向転換しようとしたが、砂に足を取られて転けてしまった。
ジェネラルオーガはもう目と鼻の先まで迫っている。
あいつの目が笑っているのが見えた。
なるほど狙いはこれだったのか………………。

「ヤバい…………死ぬ。」

【任せてマスター。死なせない!】「ムギュキュ~。」


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